《どうやら魔王は俺と結婚したいらしい》488

廊下をトボトボ歩いて、俺は外に出た。

仕事をするためだ、皆の前で堂々と言ったからな……行かないと怪しまれる。

堂々と言ってなくても仕事には行かないとダメだけどな。

「はぁぁ……。くっそぅ、昨夜の事さえなければなぁ」

あれさえなければ、ゆったりと食事出來てたのに。

……ロアとアヤネに々されて出來たか怪しいがな。

やっぱり盜み聞きなんてするもんじゃないな、必ずバチが當たるんだ、今の俺みたいにな。

「……」

一旦立ち止まって考えてみる。

うん、改めて思い返してみてもやっぱり理解できない。

昔あったナハトがロアだってどういう事だよ。

思いっきり名前違うじゃないか。

「まさか同一人……てなると、昨夜ロアが言ってた事は……本當? いっいや、信じられない」

苦悶の表をして、手で頭を押さえる。

あぁ、頭が痛い……考えたら頭痛くなってきた、一どういう事だよ。

俺、一人で考えてても全く分からない……だったら誰かに聞くか? あぁいやでも、そうすると昨夜の事がバレて責められる。

正直、それは回避したい……だってきっとロアに「盜み聞きするとは、いけない奴め! お仕置きじゃ!」とか言われる、何されるか分かったもんじゃない。

何か別の手を考えよう……でも、別の手って言ってもなんも思い付かないけどな。

くっ……手詰まりだな。

そう思った時だ。

「シルク様」

「っ、うわぁぁぁっ!!?」

後ろから誰かに話し掛けられた。

だっ誰だよ、心臓飛び出るかと思ったじゃないか! 心臓がバクバク高鳴るのをじながら振り替えるとそこにいたのは……。

「探しましたよシルク様。えと、そんなに大聲出さなくても良いんじゃないですか?」

ヴァームだった……。

「あ、いや……ごめん。でも、急に話し掛けられたから」

「そう言えばそうですね。申し訳ありません」

焦りつつ話すと、ヴァームは微笑みながら謝ってくれた。

ほんっと驚いたんだからな……とっと言うか、なんでヴァームがここにいるんだ? まだ食事の最中じゃないのか?

「……えと、なにか用か?」

そんな事が気になりつつ聞いてみる。

「はい。本當なら食堂で話すつもりでしたが急に出ていきましたからね……慌てて追い掛けて來たのです」

「え、そっそれは……悪かった。ごめん」

うっ、ものっすごい睨まれてる。

完全に怪しまれてるよな、そりゃそうだ、俺の立ち去り方はあから様に何かやましい事があるかのような去り方だった。

そんな顔するのは當たり前だろう。

「ふふふ。別に構いませんよ? 気にしていませんから」

「そっそうか。良かった」

気にしてない? だったらその視線はなんだ。

俺への疑いの視線、まだ消えてないぞ。

「シルク様」

「はっはい!」

そんな視線に震えてたら低い聲で言われた。

……こっこわい、なんだこの異様な雰囲気、ここで昨夜の事関係の事言われたら……もう誤魔化せないぞ!

し、お時間よろしいですか? 話して起きたい事があるんです」

「っ! はっ話したい事? えと、ここじゃダメなのか?」

「ここではダメです。出來れば落ち著いて話が出來る場所で話したいのです」

あぁぁ、これは逃げられない奴だ。

だってもうヴァームは俺の腕を摑んでる、逃がさないようにガッチリと……。

「時間はとらせませんので、どうぞこちらへ」

「いや、俺今から仕事に……」

「大丈夫です」

「いや、大丈夫じゃないから!」

々と文句を言うが、ずるずると引きずられて連れていかれる。

あぁぁぁ、絶対に昨夜の事がバレてる! もうそんな気がしてならない!

だから嫌だ! 行きたくないっ、必死に抵抗する俺だが、この後ヴァームの部屋へと力及ばず連れ込まれていった……。

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