《どうやら魔王は俺と結婚したいらしい》495
ヴァームの話を聞いてから、數日経った。
あの話を聞いてから、俺はため息ばかりついている。
「はぁ……」
自分の鈍さがここまでだとはな……本當に呆れても言えない。
「のぅ、ヴァームよ……。なんか最近シルクの様子が可笑しくないかえ?」
「えぇ……そうですね」
それを心配する周りのヒソヒソ話が止まらない。
不味いな、し控えた方が良いかもしれない。
いま、ロアの部屋にいる俺はそう思って咳払いし何とかため息を抑える様に努力する。
いや……しかしな……うん。
「……っ」
ロアを見てると、その、やっぱり々と思いが込み上げてため息がでてくる。
「うぐっ、いっ今シルクがわらわを見て目線をサッ! と反らしたぞっ。もっもしかしてわらわ……嫌われた!」
「いえ、そんな事はありません」
二人が向こうで々話してる、だが聞こえない。
……なんか、ここに居ずらくなってきた、離れよう。
という事でゆっくり立ち上がる。
「ん、シルク。何処に行くのじゃ?」
「……うん」
ロアに話し掛けられたが、素っ気なく返して俺は靜かに部屋を出ていった。
なんだか……ロアと同じ場所にいるだけで、罪悪が生まれてくる。
暫く、距離を取ろう……そんな気分になってしまった。
ごめんロア、俺はお前に好かれる資格の無い男だ……。
◇
「ヴァームよ」
「はいロア様」
ゆったりと椅子に座るわらわは、隣でしゃなりと立つヴァームに話す。
ちと聞いておきたい事があるのじゃ。
「わらわの過去の話し、きちんと話したんじゃよな?」
「はい、包み隠さずお話ししましたよ」
「うむ、そうか」
「はい」
「その……ありがとなのじゃ」
「ふふふ、どういたしましてです」
ふむ、きちんと話したと……なるほどな。
話したのか……それは良かった、それはそれで安心した。
しかしじゃ……。
「ならば、シルクはわらわに対して赤面するなり上手く話せなくなる。ってじの反応を見せるかと思ったんじゃが……」
「はい、私もそうおもってましたが……見せませんね。それどころか、ロア様と話そうともしませんし、目も會わそうとしませんね」
そうじゃな、その通りじゃ。
あれから日にちが経っておるのに……ビックリする位何の進展も無い。
いや、むしろ……酷く悪化してるかの様に思える。
そんな事を考えたわらわは、すぅ……と一呼吸した後、眼を瞑り……カッ! と眼を見開き、勢い良くヴァームを見て言い放つ!
「シルク辛そうな顔して出ていきおったぞ!」
「そっそうですね……」
椅子をガタンっ! と揺らして、なぜじゃ! と思いつつわらわは慌てる。
ヴァームもしっかりシルクが変なのをじておるらしい。
おっ可笑しい、明らかに可笑しい、さっきのシルクは凄く変じゃった。
なんと言うか、どよーんってじに落ち込んでたぞ!
「なっ、何があったと言うんじゃ」
「それは分かりません、ただ……」
「たっただ?」
なっなんじゃ、気になる言い回しじゃな。
まっまさか、何か心當たりがあるのかえ?
「私がロア様の過去の事をを話し終わった時から様子が変になった……そんな気がします」
「……」
え、なんじゃそれ。
思い悩みながら何を言うかと思えば……。
「げっ原因、それじゃないのかえ?」
「……それは分かりません」
いや、分からんて。
わらわはそうとしか考えられんのじゃが?
「いっ一応確認じゃが」
「はい、なんでしょう」
「何も変な事は言っておらんよな?」
「…………はい」
「え、えらく間があるのぅ。噓は言っておらんな?」
「勿論です」
ふむぅ、すんなり言ったの、まぁ……ここは信じてやるか。
…………。
「どうしよう! わらわ、やらかしたかもしれん!」
「おっ落ち著いてください、ロア様は何もやらかしてません」
焦ったわらわは立ち上がって、ヴァームをがくんがくん揺らす。
それを抑えながら頭を優しくでてくるヴァーム。
「やっやらかしておらんって……わっわらわ、自分が言うべき事を他人に言ってもらったから……しっシルクは、わらわに幻滅したんじゃないのかえ?」
うっうぅぅ。
そうとしか思えん……きっとそうじゃ、絶対に……そうなんじゃ。
わらわが自信が無いから、勇気が無いから……しっシルクは……。
あ、だっダメじゃ、かっが震えてきた、もっもしかしなくてもわらわ……完全にシルクに嫌われ……。
「そんな事はありませんっ! 絶対に!」
ぱこんっーー
「ひゃぎぃっ」
いっいた、え? え……わらわ、叩かれた? なっなんで?
「良いですかロア様?」
「おっおぅ……ふぁ!?」
なっなんっ、なっ……かっ顔ちか……。
なんか、ずいっ! と近寄って來たのじゃ!
「好きな人を信じてください。幻滅されたとか、嫌われたなんて2度と思わないでください! 昔にも言いましたよね? シルク様はそんな事を思う人なんですか?」
っ!
ヴァームの言葉が、わらわの心に深く突き刺さる。
……そうじゃよな、シルクがそんな事を思う筈がない。
様子が変なのはきっと調が悪いとかそう言うのじゃ。
そうでなかったら……えと、あれじゃ。
……っ! ただの照れ隠し! そうに違いない!
「ヴァーム、ありがとなのじゃ。おで気が楽になった」
「いえ、お気になさらないで下さい」
にこっ、と笑うヴァーム。
その笑顔に釣られてわらわも笑った。
……ん? 急にヴァームが扉の方に歩いて行きおった。
「ヴァーム、どこへ行くのじゃ?」
「し用事を思い出しました。と言っても簡単な用事です……ししたら戻ります、では失禮しました」
そっそうか……用事か。
にしては顔が怖いのぅ、よっ余程大事な用事なのかえ? そんな事を思いながらヴァームを見送った。
部屋に獨りになったわらわは、また椅子に座り暫くぼぉっとする。
……ぼぉっとしておる場合ではないか。
「シルクが元気になる為に何かするかの」
パンっーー
気合いをれるため、手を叩いたわらわは、また立ち上がり行に移る。
シルク、何があったか知らんが……わらわが元気付けてやるぞっ、じゃから……暫し待っているのじゃ!
- 連載中413 章
【10萬PV!】磁界の女王はキョンシーへ撲滅を告げる
世は大キョンシー時代。 キョンシー用の良質な死體を生産するための素體生産地域の一つ、シカバネ町。人類最強である清金京香はこの町でキョンシー犯罪を専門に扱うプロフェッショナルが集うキョンシー犯罪対策局に所屬し、日夜、相棒のキョンシーである霊幻と異次元の戦いを繰り広げていた。 そんなある時、雙子の姉妹の野良キョンシー、ホムラとココミがシカバネ町に潛伏した。 二體のキョンシーの出現により、京香は過去と向き合う事を余儀なくされていく。 ざっくりとした世界観説明 ① 死體をキョンシーとして蘇らせる技術が発明されています。 ② 稀にキョンシーは超能力(PSI)を発現して、火や水や電気や風を操ります。 ③ 労働力としてキョンシーが世界に普及しています。 ④ キョンシー用の素體を生産する地域が世界各地にあります。 ⑤ 素體生産地域では、住民達を誘拐したり、脳や內臓を抜き去ったりする密猟者がいつも現れます。 ⑥ そんなキョンシーに関わる犯罪を取り締まる仕事をしているのが主人公達です。 ※第一部『シカバネ町の最狂バディ』完結済みです。 ※第二部『ウェザークラフター』完結済みです。 ※第三部『泥中の花』完結済みです。 ※第四部『ボーン・オブ・ライトニング』完結済みです。 ※第五部『ブルースプリングはもう二度と』完結済みです。 ※第六部『アイアンシスターを血に染めて』開始しました! ※エブリスタ、ノベルアップ+、カクヨムでも同作品を投稿しています。 試験的にタイトルを変更中(舊タイトル:札憑きサイキック!)
8 101 - 連載中99 章
家庭訪問は戀のはじまり【完】
神山夕凪は、小學校教諭になって6年目。 1年生の擔任になった今年、そこには ADHD (発達障害)の瀬崎嘉人くんがいた。 トラブルの多い嘉人くん。 我が子の障害を受け入れられないお母さん。 応対するのはイケメンのイクメンパパ 瀬崎幸人ばかり。 発達障害児を育てるために奮闘する父。 悩む私を勵ましてくれるのは、 獨身・イケメンな學年主任。 教師と児童と保護者と上司。 「先生、ぼくのママになって。」 家庭訪問するたび、胸が苦しくなる… どうすればいいの? ・:*:・:・:・:*:・:・:・:*:・:・:・:*:・ |神山 夕凪(こうやま ゆうな) 27歳 教師 |瀬崎 嘉人(せざき よしと) 6歳 教え子 |瀬崎 幸人(せざき ゆきひと) 32歳 保護者 |木村 武(きむら たける) 36歳 學年主任 ・:*:・:・:・:*:・:・:・:*:・:・:・:*:・ 2020.8.25 連載開始
8 87 - 連載中44 章
甘え上手な彼女
普通の高校生、八重高志(やえたかし)は新學期に入って間もないとある日、同じクラスの宮岡紗彌(みやおかさや)に呼び出される。 「単刀直入に言うけど、付き合って」 「えっと、どこに付き合えば良いの?」 クールで男を寄せ付けない、そんなヒロインが、主人公にだけは甘えまくりの可愛い女の子。 そんなヒロインに主人公はドキドキの連続で毎日が大変に!? クールで甘え上手なヒロイン宮岡紗彌と、いたって普通な高校生八重高志の日常を描いた物語!! 2018年6月16日完結
8 160 - 連載中48 章
婚約破棄予定と言われたので透明になって見たら婚約者の本性を知り悩んでいます
侯爵家令嬢の私…イサベル・マリア・キルシュは昔からの親同士の決めた會ったこともない婚約者ニルス・ダーヴィト・シャーヴァン公爵令息様と 16歳の學園入學の際にラーデマッハ學園で初めてお會いすることになる。 しかし彼の態度は酷いものだった。 人混みが嫌いでこの世から消えたいと思い透明薬の研究を進めてついに完成したイサベルは薬で透明になり婚約者の本性を知っていくことに…。
8 116 - 連載中241 章
乙女ゲームの悪役令嬢になったから、ヒロインと距離を置いて破滅フラグを回避しようと思ったら……なぜか攻略対象が私に夢中なんですけど!?
「イザベラ、お前との婚約を破棄する!」「はい?」悪役令嬢のイザベラは、婚約者のエドワード王子から婚約の破棄を言い渡されてしまった。男爵家令嬢のアリシアとの真実の愛に目覚めたという理由でだ。さらには義弟のフレッド、騎士見習いのカイン、氷魔法士のオスカーまでもがエドワード王子に同調し、イザベラを責める。そして正義感が暴走した彼らにより、イザベラは殺害されてしまった。「……はっ! ここは……」イザベラが次に目覚めたとき、彼女は七歳に若返っていた。そして、この世界が乙女ゲームだということに気づく。予知夢で見た十年後のバッドエンドを回避するため、七歳の彼女は動き出すのであった。
8 91 - 連載中98 章
【完結】悪女と呼ばれたもと王妃はもう戀愛も結婚もコリゴリなのです
ガーディアン王國は滅びた。 王妃ファビアのせいで。 王妃として贅の限りを盡くし、國の財を使い果たし、大國であるミルアー帝國に滅ぼされ、愛する夫であるレイナルド王はファビアの目の前で処刑された。 一度もファビアを愛することのなかったレイナルド。 そしてファビアもその後毒に倒れる。 後悔ばかりが押し寄せる死の淵でファビアはひたすら國民に詫びることしかできなかった。 なのに… あら? 何かおかしな女神が、おかしなことを言ってる? なんですって? もう一度人生やり直せですって? こうしてファビアの第二の人生が幕開けた。 今度こそ失敗しないんだから! ✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎ ブクマ、★、いいね、感想、ありがとうございます! 勵みにして頑張ります! 誤字脫字の報告もありがとうございます。 ご指摘いただきとてもありがたく思ってます。 2022/9/15 epsode1 〜婚約編 完結しました。 2022/10/1〜 episode 2〜結婚編 始めました。 2022/11/13 後少しで完結です。 公開予約で全部書き終えてます。 2022/11/22 完結しました。 ありがとうございます、 2022/11/25 完結してからたくさんの方に読んでいただきありがとうございます。びっくりしてます。 誤字脫字の訂正。ありがたいです。 自分の文章能力が…(~_~;) いろいろ勉強になります。
8 56