《どうやら魔王は俺と結婚したいらしい》510
俺は走る、どんどん走る。
そこらじゅうを走りまくった、だけど全くロアは見付からない。
くっそ、何処にいるんだよ! 苛立ちながら考えてみる。
「……まだヴァームの部屋にいるかも知れない」
今ふと思った。
そうだ、俺はさっきまでロアとあってたじゃないか。
まだあそこにいるかも知れない……だったらソコにいこう! たくっ……なんでこんな事、直ぐ思い付かないんだよ。
相當焦ってるな俺、取り敢えず落ち著け……冷靜になれ。
一旦走るのを止めよう、そんで深呼吸しよう。
「すぅ……はぁ……。よしっ、落ち著いた」
……じゃぁ行こうか、はぁ……はぁ……あぁやばいな、自分の力の無さが憎い。
すっごい疲れた、歩いていこう……さすがに、ぜぃ……ぜぃ……ハリキリすぎた。
くっそ、しまらないなぁ。
なんて思い、歩き始める。
と、その時だ……急に、ズキッ! と腹に痛みが走った。
「いっ……っ!?」
ぐっ、そっそれと、全が……痛い! くっそ、これ……絶対にラキュに毆られただ。
なんで今になって痛むんだよ。
あれか? さっきから興してて痛みをじなかったって奴か? それにしたって……痛みが出るのは後にしてしかった。
「いま、痛みが出ると……困るんだよ」
舌打ちをして、壁に手をついてゆっくり歩く。
ラキュのやつ、本気で毆りやがって……それほど俺の考えに苛ついてたんだろうな。
それにしたって手加減くらいすれば良いのに……。
「これ、絶対に痣アザになってるぞ」
そんな文句を言ったり思ったりして、ようやくさっきいたヴァームの部屋まで戻ってきた。
ガチャーー
ゆっくりと扉を開けると、ヴァームがいた、しかしロアがいない。
あれ? と思ってるとヴァームがきょとんとして見てきた。
「あら……お戻りですか。ロア様はご自分の部屋に戻りましたよ?」
「あ、あぁ……そうか」
自分の部屋か、なるほど。
そこにいるのか……じゃぁ、さっさとそこに向かおう。
そう思って部屋を後にしようとしたその時。
「シルク様、なにかご用ですか?」
そう聞かれた。
あ、そうだな……なんも言わないで去るのは何か失禮だ。
ヴァームの方に振り替えってやろうとしてる事を言う。
「えと、あれだよ。ロアを探してるんだ」
ただ、詳しくは言えなかった。
その……なっなんか、恥ずかしいんだ。
ロアの前ではきちんと言う事は言うから勘弁してしい。
「そう、ですか。何がなんだな分かりませんが……一応納得しますよ」
「あぁ……。ありがとう」
ヴァームはにっこりと笑って言ってくれた。
助かった、詳しく聞いてこられたらどうしようかと思った。
だが、そうはならなかった。
という事で、もう行こう。
「あ、シルク様」
「ん?」
おっと、また呼び止められた。
今度はなんだ?
「お顔がスッキリされてますね。最近の表とは大違いです」
そうか、俺、スッキリした顔になってたのか。
はは……々思いながら此処まで來たから張り詰めた顔をしてると思ってたが……違ったか。
まぁ……それはどうでも良いか。
「そうか。まぁ……深い意味は無いよ」
「そう……ですか?」
「そうだよ。じゃ……俺は行くよ」
そう言った後、俺は部屋を出て扉を閉めた。
◇
シルク様が突然現れて、今出ていきました。
深い意味は無い……ですか。
「ふふふ、見えいた噓ですね。明らかに何かをやってやろうと言う顔をしていましたよ」
私には分かります。
だって、今のシルク様はロア様と同じ顔をなされていましたから……。
「シルク様……頑張ってくださいね」
これからロア様に告白しに行くんですよね? 最近までずっと落ち込んでいましたのに、どんな心境の変化でしょうね……。
でも、しにいくならそんなのどうでも良いんです。
あそこまで意味深な事を言ったんです。
やっぱり言えなかった……なんて展開はお呼びじゃないですよ。
その時はキツく叱ってあげましょう、それとお仕置きが必要ですね。
本人が泣いて嫌がる様な……ね。
「ですが、その必要はなさそうです」
拠はありませんが、今のシルク様ならキチンと言える、そんな気がするんです。
「ですが、やっぱり心配ですね。ふふふふ……ここは祈りましょうか」
そう言った私は眼を瞑り手を合わせる。
どうか、どうかこれで……全てを終わらせて下さい。
頼みましたよ、シルク様。
もしも変わってしまうなら
第二の詩集です。
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