《どうやら魔王は俺と結婚したいらしい》511
「あぁ……痛い、ほんっと痛い」
くっそ。
ヴァームの部屋から出てから暫く経ってるのに、まだラキュに毆られた痛みが引かない。
それどころか痛みが増してる気がする。
ラキュめ……この痛みが原因で言えなかったら恨むからな。
「……いや、そんなの我慢していくつもりだけどな」
じゃないとロアに悪い。
これ以上、ロアを頑張らせてなるものか。
そう気合いをれて、歯を食い縛り歩いていく。
すると……。
ずっと奧の方に誰かいるのが見える。
あ、そいつが手を振ってる、そしてこっちに近付いてくる、それが誰なのかは直ぐに分かった。
アヤネだ、アヤネがこっちにやってくる。
「やほ。こんなとこで會うなんて偶然」
「そう……だな」
「あれ? なんか疲れてる。どうかしたの?」
「あぁ……。ちょっとな」
々あったんだよ。
苦笑いして誤魔化すと、くりゃっと首を傾けるアヤネ。でも直ぐに姿勢を正して……。
「そう。あ、今から外行くんだけど……シルクも行かない?」
あぁ、悪いなアヤネ。
そのいには乗れないな。
「ごめん、やる事があるんだ」
だから斷った。
そしたらアヤネは「そか」と呟く。
そして、じぃ……と見つめてくる。
ガン見だ、それも俺の顔をずぅぅっと見てる。
「表、変わった」
ポツリと呟いたアヤネは、ひしっと俺に引っ付いてくる。
暖かい……そんな溫もりをじた。
「なんか、眼……輝いてる」
「……そうか?」
「ん、そだよ」
「そか」
……離してくれないな。
服を摑んだままアヤネはずっと俺を見てる。
なんだか思う所があるのか、眼が潤んでる。
このとき、俺は「離してくれ」とは言わなかった。
何故かって? アヤネには……言わなきゃ行けない事がある。
いま、こうして出會った瞬間思った。
だから言わないと……辛くてもキチンとな。
今度はしっかり言うんだ、前みたいな事には絶対にしない。
「ねぇ」
そう決心して、言おうと思ったのだが……出鼻を挫かれた。
服を摑む手にきゅっと力がる。
潤んだ眼で見つめながらアヤネは話した。
「あの時の話し……覚えてる?」
「あの時?」
「忘れたの?」
うっ、そんな悲しい顔をするな。
「あぁ……えとな、なんの事か分からないんだ。ほら、々あったからさ」
誤魔化しに聞こえるかも知れないがそう言ってみる。
そしたら納得したのか「あぁ……。そう言えばそうかも」と言ってくれる。
その後「じゃ、ハッキリ言うよ」そう言って眼を細めて……。
「私と一緒に帰る話し……その事を言ってるの」
こう言ってきた。
ドキッ……が高鳴った、言われた、確かに言われた。
「シルク、今……辛いよね? ここにいるの嫌になってる。私、そう思ったの」
必死に語るアヤネは無意識か徐々に聲が大きくなっていた。
それに、段々と早口になっている。
辛いか、確かに辛かったな。
ここにいるのも嫌になってた、むしろ帰るのが正しい事だと考えていた。
「だからね。私、ったの……一緒に帰ろって」
そうか。
森での時も、魔王城の醫療室に運ばれて言われたその言葉……冗談だとか、噓だとか言ってたけど。
本心か、アヤネは俺と一緒に帰りたかったんだ。
そう思う俺も、ついさっきまでは帰ろうとしてアヤネ、お前を探してたんだよ。
「だから、だからね? シルク、私と一緒に帰ろ。そう思ってたんだよね? 私、分かるよ。分かってたもん……間違いじゃない。だから……帰るって……言って?」
でもな、今はそう思ってないんだ。
俺がやろうとしてたのは最低の行為だ、俺はそんな事はしない。
懇願こんがんする様に、そして涙が零れ落ちそうなくらい潤ませる。
痛いくらいにアヤネの気持ちが伝わる。
ほら、今も強く握ってきた……距離も近くなった、顔なんか、もうゼロ距離って言って良い程に近い。
でも、そう言われても……俺はやらなくちゃいけない。
俺は決めたんだ、ついさっき……ロアに告白すると。
だから、その問い掛けにはまぬ形で答えなきゃいけないな。
俺は、すぅ…………と大きく呼吸した後、真剣な眼でアヤネを見る。
そしたら、アヤネは震えだし眼を大きく見開いた。
そんなアヤネに対して俺は、自分の想いを……伝えた。
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