《どうやら魔王は俺と結婚したいらしい》512
俺は、震えるアヤネに自分の想いを伝えた。
「ごめん。まだ帰らない……いや、帰れないんだ。やる事があるから」
仮に帰るとしたら、やるべき事をやってからだ。
それを伝えた瞬間、アヤネの眉がピクリといた。
「やる事?」
震える聲でそう言ってくる。
その顔、必死に泣くのを我慢してる様に見える、この顔を見て察した。
アヤネ、お前……もしかして分かってて聞いているのか? そう思ったが、俺は素直に答える。
「今から、ロアの所に行くんだ」
それを告げると、アヤネは右手だけを俺の服から離し、自分の太ももをつねった。
「そっそう……。なにしに、行くの?」
「……」
アヤネ、俺がハッキリ言わなくても分かってるんじゃないのか? なぜ敢えて聞く? そんな辛そうな顔をしてまで聞く事なのか……。
いや、これはアヤネなりの考えがあっての事だ。
きっとそうだ、だったら……せめて俺は、それに応えなくちゃいけない。
「告白……しにいく」
だからハッキリ言った。
優しく、そしてしっかりとアヤネに聞こえる様に。
それがアヤネに対する禮儀だと思ったからだ。
そう言った瞬間、アヤネが強く……しだけ痛いくらい抱き付いてくる。
だが、俺は暴れなかった、しっかりとそれをけ止めた。
「……っ、……っ!!」
聲にならない悲鳴、だろうか。
必死に聲を抑えてる、心なしかの辺りが暖かい。
泣いてる……のか? チラリと下を向くと。
アヤネは下を強く噛んでいた。
し力をれればが出そうな位に……。
この仕草必死に聲を抑えてるんだ。
俺を心配させない為に自分の気持ちを抑えている。
この瞬間、アヤネに対してんな想いが込み上げてきた。
一緒に遊んだ、話した、一方的に連れ回されたら、々した。
つい最近一緒に森にいった。
それと……アヤネに告白された。
俺が次に思ったのはめの言葉。
……今ここで、それ言うのか? 俺が? いや、言うべきじゃないだろ。
言ってどうするんだ、流石の俺もそれだけは分かる。
だから言いたい気持ちを押し殺し、俺も黙った。
「ぅ……ぅぅ……くっ……ぅぅ」
抑えきれない聲がれた。
だからアヤネは手で口を塞いだ。
だけど、それでも聲はれてくる。
そんな事が暫く続いた後、アヤネはようやく俺の服を離し、數歩うつ向きながら後ろへ下がった。
「……」
そして、何も言わず俺の方を見て、にっこり微笑んだ。
うっすらと頬に涙の後があるが……アヤネの1番の素晴らしい笑顔、そう思うのは可笑しいと思うが……俺はそう思った。
「シルク」
「なんだ?」
「……頑張って、ちゃんと伝えて。じゃないと許さないから」
「あぁ……。ちゃんと伝えるよ」
アヤネの笑顔に応える様に俺も笑った。
すると、アヤネは話を続ける。
「あ。あとね……ロアに伝えてしいの」
「ん? 別に良いぞ」
伝える事? なんだろう……そう思ってると、ズビッ! と俺に指差して……。
「この泥棒魔王! って伝えて。なるべく込めてね」
こう言ってきた。
はっははは……泥棒魔王か。
「分かった。ちゃんと伝えるよ」
「ん、任せた」
「おぅ、任された」
その言葉を最後に俺は……アヤネを通り過ぎ、先へと進んだ。
通り過ぎる時、消えりそうな小さな聲で「ばか」と聞こえた。
ズキッ……。
心が痛んだが、俺は構わず先に進んだ。
アヤネの為にも、絶対に言わなくちゃ行けなくなった。
言うさ、絶対に。
じゃないと、アヤネにも悪いからな。
だから、必ず伝えるよ……あと、こう思うのはアヤネには悪いが敢えて思わせて貰う。
ごめんな……アヤネ。
うつ向きながらそう思った後、俺は直ぐ様前を向き、気持ちを切り替え先を急いだ。
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