《どうやら魔王は俺と結婚したいらしい》516
ロアに優しいキスをした。
そして數秒後にゆっくりと離れた後、俺は我にかえった。
え、は? えと……俺、なにやってんの? 勢いでとんでも無い事しちゃってないか? いや、やってる、やっちゃってる。
カタカタ震えながら、ロアを見ると……。
口をあんぐり開けて……眼のが消えていた。
あ、やばい……気を失ってる!
「ろっロア? おいっ、ロア!」
「…………っ! ぬっぬわ! なんじゃっ!」
ゆさゆさ揺らすと、ロアが気を取り戻した。
だが、顔を真っ赤にして「くっ……」と呟きそっぽを向いた。
「えっえと……あの……ロア?」
とっ、取り敢えず、さっきの事……謝らないと。
そう思って次の言葉を出そうとした……その時。
「なっ何も言うな!」
「っ!!」
「とっ、取り敢えず……椅子、こっちもって來て座るのじゃ」
「え?」
「はようせぬか!」
なっなんだか良くわからんが、ロアが急かすから慌ててその通りにした。
そうすると、急に腕に手を回してくるロア。
更に、涙ぐんだ眼で俺を見てくる。
「まっまずはな……そのぉ。いっ々聞いても、よいかの? ほら、わらわって……あれじゃし」
「いや。あれじゃ分からん」
「わかれ!」
「えっえぇぇぇ……」
相変わらず無茶言うな、まぁ……話なら聞くけど。
でも、腕組んで話す必要は……あるのか?
 「あっあの行為は……その、好きじゃからやったんじゃよな?」
「へ? あっあぁ……キスのごほぉっ!」
「ハッキリ言うでないっ、バカモノ!」
りっ理不盡だ。
ラキュに毆られた所、思いっきり毆られた……いっ痛い。
そんな痛さに悶絶しながらハッキリと答える。
「そっそうだよ……好きだからしたんだ。だけど……あれは完全に無意識でやったんだ。いきなりで嫌だったな、悪い」
「謝るでない! 揖屋なものか! うっ嬉しいっ、すっごく嬉しい……でっでもちと驚いたがな」
あ、あははは……そっそうか。
そう言われると、その……なんだ、恥ずかしい。
くははは、と笑うロアだが……そっちもそっちで恥ずかしかったみたいだ。
顔が真っ赤だ……。
「あと、いきなりと言ったな? わらわがそれを嫌と言うのは可笑しいじゃろう」
「……そっそうだな。良く考えればそうだな」
そう言えばロアって……何度も強引にキスしてきたな、うん……その事、今思い返すと……ぐっ、更に張してきた! うぁぁああぁぁっ! すっごい気まずい!
「……その。えと、あとな。これはどうしても聞いて起きたいのじゃ。その、やっぱり気になるんじゃよ。聞いて良いか?」
「こっこの際、遠慮せずに言ったらどうだ?」
気になる……事? 今更なに言ったって驚きはしないよ。
だって、それところじゃない心境だからな……。
「うむっ、ならば言うぞ」
眼をパチクリしたあと、すぅぅ……と大きく息を吸い、ぶはぁぁぁっ、盛大に吐いた。
そして……。
「わらわの事、ヴァームとラキュから聞いたんじゃろ? その……過去の事」
「あ、あぁ……聞いた」
「そっそか、驚いたかえ?」
「すっごく驚いた」
「うっうむ。そう……じゃろうな」
……ふぅ、と一息ついて、ロアは続けて話をする。
「シルク、恥ずかしいのを我慢して率直に聞く。今のわらわはどうじゃ? 正直付き合いたいと思うかえ?」
言うのを迷ったんだろう、大分言い辛そうにしてたのが分かる。
そんなロアに対して、俺は酷く照れながらロアの頭に優しく手を乗せてやる。
そして……。
「いっ今も昔も……変わらず綺麗だよ。今まで気付けなかった俺が言うのもなんだけどな……」
うっ、くっ……自分に似合わずキザな臺詞を吐いてしまった。
はっ恥ずかしい、走ってこの場から立ち去りたい!
「っ!! そっそうか……くっくははは……わっわらわは、綺麗か」
「そっそうだよ……今までのロアが、その……綺麗……だ」
「うっうむ」
そう言った後、更にロアが俺に寄り添ってくる。
「わらわ、完璧か? 昔たてた誓いは……その」
「そんなの関係ない。ロアがなんて言おうと……かっかかっかんっ完璧……だよ」
あぁぁっもう! 大事な所でキョドるな! あと噛むな!
ほっほらロアを見てみろ! けない事するからうつ向いただろうが!
「……」
なっ何も、言わなくなったな……。
「シルク!」
「っ!!」
と、思ったら急に大聲を出した。
「じゃっ、じゃったら……答えを聞きたい! わらわの事が好きなら! 今すぐに付き合いたいなら……今から言う問いに答えてしい。わっわらわも……昔の誓いなんて無しにして、そっそうしたいと思っておる。じゃから……真剣に答えるんじゃぞ?」
……いつになく真剣な顔のロアがそこにはいた。
まだ、なんの問いかは出されていないが……なんとなく、そう……なんとなくだが分かった。
ロアが言う問い掛けを……。
「シルク ハーベスト」
こほんっ……と咳払いしたあと、真っ直ぐ俺を見て名を呼んだ。
「なんだ?」
だから、姿勢をただしてそれに応えた。
「わらわの夫になっては……くれまい……か?」
……ほら、やっぱりだ。
俺の予想は當たってた……まったく、俺から言ってやろうと思ったのに。
ほんと、大事な場面で締まらないな……。
そんな俺に嫌気がさしたが、今はそんな事を考えるのは止めて、俺はとびきりの笑顔でこういってやった。
「こんな……俺で良ければ、喜んで」
その剎那、ロアはビクッ! と肩を震わせ、表がとろける。
そして何を思ったのか……ロアは眼を瞑った。
あ、おい……ロア、お前。
それって……あれだよな? 俺の方を向いて眼を瞑るって、あっあれをってるよな? くっくそっ……やっやるの……はっ恥ずかしいんだぞ!
散々文句を心の中で言い放ち、俺はロアの肩を持ち……カタカタと震えながら、本日2度目のキス、酷く張しまくったキスをした。
正直、この時のキスの覚なんて覚えていないが……これだけはハッキリ分かる。
今までロアにされたキスの中で…………一番気持ちが良かった。
そんなキスは、僅か5秒程で終わり、を話したロアがこう言った……。
「くははは、どうやらわらわは……シルクと結婚したいらしい」
「……それ、初めて會った時から似たような事何度も聞いた」
「んう? そっそうじゃったかな?」
「そっそうだよ……」
そんな冗談をわしながら、俺とロアは笑った。
そして、なんとか告白する事に功したのだ。
はぁぁ……疲れた、ほんとうに疲れた、そして……んな奴を巻き込んだ告白になったな。
と言うかこれ、後で皆に質問攻めに合いそうだな!
そんな事を考え苦笑したが、直ぐに笑顔に戻して暫くロアと過ごした。
まぁいいさ……もう暫くここでロアと話してよう。
そう思い、俺とロアの暫しの二人の時間が始まった……。
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