《引きこもり姫の事~?そんなことより読書させてください!~》引きこもり蟲の學校生活
二組に著くと案の定靜まりかえった。
月海のあの宣言が広まったからもあるだろうけど大半は私が原因なんだろうな。
「……死神」
「喧嘩……」
月海。そんな睨まない。今にも倒れちゃいそうな程青ざめてるよ。
「席はどこだろうね~隣だといいな~」
「見てみたけど僕が隣で月海は斜め後ろだよ」
「はぁ~~?! 変なことしたら麗ちゃんに言いつけるからね」
「変なこと?」
普段は私のことあまり興味もないのに何で風柳と私になるとこんなに激するんだか……っと、風柳の隣か。一番前。まあ黒板見えやすいし良いか。
「おーい席につけ――! ホームルーム始めるぞ」
擔任は昨年と同じの嶋しま先生か。育會系でオカルトやら噂に流されない生徒思いの先生。
私の死神とかいう――世間一般からするといじめなんだろう――のも月海と同じくらい嫌っていて昨年それでいじめてたやつはめっちゃ怒られてたらしい。
私は別に気にしないけどね。
「知っている奴もいるだろうが今年二組を擔當する嶋だ。専門は育。サボるやつは許さんぞ。すぐに始業式だから日直は鍵を閉めて全員育館に行くように」
……読書すんの忘れてた。校長の話とか正直どうでも良いんだけど。新任の先生とかもわざわざ全員に紹介することでも無くない?
「ああそうだ尾、子柴」
ん? 呼ばれた?
「「何ですか先生」」
「言いにくいんだが。お前らさっき塩田しおたに啖呵切ってただろう」
「……先生もあっちの味方ですか」
月海、喧嘩腰にならない。
「まさか。職員室に塩田が泣きついてきたんだよ。あいつが悪いから逆に叱ってやったけどな。だがその恨みで尾に復讐するかもしれんから謝っておきたかったんだ」
おお。流石生徒思い、こんな無表な子にまでけじめをつけるなんて
「先生安心して。私達は何があっても凜音をいじめさせないから。いざとなったら三家の力を思い知らしめてやればいいんだし」
「それはよせ。子柴姉。話はそれだけだ、引き止めて悪かったな」
先生はそう言ってもたもたしている生徒を育館に向かわせた。
「私達も行こっか」
「うん」
「ああ~~話長いんだよあのハゲじじい」
「月海、そんな大聲で口を……あ、じゃないや。まあでも後は自己紹介してお晝ご飯食べて係決めしてお終いだからね」
「ん~凜音。今年は何やる? 一番簡単な國語係かなやっぱり」
「そうだね」
月海か風柳以外に私と係やろうって人もいないだろうし。てか本読みたい。
速攻で決めて読書しよう。
「よし、じゃあ自己紹介だな。名前、得意科目、趣味。これは必須だからな。じゃあ出席番號一番から」
「あ、はい! 青木雄大、日本史が得意です。趣味はボーリングです」
ボーリングってあれか。玉投げるだけで何が面白いんだ?
まあそんなじで著々と進んでいく。
「次は佐藤だな」
どこにでもいそうな名前の人は勿論いるのね。
「佐藤環、育が得意。趣味は野球です……」
あれ、なんか睨まれてる? なんで?
全く読書が一向に進まないじゃない。
「じゃあ次は尾だな」
あれもう? 佐藤って人十九番で私三十番なんだけど……まあいっか。
「尾凜音、國語が得意です、趣味は読書です」
ふう~めんどいめんどい。何か視線が針みたいなんだけどそこはいいや。
「子柴風柳です、家庭科の料理が得意で趣味は料理です」
でしょうね
「子柴月海、家庭科の裁が得意で趣味は裁。朝も言ったけど凜音に手を出そうやつは全員返り討ちにしてやるから覚悟しなさい」
ここで私の名前出すかあんた。公開処刑だから。
「よし、流石に四十人の名前を覚えるのは難しいだろうが仲良くな、それじゃあ晝を挾んで十三時には著席してろよ」
キーンコーンカーンコーン。先生タイミングいいなあ。
「がっくっしょく~がっくっしょく~」
「行こう凜音」
「あ、うん」
本と弁當は持った。よし。
學食に行くとチャイム鳴って五分も経っていないのにもう行列が……
「遅かったか。だがしかし必ず目當てをゲットしてみせる! 凜音、場所取りしといて」
あ、うん、行ってらっしゃい。
あんまり人気が多い所はやだな。あ、あそこ空いてる。
二人分の席を取っといてっと。
使用人さんは相変わらず冷凍食品一切使わないんだよね。いくら雇われてるからって言っても辛いんじゃ。
あの二人大分かかるだろうし本読んでよう。
「ね~え~死神~? 一人なら一緒に食べてあげようか~?」
ん? うわぁギャルって言うんだっけこういうの。雙子がいなくなるの絶対待ってたな。
「……月海達を待ってるから」
「良いから來いよ。その弁當持ってさ」
あ、私の食料源……トイレに流す気か? やめろ、午後がもたないしそんなのバレたら姉さん達が反撃に……
「な~にしてんのかな~?」
「あ……? ひっ! 子柴……」
「あんた確かおんなじクラスだよね。さっきの話聞いてなかったの? 私ね、容赦しないタイプなんだ~」
あ、月海軽くキレてる。いつの間にか風柳も私と私の弁當庇ってるし。何故弁當を庇う。
「私を怒らせるとどうなるか教えてあげるよ」
グラスにったお水をギャル達にぶっかけた。で、そのリーダー格の子の腕を摑んで……思いっきり捻っちゃった。
「いった――い!!」
「顔すんごいことになってるわよ」
あ、ほんとだ。パンダになってる。
「て、てめえ…覚えとけよ死神!!」
え、私? 月海じゃなくて?
「月海ってばの子に容赦ないね。凜音無事だった? まあ平気だろうけど」
「早かったね二人とも」
「ああいや、凜音が絡まれてたから割り込んだ」
何してんの!? もう……私が恨まれんの確実じゃん。
「あ~あ汚い害蟲っちゃった。手、洗ってくるから待ってて」
汚い害蟲。
「えーっと二人は何食べるの?」
「月海はカレーうどん、僕は唐揚げ定食だよ」
いつものことだけど風柳それ何人前? 私の見方だと三人前はあると思うよ。
後、ワイシャツにつくこと恐れないなんて凄いね月海
「凜音も食べる? それじゃ足りないでしょ」
いや足りる。でも好意は貰っておこう。
「お待たせ~よし食べよう。いただきます」
「「いただきます」」
……豪快に啜りすぎだよ月海。それで何でつかないのか不思議だ。
晝ごはんも終わり、私は雙子が雑談してる橫で読書にあきふれた。
私が読書中に話しかけると怖いってこと知ってるからねこの人達。
「じゃあ係決めをするぞ。まずは委員會からな」
まあ案の定だけどあんまり面倒なことをやりたくないのは皆一緒で
「じゃあ係な。國語二人」
「「はい」」
何か今日よくハモるな。
「じゃあ尾と子柴……月海だな」
まあ二人いるしね名前の方が良いよね。
高二からは家庭科が無くなるから風柳は不機嫌だったけど私が読書してるし都合が良いからって図書部選んでた。
そして佐藤は育。所々で私を睨むのやめてほしい。何か恨み勝ったか? 塩田とかいう奴の友人とか?
「それじゃあ明日は學式だから休みだが、明後日の予習はちゃんとしとけよ。じゃあ日直、挨拶」
「起立、気をつけ、禮」
「「「さようなら」」」
とにかくすぐに帰ろう。
「「凜音~帰ろう~」」
「はいはい」
明日は華ちゃんの學式。
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