《引きこもり姫の事~?そんなことより読書させてください!~》引きこもり蟲の兄弟姉妹
扉を開けると即座に行く手を阻まれました。
「麗子姉さん、邪魔。そんな上目遣いで神宮寺さんを見ない」
「後ろにキラキラオーラが見えます凜音。直視できないであります!」
じゃあ見なければいい。とりあえずどけ。月海も離れんしゃい。
「ほらほら麗子ちゃん達。神宮寺さんをそのままにしたら迷でしょぉ? 戻ってきなさぁい」
ナイス子姉さん。この人イケメンとかそういうのにわされないんだよね。
「ごめんなさいねぇ神宮寺さん。うちの妹達が迷かけてぇ。どうぞ楽にしててくださいなぁ。お茶淹れてきますからぁ」
くつろぐにもくつろげないと思うがな私は。
「そういや神宮寺さんって正宗兄さんと同い年だな」
「そういやそうだね」
吉宗兄さん急にどうしたのさ。まあそうだけども。
あ、あれかな。吉宗兄さんは正宗兄さんのこと尊敬してるしそんなじで神宮寺さんにも興味があるとか?
まあそうだよね。イケメンで頭も良くて共通點多いもんねこの二人。ていうかそろそろ座らしてくれませんかね。
「急に全員覚えろとは言いませんがとりあえず簡単に紹介していきますね神宮寺さん」
家ごとに行きますか。
まずは六條家。
正宗兄さん。現在跡継ぎとしておじさん――六條四人兄弟のお父さん――の補佐をしながら経済學習中。よく子姉さんの愚癡を聞いてるそう。
子姉さん。姉さん曰くやりたいことは見つからないらしく、正宗兄さんを支えるようなことをしたいらしい。後酒に弱い。
ちなみにこの二人。怒らせるとまあ怖い。溫厚な人こそ一度怒ると怖い。私が中學の頃、いじめグループのリーダーの家庭をめちゃくちゃにした程。しかも涼しい顔で。なので絶対逆鱗にれないでね、ここ重要。
次は麗子姉さん。天真爛漫で月海の格もこの人のけ売り。その小さな ――私と同じくらい――からは想像出來ないほどの力があってこの前は六條家を脅かすヤクザの所に一人で向かって全員病院送り。
月海がデザイナー志だとすると姉さんはヘアメイク? 系の職に著きたいらしい。
で、吉宗兄さん。私を抜いておくと一番クールで心が読めない人。男関係なく家族がいじめられてたら毆るね。前もそうだったでしょ? 喧嘩っぱやいからまこちゃんがよく止めてる。
正宗兄さんを大尊敬してるから將來もそっち系じゃないかな?
ところでこれでお分かりでしょうか。はい。六條家の面々は怒らせたらやばいです。おじさんも怖いから六條家全員を怒らせた暁には死ぬ――神面で――と考えよう。
子柴家。
桃李兄さん。全然會話に出てこないところから分かると思うけど一番影が薄いです。「あれ、いたの?」って未だに言われるくらい。可哀想だけどその薄さを私はする。喧嘩の仲裁も任されてるね。
月海。デザイナー志で子柴の跡取り娘。さっきも言ったけど麗子姉さんの格をそのままけたものだからまあ面倒臭い。さばさばしてるし喧嘩を売るし買うし。そのせいで私よく睨まれてるんだよ。知ってる?
風柳。大食漢で子力高め。オネエでは無いけどね。彼は溫厚だけど怒っても怖くない。てか怒ったところを見たことがない。
ほとんど先に雙子の姉・月海が片付けてるからね。
尾家。
まこちゃん……真。吉宗兄さんと同い年で暴走しないようによく一緒にくっついてる。モテる華ちゃんに男を近づかせないようにいつも睨みを効かせてる。言ってみれば何かしらサポートしてるよね。
私は置いといて。
華……凜華。十人の中で末っ子。華ちゃんだけ何故かめっちゃ箱りに育てたよね皆。まあ可いし危なっかしいし。
だから華ちゃんはまだそういう……R指定系のことすら知らない。ドジっ子です。通稱・三家のゆるキャラ。
こんなものかな? 十人ってなげーな。
何十分かかかって馴染んだ頃。
「ね~ね~神宮寺さん。明日用事無いなら泊まっていかないここに」
月海。あんたここが他所の家だって分かってんのか? それに神宮寺さんは執筆と経営もしなきゃいけないのに。
「用事は無いけど。良いのかい?」
無いの!? すげーな。
「え~ほんと!? まこちゃん良いでしょ? ねえねえ」
「父さんに聞いてみるけど。話からすると今日はこっちに泊まるの月海?」
「泊まる!!」
何故誰も反論しない。華ちゃんもお客が來たと思って目をキラキラさせてるし。
「僕と子は用事があるからこれでお暇させていただくよ。神宮寺さん、また今度」
ありゃ。忙しいのに來てくれたんだ。あざーす。
……え、いやそうじゃないよ。ほんとに泊まらせる気なの皆。順応力高すぎでしょあんたら。
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