ポカポカと暖かな気になりました。花より団子。団子より読書。あ、桜がひらひら落ちてきた。

「ロマンチックなこと言ってないで飯を食いなさいよ」

「うわムード臺無し」

「ムードとか臭」

こんにちは皆さん。毎度お馴染み凜音です。今日は家族――と言っても皆忙し過ぎて來れたのは高校一年二年組ですが――でお花見に來ております。

「それにしても凜音が進んで外に出たいなんて珍しすぎ無い？」

「別に良いでしょうよ。てかあんたらが出ろってうるさいから」

「はいはい喧嘩しない」

子柴母が窘めて私達に団子を渡す。月海はみたらしが好きだけど私は――まあ別に何でも食べるけど――三団子。何故って？ 誤って本に付く恐れが無いから。まあ味しいけどさ。

「食べ過ぎ風柳」

「ん？ ほうひへひんへ？」

「何個口にれてんだよ……お前の仕業か華ちゃん」

まるで小さな子がお兄ちゃんにかまってしいように串に刺してある団子を抜いては風柳の口に詰め込んでいる。

「ふうちゃんあーん」

「ふほっぷふほっぽ」

風柳が華ちゃんの手を止めて必死に口をかしてる。面白がって月海はその景を畫に撮っている。

助けてやれよ姉。

「にしても神宮寺さんまで來れないなんてつまんなーい。お酒飲ませてお花見特有のおじさんネクタイを」

「さんザルだよ」

「ちっ。つまらん」

ストレスが溜まると我を忘れるくらい暴走するのに大晦日とかに日本酒飲んでも飲んでもし顔が赤くなるくらいで呂律も足取りもしっかりしてんだよ。びっくりしたわ。

子姉さんは一口ビール飲むとベロベロに酔っちゃうのに――その後まだ飲もうとするから一人でお酒を飲ませてはいけないという決まりは姉さんが人した時に決められたこと。

「にしてもあっという間にもう高校三年生だね。吉ちゃんもまこちゃんも卒業しちゃったしつまんなーい」

「元よりそんなに會う機會無かったけどね」

やっと食べ終わった風柳が話にってくる。それでもまだ一割もお腹は満たされていないそう。お前の胃袋はどうなってんだ。

「つーまんなーいー凜音何か一発蕓して」

「急に？」

無茶ぶりにも程があるぞお姉さん。

「じゃあ星夜空を全部暗誦してみましょう」

「誰得だよ」

黙らっしゃい。他にやることが思いつかん。とりあえず月海に四巻まで渡して記憶を巡らせる。

「それじゃあ一巻目。あなたと巡り會えたのはきっと星の導きでしょう」

「……真理と亜は更なる悪い予に襲われてしまったのだ。どう？ っておい起きろよ」

月海だけでなく見ると風柳も華ちゃんも全員寢ていた。一発蕓しろって言った奴誰だよ。

でも気持ちよさそうに寢てるし起こすのも気が引ける。

気持ちよさそう。私も寢ようかな？

月海の隣に寢転がり目を閉じた。ポカポカ気はすぐに私の眠気をいそのまま夢の中へ――

誰かに何かを被せられて目が覚めた。

「あ、起こしちゃった？」

寢ぼけた目で聲のする方を見ると

「……さん？」

「おはよう凜音」

仕事だと言っていたさんがまさかの出現。

「どうしているんですか？」

「會社の謝恩會みたいなもので連れてこられたんだ。場所は聞いてたし近くまで寄ったから見に來たんだけど皆何もかけずに寢てるから」

月海達は未だ睡中である。たださっきと違うのが布をかけられていること。

「すいませんお手數かけて」

「良いよ。それより寢るのは良いけど風邪はひかないようにね。今は注意しなきゃいけないから」

「はい。それじゃあもっかい寢ます」

「うん」

さんはウトウトし始める私の額に軽くキスをする。

「おやすみ、凜音」