《~大神殿で突然の婚約?!~オベリスクの元で真実のを誓います。》罪人(アザエル)のための灼熱海
*2*
(お? かゆいぞ。鼻くすぐってやがる、そうだ、これは、〝かゆい〟……だ)
イザークは鼻のむずむずさに気付いた。すると、今度は燃えさかる炎の熱さをが捕らえ、閉じた瞼の向こうの炎の眩しさに眼が気付く。
嗅覚から目覚めるあたりが、すごく、らしい。最後にの痛みに跳ね起きた!
「熱ッつ……!」
見ればには小さな燃えた艾。頭上でふー、との吐息がした。
「お目覚め? 裁かれたくせに、元気ね~。おから飛び起きるなんて面白すぎてよ」
ぽん、と煙管から落ちた灰がを再び狙う。逃げようとしたイザークは、ずし、とした覚に顔を顰めた。はイザークの上に座り、足を組んで、煙管を銜えていた。
変わらずの出の高い服に、チリチリの髪、過剰な寶飾。更に低聲には聞き覚えがあった。國境なき孤児院の、ネフトである。
「俺は裁かれたはずだ。あんたはどうしてここに?」
ネフトは答えず、また煙管を銜え、ひょいと下を指した。まるで灼熱の塊が顔を出したように、大きな赤い火の塊が丸くなって蠢いている。
「裁きの後に來る、罪人アザエルのための灼熱海よ」
イザークは世界の酷さに冷や汗をじた。生きた人間が來る場所ではない環境だと分かる。まさに、神の世界。
灼熱の赤い大気は僅かに曇り、った空気がまた熱風で煽られる。業火だ。一面が赤で染められている。山は燃えさかり、赤い火砕流が火の泉に注がれる。灼熱の中の空は赤と黒の階調で染められていた。立っている場所も、炎のをしている。
「あんたはマアト神に裁かれ、最後の霊魂をあたしに裁かれようとしているのよ」
(そうか、俺は裁かれて、この世界に放り出されたのか……ちっぽけな人間が來る場所じゃねえぞ。熱いし、マトモに息もできやしない。蒸し風呂だ)
「マアト神はどこにいる」ネフトはようやくイザークに向いた。
「あら? 絶しないの? 裁かれれば霊魂は消え、世界のどこにも行けないのに」
「いいや? 行けるね。どこまでだって」イザークはネフトを睨んだ。「ま、いっか」とネフトは歩き出し、「ついてらっしゃい」と振り返った。
二人は灼熱の大地を進み始めた。ネフトは振り向かず、特徴的な黒髪をさながら炎のように戦がせている。
「本來、世界には生も死も存在しない。ティティインカは貴方に逢うために、屈辱の中、テネヴェにて、オベリスクの呪を解き、貴方への道を拓こうとしている」
「ティティが、テネヴェにいるだと?」
火の海が見えて來た。たくさんの怨恨が舞う。ネフトの手の煙管がった。
「覚悟なさいな、罪人イザーク。いいえ、イホメト=シュラウド=テネヴェよ」
神と人。イザークは炎の海の海岸で手をついた。業火の迫力は自然に人は敵わないと言わんがや。イザークは濡れた眼をネフトに向ける。この狀況で泣かない男がいたら、お目にかかりたいものだ。
「何故、俺を再びテネヴェに向かわせた。逃げるなと言いたいのか、神の分際で。逃げてもいいじゃないか。逃げたからと二度と立ち向かわないとは限らないんだよ!」
「喚かないで。し」
ネフトはしゃがみ込むと、人差し指をに充て、驚くイザークの頬をでた。
(ティティを思い出す。をわしている最中も、何度も俺の頬をでてくれた)
「見える? 火の海の中の人の無數の手。神にしでも逆らった人々の霊魂アクは全てこの海に投げれる。それがわたしの任務だ」
ネフトはしばらくイザークを睨んでいた。赤い瞳は炎のだ。
「でも、貴方は何故か生。従って、わたしがこっちに來るしかなくなったわ」
ネフトは告げ、優しく微笑んだ。
「ティティインカにまた、逢ってみせて? 私たちにを教えて見なさいよ」
「上等だよ」イザークはようやく笑うを取り戻した。
(そうだ。心から、強くなるためのは、を噛み締める瞬間だ。そうだろ、ティ)
くっきりとしたイザークの世界と、霞む遠きティティの世界がゆっくりと一つになった。
「俺は神など信じない。ヴァベラの悪魔の民だ。マアトなんざ、珍しい鳥ってだけだ。逢って世界取り戻してオワリだよ。焼き鳥にして、食ってやるさ」
神を罵倒したイザークを、ネフトは「さすがね」と何故か笑った。
――世界は編まれた平織り布だ。サアラが言うが事実なら、どの世界も繋がりがあるはずだ。なら……この世界も、あのティティと過ごした世界も繋がるはず。両方あるもの、その二つが引き合えば――……。
(あるじゃねえか。二つの世界をがっちり繋ぐもんが!)
イザークは眼を閉じた。に手を當てて、ただ、ティティインカを想った。
(ティティの信頼と俺のティティへの。これ以上の絆はない。この世界から、してると願い続ける。距離も死も問題じゃない。魂でしてやる――)
もはや生も死もない。ならば、の終わりは永遠に來ない。恐れはしない。
イザークの眼の前で、火の海にまた一つの霊魂アクを投げれたネフトは、黒く塗り潰したをゆっくりとかした。
「見せてもらうわ。真実マアートのを」
小説家の作詞
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