《Waving Life ~波瀾萬丈の日常~》10話 落下啼鳥

落下啼鳥

1

今まで、俺と蘭華は喧嘩をしたことがなかった。

だからだろうか。

ただの勘違いだと分かってはいるのに、すごくが苦しかった。

それに告白の話をどうしようかと考えていた俺にとって、この出來事は最悪のタイミングで、抱えていた悩みを複雑化させていた。

ただ、『勘違いだよ』。

そう言うだけなのに……。

やけに、俺は難しくじていた。

次の日になり、いつもの待ち合わせ場所に行った……が、やはりそこに彼の姿はなかった。

俺はそこで思ったのだ……。

場合によっては、もう話すことすら出來ないのではないか、と……。

當然、話さない限りこの問題が解決することは無い。

じゃあ、俺はどうすればいいのだろう……。

俺は気を落としながら、一緒に登校し始めてから初めて、一人で登校をした。

教室にると、そこには蘭華の姿があった。

でもその様子は、ずっと話せずにいた絵里のあの姿を彷彿とさせていた。

俺は、自分の席に向かう。

すると、このことを當然知る由もない絵里に聲をかけられた。

「剣也君、珍しく落ち込んでいるね。何かあった?」

「い、いや別に」

確かに俺は、ひどく落ち込んでいる。

でも、周りに迷をかけたくない一心でしは明るく振舞おうとするが思うようには行かない。

「その返答の仕方……。何かあったんだね……。話してみて」

絵里は、こちらを心配そうに眺めている。

あまりにも、彼は深刻そうにけ止めているので、俺は仕方なく話すことにした。

「じゃあ、話すよ」

「うん」

……、ただこの話には、蘭華から告白されたことを話さないと筋が通らない。

俺はしばらくどうしようか悩んだが、容を変えればいいか、腹をくくった。

「簡潔に言えば、蘭華と喧嘩した」

「そう言えば、剣也君と蘭華ちゃんって馴染なんだよね?

「あ、あぁ」

「まぁ、落ち込んでもしかないね……」

絵里は、俺が落ち込んでいた理由を納得してくれた。

賛同者がいて、俺はしほっとした。

「何があったの?」

絵里は話を続ける。

「それは聞かないでほしいな……」

「じゃあ、あえて聞かないでおくよ」

俺が素直に話すと、彼はそう答えた。

だから、何とか告白の話を言わなくて済んだ。

でもきっと……。いつかは話さないといけないんだな……。

「仲直りしたいんでしょ?」

「もちろん。大事な馴染だし、もう話せなくなるなんて、俺は嫌だ……」

「そう、だよね……」

周りの生徒たちは、一限目が移教室のため、徐々に移を始めていた。

時間的に、これ以上話すのは難しそうだ。

「絵里」

「何?」

「移教室だし、この話はまた後で」

「分かったよ」

そうして、俺たちは一限目の教室に移した。

2

3限目。科目は世界史。

2限目も移教室で、ようやく教室での授業になった。

世界史の先生は、2年後に定年退職するベテランで、教え方がよく生徒の間で評判の先生だった。

俺は、この授業を利用して絵里に相談に乗ってもらおうと思った。

朝の話が途中で、ずっと気になっていたからだ。

幸い、この授業は先生に問題を當てられることがなく、ノートに書き寫す作業がほとんどなので、俺は機の下でこっそりと攜帯を開いた。

『悪い、相談の続きいいか?』

俺はまず、そう文章を送信した。

すると、すぐに絵里から返信が來た。

『そう來ると思ったよ。攜帯開いてスタンバイしてた笑』

『何か、悪いな』

本當に申し訳ない気分になりつつも、俺は絵里に謝した。

『別にいいよ。それよりも早く解決しなくちゃね』

『そうだな』

『避けられてるじする?』

『する。朝も、待ち合わせ場所に來なかった』

俺がこう返信をすると、暫く返事が來なかった。

俺は1度攜帯を閉じて、黒板の文字をノートに書き寫した。

そして一段落したところで、俺は再び攜帯を開いた。

『そっか……。もしかしたら剣也君だけだと、どうしようもないかもしれない』

そう返信が來ていたので、會話を続ける。

世界史の先生の聲は、メールをしながらでも十分に耳にってくるほど、聲が通っていた。

『かもしれないな……。避けられてたらいつまで経っても話せない』

『うん……。あ、分かった』

『何が分かったんだ?』

『ちょっといい作戦思いついた』

『え、何?』

『今は言えない。準備出來次第言うから、それまで待ってて!』

『ちょっと待て……。一何するつもりだ?』

『剣也君。私に任せて!じゃあね』

そう絵里から返信が來たので、俺は攜帯を閉じた。

絵里は一何をするつもりなのだろう。

俺は、全く予想が出來なかった。

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