《Waving Life ~波瀾萬丈の日常~》27話 突然のい
突然のい
1
あの事件から一夜明け、旅行3日目。
今日で旅行は折り返して、明日からは後半である。
沖縄に來てから、いろいろイベントが起こった。
多疲れは溜まっているがいい思い出だ。
午前9時。
朝食を食べてホテルの部屋でし休憩をしていた。
そんな時だった。
『プルル…』
「おい、電話なってるぞ」
半彌がそう言ってくる。
ベットの上に置いてあった攜帯を手に取る。
電話の主は絵里だ。
「もしもし?」
「あ、剣也君?ちょっと遊びに行かない?2人きりで」
次から次と、よくもここまでイベントが続くものだ。
今回は絵里とデート…か。
昨日、散々ビーチで遊んだせいで、日焼けでが真っ黒に焼けていた。
今もヒリヒリと痛む。
出來れば外に出ないで、のんびりしたかったのだが…。
せっかくの旅行だし、まぁいいか。
「分かった。が、どこに行くつもりだ?」
「それはね…」
俺は10分後、半彌に適當に事を話して集合場所のホテルの玄関前に來ていた。
どうやら俺の方が先だったらしい。
俺は待つことにした。
さらに5分後、絵里が走って自ドアをくぐり抜けてきた。
「ご、ごめん…。待った?」
「いや、別に…」
絵里は昨日までとは違って今日はかなりラフな格好をしていた。
肩出しの服に、麥わら帽子で化粧もしていた。
あまり見ない服裝に見とれていると、絵里が一言放つ。
「ちょっ、あんまり見ないで…。恥ずかしい…。そ、それより早く行こっ!」
「そうだな」
俺達は灼熱の太の下を歩き始めた。
2
俺達が向かったのは水族館。
沖縄といえば、綺麗な魚が沢山いるイメージだ。
だから、1度行ってみたいと思っていた俺にとっては好都合な場所だった。
日焼けもする心配ないしな。笑。
ホテルから歩くこと20分、ようやく建が見えてきた。
とてつもない位の規模の水族館だ。
自然とテンションが上がってくる。
俺は日焼けが嫌だという気持ちと、早く行きたいという気持ちが混ざって、いつの間にか走り出していた。
「ちょっと!剣也君!の子置いて走らないでよ〜」
全速力で走り、水族館の口の前まで來た。
し遅れて絵里もやって來る。
「もぅ!置いていかないでよ!」
絵里はし怒り気味だ。
「悪い悪い、テンション上がっちゃって…」
「気を付けてよね!それよりも早く中にりましょ!」
そう言った絵里はチケット売り場で2人分のチケットを買い、俺の手を引っ張って中へと場した。
「絵里。はい、お金」
俺はお金を手渡しで渡そうとする。
だが、絵里はそれを振り払った。
「私がったから、別にそれくらいはいいよ」
「わ、悪いな…」
俺の謝罪を聞いた絵里はを俺と逆の方に向けた。
そしてし俯いたじで、こう言う。
「悪いと思ってるのなら、て、手を繋いでしいな…」
小聲で聞き取りにくかったが、どうやら手を繋ぎたいらしい。
「別にいいよ、今日だけな」
そんな俺の忠告は聞かずに、彼は俺の手を握って水族館の矢印に従って走り出した。
暫くして、気にった魚がいたからだろうか彼は走るのをやめて立ち止まった。
絵里の視線の先には360度ガラスで囲まれた円柱の水槽だった。
その中で、様々な南國の魚が優雅に泳いでいる。
水族館の口付近にあった張り紙には、この水槽の寫真が載っていた。
多分この水族館のメイン水槽なんだろう。
「綺麗だな…」
思わず聲に出てしまうほど、き通った水の中を泳ぐ魚の姿はしかった。
「本當ね…」
絵里も同だったらしい。
沢山の客がいるが、殆どの客はここで心を打たれている。
気持ちが落ち著く。
そういった落ち著きを求めてやってきた人もなくないだろう。
「ねぇ、剣也君」
絵里の方に顔を向けると、絵里はまだ真剣に水槽の中を見ていた。
「どうした?」
「この魚たちのように、私達は輝けると思う?」
この水槽にいる、とりどりの魚たちはどれもしく輝いていた。
俺達、人間もそんなふうに輝けるのか。
答えは……。
「輝けるかどうかっていうのは、その個人個人がどれだけ一生懸命生きようとするかにかかっている。魚達が、生きるために必死なように、俺達も社會で生きていくために必死にやっていれば、いつしか輝けるはずさ」
俺は、この時に思った。
この魚たちのように、人にを與えられるような人間に、輝ける人間になりたいと。
3
俺達はその後、沢山の水槽を見て周り、晝食を挾んでイルカショーを見た。
気付けばもう午後4時を過ぎている。
俺達は水族館から出て、すぐ側に置いてあるベンチに腰をかけた。
「なぁ、絵里」
「どうしたの?」
「蘭華の件、俺に力を貸してくれないか?」
結局、夏休み前からこの話に関しては進展がないままだ。
2人きりの今の間に、話をつけておきたい。
「狹間先輩から話は聞いているよ」
「なら話は早いな」
「改めて考えてみたらさ、やっぱり剣也君の意見の方が正しく思えてきたの。蘭華ちゃんの人生は蘭華ちゃん自が決めるものだものね。だから、剣也君に力を貸すよ。蘭華ちゃんに直接聞くんでしょ?どちらがいいか」
「あぁ、ただ本當のことを話してくれるかどうかは分からないが」
「でも、やってみるしかないよ…」
「そうだな…」
こうして、絵里は俺に力を貸してくれることになった。
「ねぇ、剣也君」
「っ…」
不意打ちのキス。
絵里の顔は真っ赤に染まっていた。
「改めて言うね。私は剣也君のこと好きだから。剣也君がする事が正しいと信じるよ」
「あぁ、頑張ろうぜ」
俺達は、ようやく仲直りをした。
そして、彼との関係がさらに1歩前進した。
「帰るか…」
「うん、そうだね!」
俺達は橫に並んでホテルへと歩いていった。
俺はいつしか忘れかけていた。
蘭華からも、絵里からも告白されたのにまだ両方に返事をしていないということを…。
徐々に迫ってきていた。
返事を出さなければいけない期日が…。
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