《本日は転ナリ。》After Story…My Dearest.50

瑠……』

私はハッと顔を上げた。それは自分の言った事が本心である事に変わりは無いのだけれど、何故かしばかりの罪悪が生まれた事に気付いたからだった。

しかしリヴィは優しく微笑むと、目を細めて私を見つめながらこう言う。

『それでいいのよ。私は貴達の邪魔をする気は無いの。だけどパートナーになるべきは私。そういう事なのよ』

私にはリヴィの言っている事がよく分からなかった。矛盾しているようだけれど確信のある事を言っているような真っ直ぐなその言葉は、私の脳裏にしっかりと焼き付けられてしまった気がした。

『それで……瑠、って呼んだ方がいいかしら?    そろそろ瑠の家に向かわない?』

するとその言葉に苛立ちを隠せない様子の莉結が私の前へと躍り出た。

『何言ってるの?    もうそんなの無しだから。行こ、瑠』

莉結に手を引かれ昇降口を出ると、背後から『それは殘念ね』とリヴィの聲がした。

それから莉結と別れるまで、莉結の表はどこか寂し気だった。怒っているような、悲しんでいるような、一言で表せられないような顔。きっと言いたいことは山のようにある筈なのに、先程の事には何もれなかった莉結は、別れ際に『瑠は……私のパートナー……だもんね?』と小さな聲で言った。

私が小さく"うん"と答えると、莉結は『ごめん、変なこと言って。それじゃ、また明日ねっ』と口元だけで笑ったのだった。

私は家に帰ると著替えもせずにそのままベッドへとダイブした。太の匂いが仄かに殘る布団に顔を埋めて、いつもよりに広がる、ずっしりとのし掛かるような疲労に飲み込まれていく。

「パートナーって何だよ……」

そう小さく呟いた私の一言も布団の中に吸い込まれていってしまったのだった。

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