《ロリっ娘子高生の癖は直せるのか》3-14 「あんたこれって……」

自分の耳を疑った。

今、堂庭瑛と言ったよな?

繰り返される放送にもう一度耳を研ぎ澄ます。

だがやはり容は変わらず、堂庭を迷子センターで預かっている旨を伝えていた。

それにしても高一で迷子センターに保護されるなんて聞いた事ねぇぞ……。

まあ結果オーライとも言えるけど。

九歳というふざけた年齢詐稱が通用するのはあの型を持ち合わす堂庭ぐらいである。

今だけはあいつのロリ合に謝したい。優しい大人たちに保護されて良かったな!

それから俺は全速力で駅前まで走った。

足の疲労は既に限界を越えており、踏み込む度に電気が流れるような痛みをじたがそんなの無視無視。

早く迎えに行ってあげよう。堂庭は意外と寂しがりやだったりするからな。

あと、迷子センターの人にこれ以上迷を掛けるわけにはいかないし。

なんせ現役JKが仲間とはぐれて保護されているんだから。笑っちゃうよな、こんなの。

人の隙間をって飛び越えて、何とか到著した。

「堂庭瑛って子、こちらに居ますか?」

仮設テントの中にり、係の人と思われるに聲を掛ける。

「ええ、確かにここで預かっておりますよ。えっと……ご家族の方ですか?」

「まぁ……そんなじですね」

きっとこの人は堂庭の事を本気で九歳と思っているに違いない。

俺が素直に「友達です」なんて言ったら話がややこしくなるので、空気を読んで家族という設定で引き取ることにした。

「瑛ちゃーん! お兄ちゃんが迎えに來てくれたわよー!」

お兄ちゃん、か。なんか恥ずかしいな。

どことない気まずさから、が熱くなる。

やがて、が堂庭を引き連れてやってきた。

「瑛ちゃん、もう離れ離れにならないように気をつけるんだよ?」

「うん……ありがと」

「ご迷おかけしました……」

堂庭が九歳児を演じきっているおで見事に迷子を引き取る兄妹の図ができてしまっている。

それから係のは俺達に何の疑いも持たず「他の仕事があるから」と忙しそうにその場を離れていった。

「あのー、々ツッコミたいけど、まず何で勝手にどっか行ったんだ?」

「それは……トイレから出た時に、とあるの子に釘付けになりましてね……」

堂庭はこちらに目を合わせようとせず、照れ臭そうに話し始める。別に褒めている訳じゃないんだけど。

「真っ赤な浴を著たの子が一人で歩いていて……。キタコレ! って思ったの」

「いやそれ迷子じゃねぇの?」

キタコレじゃないでしょそれは。

「しかもすっごく可かったから夢中になって付いていっちゃったの。その子は周りをキョロキョロしながら歩いていたから、あたしはバレないように隠れながら後を付けていたわ!」

「だから迷子だろその子。助けろよ」

「まぁ助けたい気持ちもあったけどね。結果的にその子は係の人に保護されて、ついでにあたしまで保護されちゃったのよ」

「それで年齢をサバ読んで、迷子センターに忍び込んだわけか」

「えへへ、あたし本當に九歳に見られちゃったんだよ! ねぇ、凄いでしょ?」

ふわっと顔を上げた堂庭は満面の笑みで俺に同意を求めてきた。

だが、自慢できることじゃないし自慢することでもない。

子高生が言うセリフじゃねえけどな。お前もしはコンプレックスを持ったらどうだ? そのに」

「むぅー。晴流は何で分からないのかなー。この魅力にー」

「分かりたくもないね。俺はロリコンじゃないので」

何故か堂庭はぷすっと頬を膨らませていたが、気にせず続ける。

「ほら行くぞ。桜ちゃん達が待ってる」

「うん……」

そして俺はすらっと腕をばし堂庭の手を摑んだ。小さくてらかい手だ。

「……え、あんたこれって」

「もうお前とはぐれるのは勘弁だからな。他に意味は無い」

これは本心だった。

堂庭のは小さいし、賑わう人の波に飲み込まれる可能は十分あるしな。

「…………馬鹿」

何やら小さく呟いたようだったが上手く聞き取れなかった。

「じゃあ、行くか」

一歩前に踏み出す。

しかし、堂庭はその場からこうとしない。

「おい、どうかしたか?」

「…………って」

「え?」

「……神社に連れてって。し、話をしよ?」

「あ、うん……」

堂庭は寂しさに押し潰されそうな顔をしてこちらを見つめてきた。

おまけに上目遣いもバッチリと決めている。

くそっ。急にそんな顔をされたら、嫌だなんて言えないじゃないか。

俺は桜ちゃんと修善寺さんに「見つかったけど戻るのはし遅くなる」とメールで伝え、さっき行った神社に足を向けた。

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