《ロリっ娘子高生の癖は直せるのか》4-7 「なんだか可らしいので」

約束の日。堂庭邸の門の前。

既に集まっている參加者三名は朝のまぶしい日差しに耐えながら、來たる主催者を今か今かと待ちわびていた。

七夕の詫びも兼ねて決行したこのキャンプだったが、殘念なことに桜ちゃんと修善寺さんは欠席の連絡が來ていた。

桜ちゃんは運悪く夏風邪を拗らせてしまったらしく、高熱で今も寢込んでいるらしい。

一方修善寺さんは私で來れないそうだ。先週會った時は特に何も言ってなかったのできっと急用がったのだろう。

そんな訳で本來予定していたメンバー二人は欠員となり、代わりに飛びり參加となった都筑と平沼が加わって計四名となる。今更だがこの面子で遊ぶのは初めてだと思う。都筑に関しては話すらほとんどした事が無いからな。でもこれを機にお互いの親睦を深めるというのも悪くないだろう。

「それにしても瑛りん遅いねー。忘れてたりしないかなー」

目の前の豪邸をのぞき込むように見ながら都筑が話す。

「ちょっとどうなってんだよー。おい宮ヶ谷、嫁さんを早く呼んできてくれよ」

「俺に振るなよ!? ってか夫婦じゃねぇし」

平沼のからかいに的確に対応する。このくだりもいい加減飽きてきたな。新たなレパートリーがしいという訳じゃないけど。

集合の午前八時から二十分以上過ぎていたが、未だ堂庭から連絡は無い。どうせ張り切って私服を選ぶのに時間を割いているのだろう。アイツが遅れる理由は大これなのである。

「仕方ない、あと十分待って來なかったら突撃するか……って噂をすれば」

「お待たせー」と手を振りながら堂庭が駆けてくる。まったく、主役は遅れてやってくるとも言うが、ただの集まりでそれをやられちゃ迷でしかないんだよな。

「瑛りん遅すぎぃ! 何やってたの?」

「いやぁ著る服を選ぶのに悩んじゃって……」

えへへと照れ臭そうに笑う堂庭。俺の予想は見事に的中していた。

しかし……いつにも増して気合をれたという堂庭の私服姿は、いつにも増してげな印象だ。

サスペンダーとか子高生が好んで使うモノじゃないだろ……。

「ごめんね堂庭ちゃーん。旦那との貴重なデートにお邪魔しちゃって」

「ちがっ! これはあたしが勝手に決めただけで……。大平沼君はただのオマケなんだからねっ!」

相変わらずツンツンしていらっしゃる。てか都筑はオマケじゃないのか……?

「それにしても今日のお前の格好すげぇな。九九絶賛勉強中ってレベルな見た目だぞ」

「ふっふーん、そんなに褒めても何も出てこないわよ。でも晴流にしては中々見る目があるじゃない」

何の目だよ。

あと照れるな。褒めた訳じゃないから。

「もう瑛りんったら可いすぎぃ! なでなでしたい位可いよぉ!」

何やら都筑は一人で興している。……あなたもロリコンになるとか冗談でもやめてくださいね?

「宮ヶ谷……こういう時は「せやな」じゃなくて「おまかわ」って言ってやるのが紳士なんだぞ」

「知るかボケェ」

平沼も平沼で厄介者だ。

はぁ……こいつ等で泊まり込みのキャンプとか憂鬱でしかないんだが。

「あ、迎えが來たわ!」

堂庭が元気よく聲を上げる。

そう、このキャンプにはもう一人の參加者がいた。

主に送迎や俺達の安全を守ってくれるメイドさん。

そして堂庭曰わくロ・リ・メイドらしいのだが……。

真っ黒なクルーザータイプのゴツい車がこちらに向かって走ってくる。どうやらあれに乗って行くようだ。

「……今回はリムジンじゃないんだな」

「ふふ、あの長ったらしい車じゃ峠は越えられないわ」

當たり前のようにさらりと會話する。

だが、平沼と都筑は口をポカンと開けて俺達を見ていた。どうやら堂庭のセレブリティが想像を遙かに上回り、驚きを隠せないようである。

「なあ宮ヶ谷、俺を養子に迎えれてはくれないだろうか」

「斷固斷る」

しかも俺に聞くな。隣にいる族の人間に言え。

平沼が縋り、俺がツッコみ、堂庭が呆れ、都筑が興する。

そんな愉快なやり取りをしているうちに先程のゴツい車が目の前まで來て止まった。

ガチャっと運転手側のドアが開く。

そしてそこから現れたのは……。

「お待たせしました瑛お嬢様、それとご友人の皆様」

メイドのコスプレをした子供だった。

どうみても中學生、いや小學生?

堂庭と大差ない長と型だが顔つきは若干大人びている。

なるほど、この人がロリメイド……。つか年齢がマジで予想できないんだが。

「皆に紹介するね。この方はウチで雇っているメイドのメアリーさん。あたし達の引率をしてくれるの。だから何か困った事があったらこの人に言ってね」

「……ご紹介に預かりましたメアリーと申します。お嬢様をはじめ、皆様に楽しんでいただけるようサポートに努めますのでどうかよろしくお願い致します」

メイドさんは淡々と喋ると丁寧に頭を下げた。

でもなんだろうこの複雑な覚……。

堂庭といい、このメイドさんといい、げなの子にかしこまった対応をされると申し訳無い気持ちになる。

都筑や平沼の方を見やると曇った表をしていたので、恐らく二人も同じような事を考えているのだろう。

「こちらこそよろしくお願いします……。あの、メアリーさん……でしたっけ? 失禮ですがそのお名前って……」

特に西洋じみた見た目という訳でもなく、純粋な日本人のようだったので名前が気になったのだ。

「通名です。なんだか可らしいので。皆様も私の事はメアリーさんとお呼び下さい。なんならメアリーちゃんと呼んでいただいても……」

ぐへっと涎よだれが零れそうなほど頬が緩むメアリーさん。

なんだか堂庭と同じ匂いがするが大丈夫なのか……?

「えっと、メアリーさん? 更に失禮な事聞きますけどお年の方は……」

「二十九歳と十七ヶ月です」

「……え?」

「二十九歳と十七ヶ月です!」

「それって……さんじゅ」

「二十九歳と十七ヶ月ですっ!!」

笑顔で押し切られる。

々と衝撃だが取り敢えずこの話題は水に流しておくことにした。

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