《ロリっ娘子高生の癖は直せるのか》5-2 「あたし帰るから」
修善寺雫。堂庭が小學生の時まで通っていたあの名門お嬢様學校、鶴岡學園の生徒で堂庭と昔は親友と呼ばれるくらいの仲だったそうだが今はどうみても犬猿の仲。
そんな修善寺が何故わざわざ堂庭と同じ學校に転校してきた? 寄りによって同じクラスに……。
朝から俺の思考はフル稼働だった。尚、今日の授業の容はほぼ頭にってない模様。
休み時間になり、晝休みになり、午後の授業が始まり……。
「起きなさい!」
気付くと目の前には腕を組んで仁王立ちする堂庭の姿。
何度となく見たこの景は俺が寢落ちして起こされた時のヤツだ。
「……今何時だ?」
「五時よ午後五時! あんた何時間寢てれば気が済むわけ?」
「は!? 噓だろ!」
飛び上がって教室のガラス窓を見やる。
夕日が眩しかった。
「放課後になってもかないから待ってあげたけど……もう死んだのかと思ったわ」
「へぇーそうですか。……ってかずっと待っててくれたのか?」
「だからそう言ってるでしょ!」
「あぁ……。まあいいか」
何時間も俺のために待つだなんて変わり者だなと思いながら手提げのバッグを機の上に置く。
教室には俺達以外に人は無く、運部のかけ聲が遠くで聞こえていた。
「ねぇ晴流。あんたに聞きたいことがあったからあたしは待ってたの」
「なるほどそういうことか。……ってそれなら早く起こせば良かったじゃねぇか」
「何回毆ってもちっともかなかったのよ!」
グーの手で板を毆られる。相変わらず見かけに反して力が強い。素直に痛ぇ。
「悪かったよ……。で、俺に聞きたいことってなんだよ」
「あの馬鹿姫の事よ!」
堂庭は機をバンッと叩いてこちらを睨んでくる。
恐らく修善寺の転校についての話なのだろうが、何故俺に聞く? 意味が分からない。
「先に言っておくが修善寺が転校してくるなんて俺も知らなかったからな?」
「それは知ってる。そうじゃなくて……」
堂庭は歯軋りをしながらし間を取った後
「晴流があの馬鹿を引き込むように仕向けたんでしょ!」
「…………は?」
引き込むように仕向ける……?
一何の話だ?
「馬鹿姫から聞いたのよ。晴流が東羽高は素晴らしいって豪語してたって」
「んなこと言ってねぇよ!」
無茶苦茶な言い草である。
數ヶ月前、修善寺さんとデート(仮)をした時に俺達が通う東羽高の質を確かめると言っていた気はするが、俺はその時ただ頷いていただけだ。
他に考えられるやり取りは無いし堂庭の聞き間違いか修善寺さんの記憶の取り違えといった所だろう。
「あたしの許可無く勝手に連れ込むのやめてくれない?」
「だから俺は関係ないって」
まるで妻にで浮気相手を家に連れ込んだのがバレてしまった夫のような會話である。
堂庭は腕を組んだまま怒りをヒートアップさせていく。
「それとも嫌がらせ? に悪戯しかけるなんて晴流だったら事案よ事案!」
「おい人の話聞けよ!」
「キャー! おまわりさーん! この人なんか変ですー!」
「ぐっ…………」
わざとらしく指を差して通報するフリをする堂庭。
「早く捕まえてくださーい! わぁーこっち見ないでー!」
「…………」
「やだぁ、あたしの心が汚れちゃうー」
「……気持ち悪いよ、ロリコン」
無意識に言葉がれてしまった。
発言してから気付く。これ、言っちゃダメな奴だ。どんなに煽られても我慢しなくてはいけなかったのに……。
教室が凍りついたかのように靜まり返る。堂庭は一切の表を失っていた。
お互い直し、目だけを合わせる。怒っているのだろうか。それすら分からない。
やがて……
「あたし帰るから」
堂庭は普段聞くことの無い恐ろしく低い聲でそう告げた。
そしてすたすたと教室から出ていき、出口の前で一旦止まった。
「もうあたしに構わないでいいから」
「ふん、上等だ」
堂庭は振り返らずに立ち去っていった。
あんな面倒な奴、放っといた方がのためだろう。
そんな事を考えながら、俺は手提げバッグに向かって一発毆ってやった。
◆
翌日。
堂庭はいつも通り學校に來ていた。だが、俺とは目も合わせようとしない。まあ當然か。
気だるく欠をして自席に著き、ホームルームが始まって授業が始まる。
晝休みになり平沼と機を合わせて弁當を広げる。そこで気付いたのだが、俺は無意識に堂庭へ目を向けていた。あんな奴放っておけばいいのに……。
大、俺は何一つ間違った事は言っていない。悪いのは堂庭だ。あいつが勝手に怒って勝手に無視しているのだから俺がわざわざ関與する必要はない。
目も向ける必要もないんだ。無視を決め込もう。うん。
「おーい宮ヶ谷ー! 大丈夫か?」
はっと我に返る。目の前で平沼が不思議そうな顔でこちらを見ていた。
「あぁ全然平気だから。ごめん」
「いやぁずっとフリーズしてたからてっきり時が止まったのかと思ったよ」
「他の奴らはいてただろ」
軽く突っ込みをれて苦笑いする。
平沼は「そっか」と満足そうに笑った。
放課後になると堂庭は一目散に教室から出ていった。
いつもであれば、すぐに俺の前まで來て溜め息をつきながら説教をした後に一緒に帰るという流れになるのだが今日は違う。
それにしても一人で帰るのは久々だな。暴走を止める必要も無いし、安心して保育園の前を通ることが出來る。
ノートや筆箱をバッグに詰め込む。教室の人口が半分程度に減る中、修善寺さんは俺と同様、自席で帰り支度をしていた。
聲を掛けようと思ったが修善寺さんはすぐさま立ち上がり、素早く教室から出ていったので俺は斷念した。昨日の一件について聞きたかったのだが、追いかけてまでする用じゃないしな。明日聞けばいいや……。
それから俺はバッグのチャックを閉めて一人で歩き出した。
――心殘りは無い。今日から俺は一人でだらだらと過ごしていこう。
校門を出て、橫浜駅まで歩いて進む。
いつもの差點。いつものコンビニ。
何一つ変わらない通學路なのに今日は道のりが異常に長くじた。恐らくいつもの話し相手が隣にいないからだろう。
淡々と歩き、赤信號に捕まる。すると、背後から聞き覚えのある高い聲がした。
「待ってくださーい!」
「……桜ちゃん!?」
振り向くと、遠くで桜ちゃんがこちらに向かって走ってきているのが見えた。
ずっと追いかけてきていたのだろうか。は左右に揺れており心配してしまう足取りだ。
姿は段々と近くなってきて追いついた頃には桜ちゃんは手を膝に當てて息苦しそうに悶えていた。
「はぁ、はぁ……。お兄さん、歩くの速すぎです……」
「ごめん、全然後ろに気付かなかったよ」
悪いことをさせてしまったなと思いながら桜ちゃんを見やる。長い黒髪の先からぽたぽたと汗が垂れていた。
「なんか今更ってじですが……」
息を切らしながらも姿勢を整えた桜ちゃんはこちらに向き直り、天使のように優しい笑顔で
「一緒に帰りましょ、お兄さん!」
「おう……」
もちろん俺は首を縦に振った。
こんな笑顔で言われたら……斷れる訳ないだろ!
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