《ロリっ娘子高生の癖は直せるのか》5-3 「らしくないですよ」
「お兄さん、昨日は大変だったんですよ!」
桜ちゃんと肩を並べるや否や彼はむすっとした表で眉間にしわを寄せていた。
先程まで俺に見せていた天使のような笑顔はもう無い。
「……暴れたりとかか?」
昨日言い合いになってそのまま立ち去った堂庭だったがアイツ、家で大人しくしてなかったのか?
しかし桜ちゃんには異変を知られてしまったのである。まさか口を聞かなくなるまで喧嘩したとは思ってもないだろうけど……。
「に罵聲を浴びせてました」
「え? 待てそれってマズいだろ」
「あ、いえ二次元の方なので他人様には迷かけてないと思います」
「そっか、なら良かった」
何故か安心してしまう。別に堂庭が何をしようが関係ないのに……。
「まあ私に迷をかけてましたけどね。お姉ちゃんってば夜中に泣きついてきたんですよ」
桜ちゃんは呆れたような顔をして苦笑いする。
堂庭の奴、一方的に煽ってきたくせにまるで俺が泣かしたかのような態度をとっていたのかよ。ってか妹に泣きつくとか姉としての威厳ゼロだな。
「…………あいつ何か言ってたか?」
「バカって連呼してました。お兄さん、喧嘩は程々にしなきゃダメですよ?」
桜ちゃんは立ち止まって人差し指を立てる。
どうやら昨日の一件はほぼバレていたようだ。俺は溜め息をつく。
「俺は悪くないんだけどな」
「そうですか。でも結果として私まで巻き込んでいるんですけどね」
「……ごめん」
桜ちゃんは怒っているようにも見えたが何故か笑っているようにも見えた。
「私ではなく他に謝るべき人がいるでしょう?」
「いや、だから俺は」
「らしくないですよ、お兄さん」
「…………」
「もしこのまま仲直りしなかったらお姉ちゃんのロリコンも直らないじゃないですか」
「ぐっ……」
上目遣いで見つめられる。
黒くて大きな瞳からは話に対する真剣さがひしひしと伝わってきた。
堂庭のロリコンを直す。
そういえば桜ちゃんと協力するって約束したんだよな。
俺が堂庭と話をしなくなれば俺は奴のロリコンを直すことはできなくなる。
でも逆に疎遠になることで堂庭はまともになるんじゃないか、なんて思っていたりする。
堂庭はいつも俺にに対する熱意をぶつけていた。つまり堂庭のロリコンを加速させる場所は俺だけだった、とも言える。
なら寧ろ距離を置いた方が良いのではないか? そう思ったのだが……
「お兄さん、覚えておいて下さいね? ……私はお姉ちゃんとお兄さん両方の笑顔を見ることが幸せなんです」
らかな笑顔になった桜ちゃんが答えた。
この子は……天使か!?
「……私も笑顔になれたら良いのですがそれは無理でしょうね」
「え? 今なんて」
「何でもないです。気にしないでください」
桜ちゃんは言葉をかき消すかのように満面の笑顔でそう告げた。
赤信號に捕まり、お互い立ち止まる。
目の前を自車やトラックが勢い良く駆け抜けていく。
「お姉ちゃん、きっと今頃苦しんでいます」
「…………」
「強気になっているだけで本當は仲直りしたいって思ってるはずです」
「そう……かな?」
「そうですよ!」
語気を強める桜ちゃん。
流石は堂庭の妹だ。彼の言っている事はきっと間違っていない。
俺も長年の馴染みとして薄々づいてはいた。堂庭が本気で俺と絶するはずが無いと。
しかし、昨日堂庭が放った恐ろしく低い聲を思い出すと自分の考えに自信が持てなくなっていた。
でも桜ちゃんは言っている。堂庭の本心を突いている。それに正直な所、俺は今の狀況が不安で仕方が無かった。
なら俺が取るべき方法は一つだ。
「仲直り、できるかな?」
「ふふ、お姉ちゃんは頑固ですからねぇ。お兄さんも良く分かってるんじゃないですか?」
「……まぁな」
普通に謝ってもアイツは見向きもしないだろう。だからこそ妹である桜ちゃんに仲直りする為の策を聞き出そうとしたのだが、彼のおかしそうに笑う姿からして明確に答えてはくれなさそうである無かった。私に聞く間でも無いでしょ、とでも言いたげだ。
「きっと大丈夫です。私はお兄さんを信じてますから」
「……え?」
信號機は青くり、桜ちゃんはいち早く橫斷歩道を渡り始めていた。
やるしかないのか……。
俺は堂庭と仲直りする方法を考えながら桜ちゃんの後を追った。
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