《ロリっ娘子高生の癖は直せるのか》【スピンオフ・修善寺の過去】小學生編「失われたヒト」
「朝早くにすみません……って子供!?」
玄関のドアを開けて顔を合わせると、若い男の人は驚きの聲を上げた。まさか対応したのが年端もいかない娘だとは思わなかったのだろう。しかし若き男の隣に立っているベテラン風のおじさんは特段驚くような素振りは見せず、私の目線に合わせるように中腰になった。
「朝早くにごめんね。私は橫須賀警察署刑事課の笹峰という者です。で、こっちの奴は……」
にこやかな顔で挨拶をしたおじさんは表を崩さぬまま隣の男の背中を叩いて「お前も」と促す。
「えっと……同じく刑事課の後藤と言います。さっきも見せたと思うけど、これお巡りさんの証ね。僕達は怪しい者じゃないから」
再び警察手帳を見せられる。いくら子供が相手とはいえ誤解を生まないように分の証明は徹底しているのだろう。ならば私はマ・セ・ガ・キ・として徹底するまでだ。
「焦げ茶の革ケース、文字の刻印に職員番號の桁數……。確かに本みたいですね」
まるで謎を暴いた探偵のようにドヤ顔で答える私。嬉しさが表に溢れてしまう辺り、私もまだまだ子供である。
「おぉ、これは凄い。手帳の特徴を知ってるなんて、おじさんビックリだよ」
笹峰さんは心したのか私を好奇の目で見つめていた。警察手帳に関しては刑事ドラマを見て興味を持ったから調べただけなんだけど、やはりこういう小學生は珍しいのかもしれない。
「誰かに教えてもらったりしたのかい?」
「いえ、前に気になって自分で調べたことがあったんです」
「ほほう。キミは優秀だねぇ。未來の警察ここにアリってじか〜?」
「いえ、私は別に……」
冗談を混じえながら楽しげに話す笹峰さんを見ていると、私が今まで警察に対して抱いていた堅苦しいイメージが崩れそうになってしまう。これじゃただの愉快なおじさんじゃないかと思ったが――
「一応キミの名前も教えてくれるかな? 私達の自己紹介は済んだからねぇ」
目のが変わった。流石はお巡りさん。今までの會話も必要な報を聞き出すための布石だったのだろう。
「修善寺雫です。九歳です」
「おぉ、九歳にしては隨分と禮儀正しいね。……後藤、データは合ってるか?」
私から目を話した瞬間、笹峰さんの聲は恐ろしく低くなった。今までの朗らかな態度がまるで噓のようだ。
「修善寺茂しげるの一人娘ですね。登録されている生年月日と照らし合わても一致してますし、詐稱は無いと思われます」
後藤さんはいつの間にか取り出していたタブレット端末に手をらせながら淡々と答えた。どうやら私の報は警察に渡っているらしい。
しかし最初に口にした言葉が父の名前だった點が気になる。恐らくだがこの人達は私の父に用があるのだろう。
「うむ、なら問題ないな。それで……雫ちゃん、お父さんは今家に居るのかな?」
「いえ、外に出掛けてますけど……もうすぐ帰ってくると思います」
「そうかそうか。よし、なら申し訳ないけどここでし待たせてもらおうかな」
笑顔で頷く笹峰さん。夜通し遊ぶようになってしまった父に警察がやって來るとするならば――
「あの……もしかして私のお父さん、何かしてしまったんですか?」
恐る恐る尋ねる。考えたくはないが、やはり父は何らかの罪を犯してしまったのだろう。
「雫ちゃんは何も知らないのかね?」
「はい、まったく……」
「なるほど。……なら私から事実を一つ伝えよう。キミのお父さんはしばらく家に帰ってこないかもしれない」
「それって、逮捕……?」
私の父は犯罪者になってしまったのだろうか。
だが不思議と悲しいは湧き上がらなかった。きっと父との接點がほぼ皆無だからだろう。私のことなんて見向きもしない赤の他人を心配する義理なんて私には無いのだし。
「まあ今はあくまで被疑者だから我々からの弁明は避けるがね」
しかし返ってきた答えは十分な答えになっておらず大人らしい対応。父は犯罪者なのか違うのか。赤の他人同然とはいえ私の父・であることに変わりはないので事実は明確にしておきたい。
更に質問を投げかけようとしたのだが、先に後藤さんが笹峰さんに食いついた。
「ですが決定的な証拠もありますし間違いないでしょう。四年も捜査をして百パーセントに辿り著いたんですよ? 家庭も持ってるのに子供を轢き殺すなんて……有り得ないですよ」
「おい後藤、止めないか!」
子供……轢き殺す……お父さんが……?
脳を衝撃が走るが、同時に過去の記憶も蘇る。
「蒼琉あいるくん……」
私が児だった頃、名前も知らなかった彼がひき逃げ事件によって命を失われた。もう四年が経つが未だに辛い記憶である。
「キ、キミ……!」
「まさか……!?」
彼の名前を呟いた私に何故か度肝を抜かれたように驚く警察。蒼琉くんの事を知ってるの……?
「四年前…………っ!」
私の思考回路は勝手にフル回転になり、疑問を解決へと導いていく。
確か後藤さんは「四年も捜査をして」と言っていた。二人はどうやら蒼琉くんを知っている。そして蒼琉くんが亡くなったのも四年前……。
いや、それだけでは無い。事件が起きたあの日、父は私を車で迎えに來なかった。いつも欠かさず來ていたのにあの日から一切無くなったのだ。しかもあれから父の車を見ていない……。
「噓……でしょ。蒼琉くんは……」
「えっと、雫ちゃん? もしかして事件のこと知ってたりするのかな?」
「有り得ない……有り得ないもん!」
こんなの噓だ。偶然が重なっているだけだよね。私の父がまさか……有り得ないよ。
私は言葉にならないび聲を上げながら家の奧へと駆けて行く。笹峰さんの呼び止めも無視して走り続けた。もう嫌だ。何も考えたくない。
「雫、どうしたの!?」
騒ぎのせいで目を覚ましたのか、寢起き姿の母とすれ違うも私はそのまま自室に向かって走る。
警察が我が家を訪れたこの日、私の父、修善寺茂は四年前に発生した姫塚蒼琉くんひき逃げ事件に関與したとして逮捕された。
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