《ロリっ娘子高生の癖は直せるのか》【番外】ロリっ娘の可さはトリックオアトリートなのか その3

「遅いな……」

恐らく二十分以上経っただろう。著替えに行ったはずの堂庭はまだ戻ってこない。

子の支度は男子と比べると時間がかかるというが、それにしても遅すぎるだろう。リビングから出た後、階段を上る音が聞こえたから勝手に帰ったというわけでも無いだろうし。

俺はひとまず起き上がってキッチンに向かい、冷蔵庫から麥茶を取り出してグラスに注ぐ。そしてぐいっとに流し込んでいた時、ドタドタと階段を駆け下りる音が聞こえた。

やっとか……。俺は急いで元の場所へ戻る。

「お待たせ!」

息を切らしながら戻ってきた堂庭。その姿を見て俺は思わず「おぉ」と唸ってしまった。

の姿は、予想していたロリータファッションとは異なるどころか、正反対と思わせるようなコスプレだった。

「イメージはサキュバスなんだけど……ちょっと小悪魔風にしてみたの」

「なるほど……」

照れくさそうに答える堂庭に対して、俺も目のやり場に困っていた。

元が大膽に開かれたゴシック風のドレスに、スカートも丈が極端に短くて彼い生腳が公共の福祉に反しないであろうギリギリのラインまで出している。おまけに悪魔と思わせる黒耳のカチューシャと翼までに著けているのだ。これを平然と見ていられる男子高校生がいるのなら是非とも名乗り出てほしい。

「本當はランドセルを買って小學生っぽい見た目になろうと思ったんだけど、メアちゃんに「それじゃ普段と変わらない」って言われたんだよね」

「まあ……そうなるわな」

堂庭の場合だと素の狀態が既に小學生の仮裝みたいなものだからな。

「それで相談したらメアちゃんがこの裝を作ってくれたの。たまには違ったファッションにすると良いって」

「マジか……。あのロリメイドさん何でもできるんだな」

まるで売りのように巧な造りをしているし、量産すれば商売として立しそうなくらいだ。

「あたしはよく分からないけど……これ、似合ってるかな?」

頬を赤らめながら上目遣いで見つめてくる堂庭。やめろ……そんな目で俺を見ないでくれ……。

「あ、あぁ。似合ってるぞ」

高鳴る鼓を抑えながら答える。本來は気をじさせるのであろうサキュバスのコスプレだが、堂庭は見事に著こなしていた。

型とはいえ魅力が皆無なわけではない。大人のサキュバスには程遠いかもしれないが、子供のサキュバスと考えれば堂庭にはピッタリの仮裝とも言えるだろう。

「本當? なら良かった!」

俺の返事を聞いた堂庭は頬の筋を緩めて安心した笑顔を浮かべる。本當に素直というか単純な奴だな……。

ニコニコと喜ぶ堂庭を見ていると俺の鼓は更に不安定になってくる。

しいというが芽生え、先程封じ込めた邪悪な求も再び蘇ってくる。

「堂庭……!」

気付けば俺は彼の両肩に手を乗せていた。そして前へ前へと押していく。

駄目だ……。自分で自分を止められない。完全に暴走してしまっている……!

「え、何……?」

目をまんまると見開いて尋ねる堂庭を無視して俺は彼を押し続ける。

そしてソファーの前まで連れていき、そのまま押し倒した。

「晴流……?」

「…………」

堂庭の華奢ながり、目と目を合わせる。彼の顔は真っ赤だ。目元には薄っすらと涙も浮かんでいる。

それからお互い見つめ合うこと數秒――數十分にも思えたけど恐らくそれくらい。我に返った俺は慌てて離れた。

「ご、ごごごごめん! マジでごめん!」

やってしまった。とうとう俺はやってしまった。

これは通報されて用か? 小學生児(子高生)を自宅へ連れ込み、卑猥な裝に著替えさせた挙げ句わいせつ行為で逮捕だなんて報道されたら、俺はもう立ち直れないぞ……。

堂庭に背を向け、全の力が抜けるようにへたり込む。お父さん、お母さん。今まで育ててくれてありがとう。こんなダメ息子でごめんね……。

「ねぇ、晴流……?」

堂庭のか細い聲。あぁ、俺は大好きな相手を傷つけてしまったんだ。きっとそうだ……。

「本當にすまなかった! さあ、とっとと通報してくれ!」

「え、何で通報するの……? それにもう謝らないで。あたしはちょっと驚いただけだから」

「…………え?」

恐る恐る後ろを振り向く。堂庭の顔は変わらず紅していたが、らかな表で俺を見つめていた。

「晴流のくせに大膽だよね。……ちょっと生意気じゃない?」

「……ごめん」

「だから謝ることじゃないって。ちょっぴり怖かったけど、あたしは嬉しかったよ。晴流に押し倒されて」

「嬉しかった……?」

何故だ。いくら人同士とはいえ相手の同意も得ないで己のをぶち撒けようとした奴だぞ。一歩間違えば堂庭にも危険が及んだはずだ。それなのに嬉しいって……。

「ほら、あたしって背も低いしもぺったんこでしょ? 別にこのに不満を持っている訳じゃないけど、晴流があたしをどう見てくれているか不安だったの」

堂庭は寂しそうな笑顔を浮かべながら、ゆっくりと言葉を紡いでいく。

「せっかく両想いになれたのに子供扱いされたらどうしようってずっと思ってた。でも晴流はあたしを押し倒してくれた。それがこういう破廉恥な格好だったからだとしても、晴流はあたしを・として見てくれたんだよね?」

「ま、まぁ……そうなるの、かな」

俺はロリコンじゃないと願いつつも型の堂庭に興してしまったのは事実だ。

だが見た目だけに己のが掻き立てられたのではない。仮に小學三年生の舞奈海に同様の仮裝をさせても「を出し過ぎ。風邪引くから早く著替えろ」としか思わないだろう。

つまり俺はロリコンではなく堂庭をの子として見ており、湧き上がった人として正常だったということだ。Q.E.D. 証明終了。

……なんて威張れる立場ではないのだが。

「だから……ありがとっ」

「おぅ……」

俺は照れながら笑う堂庭を直視できなかった。だって可すぎるもん。またが暴走するかもしれないし。

「でも次からは晴流の部屋とかあたしの部屋にしてね。その……ここじゃ誰に見られてるか分からないし」

「い、いや次って……。そんな張り切られても困るんだけど」

今日は危なかったけど、そういうのはまだ早い気がするのだ。まずは人としてを健全に深め合っていきたい。

「本當に困るの? あたし見ちゃったよ、さっき晴流の部屋で……」

「……は? お前まさか」

著替えに時間がかかっていると思ったけど、俺の部屋をしていたのかよ。しかもこの言い方だと――

「CDラックの裏側にDVD。顔、制服、低長って文字が書いてあったけどあれは何かなー?」

「あああああやめろおおおおお」

誰も知らない俺だけのお寶が……。

「ふふ、恥ずかしがらなくてもいいのよ。晴流だって男の子なんだし、の可さも理解してくれたんでしょ?」

「違う! 俺はロリコンじゃない!」

「えー? でもあたしに告白した時「俺はロリコンの変態だ」って言ってなかったっけ?」

「あれは勢いというか口から出任せだったから……。お前みたいな趣味は持ってないんだよ」

堂庭の言ってる事は全て事実だし、俺のお寶DVDのラインナップも堂庭ほどでは無いが、それに近い丈が含まれていなくもない。

だけど実年齢はロリじゃないし、あくまで合法だから……問題ないはず。

「えへへ、晴流のロリコン大魔王〜」

「お前だけには言われたくねぇよ。このロリコンサキュバス」

お互いに言い合って、思わず笑みがこぼれてしまう。

正直な所、堂庭が勘違いしているのか、俺が勘違いしているのか分からない。

だがこうして笑い合っているのだから、別にどっちでも良いのだろう。

今の関係が続くのであれば俺は何でもれるし、このが滅びようとも彼してやる。

……あ、でもが滅んだら堂庭が悲しむか。なら止めよっと。

=================

全年齢の壁さえ無ければあんな事やこんな事も……!

ということでハロウィン編は以上です。

次話は11/10(土)投稿予定です。

    人が読んでいる<ロリっ娘女子高生の性癖は直せるのか>
      クローズメッセージ
      あなたも好きかも
      以下のインストール済みアプリから「楽しむ小説」にアクセスできます
      サインアップのための5800コイン、毎日580コイン。
      最もホットな小説を時間内に更新してください! プッシュして読むために購読してください! 大規模な図書館からの正確な推薦!
      2 次にタップします【ホーム画面に追加】
      1クリックしてください