《ロリっ娘子高生の癖は直せるのか》【スピンオフ・修善寺の過去】小學生編「母の願い」

「お母さん!」

その場で崩れ落ちた母の元へ駆け寄る。盜み聞きしていた事がバレても私は言いたい事があった。

「雫……! さっきの話聞いてたの?」

「うん、気になったからつい」

「そう……聞いちゃったんだ……」

母は寂しそうな表を浮かべていた。やはり親の立場としては辛い場面を子供に見せたくなかったのだろうか。

「お母さん、ごめんね。私今まで勘違いしてたよ」

「……何故雫が謝るの? 貴方は何も悪くないわ」

「ううん、違うの。私ずっとお母さんを信じてなかった。お父さんが捕まった時も分からないフリをしてたし、お母さんも隠している事があるんじゃないかって思ってたの」

「あら……バレてたのね」

母は母なりに私を守ってくれたのだろう。だけど私は噓が嫌いだ。人を騙して貶めて傷付ける……そんな行為を散々けてきたから、私が味方だと思ってる人だけは噓をついてしくないと思っていた。

けれど噓をついて良いケースも、ひょっとしたらあるかもしれないと思う。なくとも私は今まで母の庇護ひごのもとに育ってきたのだから文句を言える立場ではない。

でもそんな優しい噓は今日までにしておきたい。

私だって母を助けたいのだ。

「お母さん、これからは私に隠し事をしないでくれる? 私は大丈夫だから。子供だけど……もう子供じゃないんだよ?」

九歳の私に何ができるか分からない。だが一緒に戦うという意思表示だけはしておきたい。大人には負けるけど私だってんな経験を積んで鍛えられてきたのだから。いつまでも甘えている訳にはいかない。

「雫……大きくなったわね……。本當に立派に長して……」

頭に母の手が乗り、優しくでられる。長というのは恐らく面的な意味だろう。型はまだ未だし長や重も平均以下なのだ。

話は変わるが、十年後の私は綺麗なお姉さんになれているのだろうか。心ばかり長して背やが大きくならなければショックである。

「お母さんは貴方だけが希なの。だから私の都合で不自由にはさせたくない。雫は前だけを見ていれば良いのよ」

「でも……お金はあるの? 返さなくちゃいけないんでしょ?」

「気にする必要は無いわ。まずは他から借りて、私ももっとお仕事を頑張ってお給料を沢山持ってくるから」

母の笑顔を見ると心配になってしまう。家事と仕事に追われる毎日のはずなのに、これ以上働いたら倒れてしまうかもしれない。もしそうなったら……私はいよいよ取り殘されてしまう。そんなのは嫌だ。

「無理はしないでね。私はお母さんを信じるから……ずっと傍にいてね」

「ありがとう。雫がいれば私も頑張れるわ。もう辛い思いなんてさせない」

頭をでる手が私の肩に移してそのまま母の元へ引き寄せられる。お互いの溫が共有され、今までの不安が全て吹き飛ぶほどの安心がこみ上げてきた。

もう甘えないなんて大人びた事を思ったけど、母の溫もりは絶大だ。いつまでもこうして抱き締められていたい。ありふれた小學生のように母に甘えてみたい。

「雫……お母さんからのお願い、聞いてくれる?」

「お願い……?」

見上げて母の顔を見やる。

優しい表をしているものの、漆黒の瞳は真っ直ぐ私を見ていた。

「貴方は幸せになりなさい。好きなこと、興味のあることはどんどん挑戦しなさい。もしそれで失敗したとしても雫が諦めなければ道は絶対に閉ざされないわ。笑って生きて、素敵な人と出會って結婚して……。例えお金が無くても貴方が幸せだとじられればそれは幸せなの。これがお母さんの願い。困ったらいつでも帰ってきていいから……約束してね」

「うん…………分かった」

當時の私は全てを理解できなかった。だから生半可な返事をしてしまったけど、母は決して噓をついておらず本音で私と向き合ってくれている事は分かっていた。

幸せになる――非常に難しい願いを託されてしまった。一生かけても葉えられないかもしれないけど、この広い世界を探せばきっと私の幸・せ・があるはず。

前を向いて生きていこう。

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