《ロリっ娘子高生の癖は直せるのか》【スピンオフ・修善寺の過去】中學生編「超清純派嬢様」

――十二歳。私立鶴岡學園中等部學。

から青春真っ盛りの子高生まで世話になる者が多い我がお嬢様學園は、進學も基本的にエスカレーター式だ。申し訳程度のペーパーテストに合格すればすんなりと中學生に位を上げることができる。

だが私は中等部に進學するか迷っていた。家庭の金銭事を考えれば多額の費用がかかる鶴岡學園にいつまでも居座るのはよろしくない。地元の公立中學校で心機一転するのも悪くないだろう。

しかし母から「學園の生徒でいなさい」と言われた。

因みに私がクラスでハブられている事は母の耳には屆いていない。つまり気の知れた友達が數多くいるのだろうと思っているわけで、母の見解としては折角の環境を経済的な都合で臺無しにしたくないと考えていたはずだ。

このような狀態を踏まえると私が學園を辭めたいと強く訴えたら、辭めたい理由があるのではないかと勘ぐられる恐れがある。母にはこれ以上心配をかけたくなかったし、孤獨とはいえ學園での生活も慣れていたので私は中等部への進學を選択した。

一方、瑛は地元の公立中學校に通う事になった。

私と距離を置いてからの彼はいつも一人で行していたから、顔には出さずとも寂しさをじていたのかもしれない。「ごめん」という一言すら掛けられなかった自分が憎い。いつか仲直りできる日が來るかと待っていたけれど、結局瑛は私から離れてしまったのだ。どこまでも私は失・う・・であり、哀れなぼっちなのである。

相変わらず孤獨な日々を送っていた私だが、中學生になってから新たな居場所ができていた。

それは部活期に習っていたピアノやバイオリンの特技を生かして吹奏楽部に部したのだ。

管楽がメインの吹奏楽にバイオリンは要らないのではと思うだろうが、先輩達に「寧ろしい人員だ」とせがまれて半ば強引に部させられたのが始まりである。

幸いにも私の父に関する噂は他學年までは及んでいなかった事から、部活の先輩達の目は暖かかった。

私がこんな厚遇をけても良いのだろうかと自問自答しつつ一年が過ぎ、中學二年生になって數日が経ったある日。

「はい、じゃあまずは自己紹介からしましょうか」

広々とした音楽室の隅に集まる吹奏楽部員。部長の指示によって新りの挨拶が行われようとしていた。

私の後輩として部したのは三名。どの子もお嬢様らしい気品がじられるが、とりわけ可憐なの子がいた。

艷やかな長い黒髪はしく、背は私より拳二個分ぐらい高い。凜とした顔立ちだが、はにかんだ笑顔はどこかい印象を覚える。

きっと外界の醜さを知らないのだろう。丁寧な所作とお辭儀を魅せた彼は潤んだをゆっくりと開いた。

「では私から。……堂庭桜です。よろしくお願い致します」

「な……んじゃと……!」

なんという事だろう。目の前に並んだ新部員の中で一際輝く黒髪が堂庭桜――つまり瑛の妹だったなんて。

については瑛から聞いていた。しかし名前が桜である點と同じ學園に通っていて年齢が一つ下という事以外は一切話してくれなかった。

気になっていたが、無理に聞き出すのは変だし、人様の家庭事に首を突っ込むのは失禮極まりないと思ったので私は敢えてその話題についてれなかった。

だが瑛が口を閉ざした理由も彼を目にすると何となく理解できる。

要するに自分より優れた妹を紹介するのが億劫だったのだろう。長も人並みにあるしスタイルも抜群。所作も丁寧で瑛は疎おろか私よりも大人びた雰囲気を漂わせている。とても姉妹には見えないな……。

「ご、ごめんなさい! 私、何か大変な相をしてしまったのでしょうか……?」

「いや違うぞ。わしが勝手に驚いただけじゃ。気にするでない」

「ありがとうございます。……あの、間違ってたら申し訳ないですがその言い方はもしかして……」

真ん丸で大きな瞳を開かせながら、こちらを覗き込んでくる。相手は年下だというのに何故か張してしまうな。やはり彼は瑛に無い魅的なオーラがあるのだろう。

「修善寺先輩、でしょうか?」

「え、あぁそうじゃが。もしやわしの事を知ってるのかえ?」

「はい、もちろんです! お姉ちゃんからお話を伺っておりますので」

私の変わった言葉遣いが有名になって他學年にも広まったのかと危懼したがどうやら違うようだ。それにしても瑛の奴、私の事を教えていたんだな。一どんな風に話しているのだろうか。『親友』って言ったのかな……。

「あらまあ、お二人さんはお知り合いなんですの?」

私達の會話を隣で聞いていた部長が口を開く。そしてその質問に素早く応じたのは桜だった。

「はい! 修善寺先輩は私のお姉ちゃんの友達なんです。々な事を知っていて達観している凄い人って聞いてます」

「確かにそうねぇ。雫ちゃんはしっかり者だと思いますわ」

心する二人の表を見ると私はつい恥ずかしくなって顔を俯けてしまった。

の奴……いくら何でも私を褒めすぎだぞ。

「わ、わしの話はいいから、早く自己紹介の続きを進めてくれないかえ」

「ふふ、そうですわね。雫ちゃんも困ってるみたいだし」

含み笑いをする部長に促され、一時中斷した本題が再開される。

その時、桜の口がしだけいた。

「先輩……可いなぁ」

獨り言のような呟きが聞こえたが……。気のせいだっただろうか。

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