《男尊卑の改革者》第一章『異世界転生!?』第四話「この世界と先生?の語」

俺が転生してから、早くも一週間が経とうとしていた。とは言え、何か変わったことがあったわけではない。朝起きて食事、ベットに寢かされて、姉さんやミリアたちがたまに來たり、おしめを替えたり………。あ、恥ずかしいことあったな。

ともかく、まだまだ自由にけない俺は暇だった。今は姉さんが遊びに來てくれている。マルシアは基本俺のそばにいてくれているので、現在この部屋には三人いる。

「えへへ〜。ユウちゃ〜ん」

「あぃ〜〜」

「(プニプニ)」

「うぅ〜〜〜」

まぁ何が楽しいのか、皆は毎日俺のところに遊びに來てくれる。もちろん、嬉しいのだが、姉さんくらいの年の子は結構飽きやすいと思うんだけどなぁ。

「あ!そうだ!」

と突然、姉さんが立ち上がって、とてとてと可らしい足音をたてながら部屋を出ていく。しかし、すぐに戻ってきた。その手には、

「(あれは…………絵本か?)」

どうやら俺のために、わざわざ持ってきてくれたようだ。

「えへへ〜。私が読んであげるねっ」

幸せそうに笑うソフィア。あれから一週間彼と過ごしてきて、最初は控えめな子なのかと思っていたが、ただ張していただけのようで次の日もまっさきに來てくれた。まぁ、習い事があったみたいで、すぐに行ってしまったが。

「じゃあ、読むね」

「(おっと始まるようだ)」

と思って目を向ける。

「(あれ?でも、どうやって読み聞かせるつもりなんだろう?)」

いくら俺の長速度が異常でも、まだ生まれてから一ヶ月も経っていないため、座ることすら厳しい。確か、首が座るのが四ヶ月くらいだったか?

そんな風に考えていると、姉さんが俺の隣にゴロンと寢転がる。

「よしっ。それじゃあ…………」

そう言って、姉さんは目を瞑る。集中しているようで、何かを言える雰囲気ではない。すると、姉さんが手に持っていた絵本が急に空へ飛び上がる。

「(うおっ!?…………これは!?)」

「えへへっ!どう?驚いた?」

俺が目をぱちくりさせていると隣から、そんな聲が聞こえてくる。しかし、俺にそれを気にしている余裕はない。

「(………魔法)」

知らず知らずに手をばそうとしている自分に気づく。

「フフッ。それじゃあ、読んでいくねっ!」

そう言って嬉しそうに読み始めるソフィア。マルシアはその様子を優しい微笑みを浮かべながら見ていた。

「…………そして、魔王は倒されて世界に平和が戻りました。おしまいっ」

本の容は王道の魔王と勇者の戦いを描いたものだった。その中にもやはり、魔法が登場していた。

「どう?面白かったかなっ?」

姉さんが隣でそう聞く。

「あいっ!」

もちろん俺は元気に返事をする。

「そっかそっか〜。えへへっ」

俺がそう返事をすると、姉さんは嬉しそうに笑う。すると、コンコンという扉をノックする音が聞こえた。

「失禮するわ」

そう言ってってきたのはミランダだ。

「あ。お母様」

姉さんは立ち上がって、ペコリと頭を下げる。

「絵本を読んであげていたの?」

「はい」

「そう。よくできたわね」

そう言って、ミランダは姉さんの頭をでる。

「あ、ありがとうございます」

再びペコリと頭を下げる姉さん。その顔はし興したのか、赤く染まっている。

「でも、そろそろ勉強の時間よ」

「あっ」

先程までの楽しそうな雰囲気が消えて、途端にどんよりした雰囲気になる。

「…………あぅ〜〜」

「?ユウちゃん?」

どんよりした雰囲気の姉さんがこちらを向く。俺は必死にかす。

「あいっ!あいっ!」

「……………」

なんとかやる気を促そうと、フレーフレーのイメージでかす。

「フフッ。ほら、ソフィア?」

「?」

「ユウトくん、頑張ってって伝えたいんじゃないかしら?」

「(おぉ!伝わった!)」

…………なんかこっちの人は鋭いんだよな。特にミリアとミランダは。

「………そうなの?」

ソフィアは首をコテンと橫に倒してそう聞く。

「あいっ!」

「………そっか」

ソフィアはそう言うと、

「私はお姉ちゃんだもんね。頑張んなきゃ!」

と言って笑顔になって、

「じゃあ、頑張ってくるねっ」

ソフィアはそう言って、部屋を出ていった。

「フフフッ。ありがとう、ユウトくん」

ミランダもそう言って、俺の頭を一度でてから部屋を出ていった。

「うぅ〜〜〜、あぅ〜〜〜」

「あら?」

あれからしばらくして、俺はお腹が空いてしまい、仕方がなく騒ぐことにした。サイクルはおそらく、普通よりも長いんだろうがそれでも大変だと思う。

でも、ミリアは俺の食事中の姿を見て幸せそうなのだ。その笑顔を見ていると、遠慮するのはお門違いのような気がしてしまったので素直に呼ぶようにしている。

「お腹が空いたんですかね?今、ミリア様を呼んできますので、しだけ待っていてくださいね」

マルシアが、そう言って部屋を出ていく。

「(さて……と、これで一人になれた)」

とりあえず、この一週間で分かったことを整理しようと思う。

まず、この世界の名前はローリエント。先程の姉さんを見れば分かるように、この世界には魔法が存在する。種族も人族、獣人族、エルフ族、魔族、妖族など多様にわたる。最も數が多いのは人族であり、世界中に存在している。その中でも最大の都市がここ、アブサロムである。

そして俺の家、シュナイダー家はアブサロムの貴族の一つだ。辺境伯であり、アブサロムの國境に家を攜えている。父が現國王と親友らしく、國王自ら辺境伯になってほしいと言われたらしい。実を言うと、父クライドは貴族出ではない。父いわく、冒険者だったらしい。母ミリアは貴族であったが、冒険者に憧れて冒険者なった。そして、ある任務で二人は出會い、一目惚れでそのまま婚約。…………我が親ながら、なんともたくましいことである。その後にクライドはミランダとも婚約。ミランダとは馴染だったそうだ。

そして、ここからが一番驚いたことなのだが、この世界には一夫多妻制が存在する。まぁ、それだけならば分かるのだが、俺が驚いたのはその法律が制定された理由だった。それは、の人口に対して男の人口がなすぎることだったらしい。というのも、この世界では男比がとても偏っており、だいたい30:1らしい。まぁ、正確に測ったものではないそうなので多は前後するらしいが。そのため、どうしても男が優遇されることが多くなってしまうらしい。そして逆に言えば、それだけ貴重な存在だからこそ、狙われやすくもなる。俺が四歳まで外へ出られない、というのもそれが理由だ。そもそも、四歳というのも普通よりもだいぶ早いらしい。中には十歳を越えなければ家から出さないという家もあるらしい。まるで、もとの世界の平安時代ののような扱いだ。

そしてこの事実により、俺の疑問はほとんど消えた。クライドたちがあんなに真剣に話し合っていたのも、今となっては頷ける。つまり、『男』という存在は最強の手札でもあり、最悪の手札でもある。言わばジョーカー・・・・・のような存在、ということだ。

まぁ、『ジョーカー・・・・・』なんてあの人たちから言われるわけがなく、普通に接してくれている。嬉しい反面、早く自分のくらいは自分で守れるようになりたい。……………いや、違う。自分の大切なものをすべて守れる力がしい。俺が元の世界で死んでしまい、多かれなかれアイツらにショックを與えてしまったのは、間違いないだろう。だから、中途半端じゃ駄目だ。また誰かに、大切な人にそんな思いをさせたくない。俺は……………、

「……………ふむ、赤子にしてはあまり聲を上げないな。普通ならば、もっと驚くと思ったのだが」

急に聲をかけられる。その聲は俺の聞いたことのない高いの聲で、なんとか聲のした方に頭を向ける。そこには、紫の髪をした一人のがコチラを覗き込んでおり、

「ん?気づいたか?おはよう、ユウト」

とあっけらかんに言い放った。

「……………」

「……………」

「…………………」

「…………………」

いきなり現れたそのは何故か何も言わず、黙って俺の目を見ている。

「…………ふむ」

ようやく、その一言だけ呟いて、

「やはり、赤子にしては意思がしっかりしているようだな。これは期待が出來そうだ」

「(ゾクッ!)」

笑った。いや、笑ったと言ってもミリアのような優しい笑顔ではない。クライドのように自信に満ちた笑顔でもない。

ただただ相手に恐怖を與える、そんな笑顔だった。

そのは結構な人で、つきも男が好きそうなじだ。正直、ミリアたちにも負けていない。

…………にも関わらず、この笑顔のせいで全部が臺無しになってしまっている。そのまま、そのは俺の方に近寄ってくる。

「………………」

「やっ……」

そして、手がびてくる。綺麗な手のはずなのに、俺には悪魔の手にしか見えない。

「ふぇ………」

………あ、ヤバイ。また、

「うえぇぇぇんっ!!!」

「うおっと」

思わず泣き出してしまう。俺はどうやらこのに影響されやすいようで、他の赤ちゃんに比べたらないが元高校生とは思えないほど泣いてしまう。最初はスゴく恥ずかしかったが、まぁ慣れの問題だった。そして、いつものように…………、

「ユウちゃん!?大丈夫!?」

と、ミリアがってくる。ミリアは俺が泣き始めてから、秒単位でこの部屋に來てくれるのだ。そう、どこにいても。

この前も買いに行ってくる、と言って他の街へ出かけたはずなのに、一分もたたずに戻ってきた。…………どうやってんだろう?マジで。

「よしよし。大丈夫だよ〜。何があったのかな〜?」

紫髪のにはひと目もくれず、俺を抱き上げてあやし始めるミリア。そして、マルシアが向こうから息を切らしながら部屋にってきた。

「み、ミリア様………。は、早すぎますよ…………さ、さっきまで、庭園にいたではありませんか」

え?庭園って確か、ここから500mは離れてなかったっけ?あれ?俺の記憶違いかな?

……………うん、もうそういう事にしよう。そうしよう。うん。

「まったく……………って、え?!」

ふぅ、と一息ついて顔を上げたマルシアが驚いた表を浮かべる。そして、

「ど、どうしてネロ様がいらっしゃるのですか!」

と先程の怖いを見ながらそう言った。

……………ん?ネロ?どこかで聞いたような気が……?

「あら?先生・・?どうしてここにいらっしゃるんですか?」

ミリアが不思議そうに尋ねる。せ、先生?もしかして………、

「あぁ、ちょっと弟子・・の様子を見にね。それと新しい弟子・・・・・も見ておきたかったから」

や、やっぱり………。この人がクライドたちが言ってた魔法の『先生』か!

「…………それで?」

「ん?」

「私の子に、何かしたんですか?」

……………あ、ヤバイ。ミリアがまた、あの笑顔に。さっきのこの人の笑顔も強烈だったけど、やっぱりこっちの方がヤバイ気がする。

「…………いやいや、別に何もしてないさ。ただ、ちょっと近付こうとしただけだよ。ねぇ?」

と俺に聞いてくるが、

「(ビクッ)」

「………………」

と勝手にが震えてしまう。どうしても、さっきの笑顔?が頭から離れない。その様子を見たミリアは、

「……………先生?し、お話をしましょうか?」

「い、いや。ちょっと待ってくれ。確かに、私はそこの窓から勝手にってしまったし、その子を泣かせてしまった。不思議な雰囲気があったから、ちょっとだけ覗いてみようと思って魔力を流そうともした。だが、それらは純粋な興味と好奇心であり、決してやましいことでは……………」

「へぇ?勝手にこの部屋にって、勝手に私の子を鑑定しようとして、泣かせて………。それらは全部好奇心だからしょうがない、と?」

ピタッとくを止めるネロさん。俺はミリアの雰囲気に呑まれて、泣き止んでいた。でも、ミリアの顔は見れない。いや、違う。見たくないんだ。この人が………この変人がこんなに表を引きつらせるほどのミリアの笑顔なんて、俺は見たくないっ!!

「………………」

「………………」

靜寂が訪れる。そのスキにマルシアは部屋から退室していた。そして、

「…………先生?」

「な、なんだ?」

ひと呼吸おいて、ミリアはおそらく( 怖すぎて顔を上げることができないため)最高の笑顔で、

「…………有罪ギルティです」

と呟いた。次の瞬間、俺の目の前がに染まった。

To be continue.

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