《に転生した俺の保護者が神な件。》11話 友達の話
「って」
「は、はい」
一般クラスの校舎の二階には、部室になる予定の空き部屋がいくつも存在している。出りは自由である。
俺とカズがやってきた部屋は和室になっていて、日本のように靴をいで畳に上がる。
カズと話すのならこの部屋が一番落ち著けるだろう。
「は……話とはなんでしょうか……」
「そんなに大事な話じゃないんだけど、さっきも言った通りカズヤと友達になりたいって思ってな」
「なんで俺なんかと……友達に?」
考えていなかったな。ただ友達になりたいってだけの理由なら怪しまれるだろうし……。
「特別クラスの方が一般クラスの俺と友達なんて……特別クラスの方にメリットはあるのでしょうか」
あぁ、そういやカズは困ると理屈で話すようになるんだよな。張して頭が固くなるというか、極端な考え方になってしまう奴だ。
「あぁ〜……なんだ、その。一目見た時からお前を友達にしようと思ってな」
「えっ?」
「…………」
俺何言ってんだ。今の俺はだぞ? これって明らかに一目惚れされたと勘違いされるパターンだよな? ほら、カズヤの奴俺を見て目をぱちくりさせてる。
「あっ、ああいやっ! そういう意味じゃなくてっ、その何ていうか──」
「ふふっ……す、すみません」
「……? ど、どうしたんだ急に」
カズヤが急に笑ってきた。
「その、俺の昔の友達に雰囲気が似てるな〜と思って……すみません」
「っ! そ、その話詳しく聞かせてくれないか?」
カズの昔の友達と言ったら俺しかいないだろう。この話題に何か友達になれるキッカケがっているかもしれない。
「わ、分かりました。実は……俺は転移者なんです。転生者と違って目立った能力なんて持ってませんが、転移する前の世界に同じ年代の友達が居たんです」
「……」
同じ年代と言ったらやはり俺だ。失禮だけどカズは俺以外に友達なんていなかった。
「それで、シンシアさんの仕草や困った時の顔がその友達に似てて、思い出してつい笑ってしまったんです」
「仕草……? 例えば?」
俺が仕草について聞くと、カズは俺の方を指差した。
「その機の上で左手の指を上にして組んだり、困った時には手をワタワタとかしたり、まるでその友達が目の前にいるみたいで……すみません。他人とシンシアさんが似てる、なんて失禮ですよね」
「いや、ありがとう」
こいつ……普段から俺のそんな仕草を見ていたのか。自分でも気づかなかったな。指の組み方とか。
「じゃあカズヤ、俺をその友達だと思って接する事はできるか?」
「っ……それは……凄く難しいです。俺は特別クラスの方達を尊敬しているので、特別クラスの方にあの友達のように接するのは……」
でも俺の前世の時ですらもカズとはしだけ距離をじたけどな。もっと親な関係になれないかと毎日んな話をしてたりしたんだけど、やっぱりどうしてもカズは一歩引いて事を見ることが多い。
「分かった。じゃあその友達にように接したりはしなくていい。でも、俺はカズヤと同じ目線に立って話す。それでもいいなら友達になってくれるか?」
改めてカズに頼んでみると、しばらく俺を見つめた後に何かを決めたのか顔の張を緩めた。
「分かりました。それなら俺からも頼んでいいですか?」
「ん? 何だ?」
カズの方から頼みとは何だろうか。ある程度の範囲なら聞けるのだが。
「一般クラスの俺と友達になってください。お願いします」
カズは両手を前に出して頭を下げた。
「……なるほど」
この場合、カズからお願いして俺と友達になった事になる。つまりカズなりに特別クラスのイメージを変えよとしたのだろう。
化けとも呼ばれる特別クラスは、一般クラスや教師からは恐れられることが多い。しかし友達になって下さいとお願いすれば友達になれる。という事が知れ渡れば"特別クラスの生徒は意外と穏やかな人達なのでは?"と思われるだろう。
「昔の友達はカズヤの事をなんて呼んでいた?」
「えっと、カズって呼んでました」
「じゃあ俺もカズって呼ぶよ。ありがとう」
謝を伝えてカズの手を握る。
こうして友達だったカズとは赤の他人から再び友達になる事ができた。といっても俺の仕草や雰囲気でしだけ心を開いてくれた程度で、以前のように仲良くなれるとは思っていない。
またこれから仲良くなればいいさ。
◆◇◆◇◆
「おいカズヤマジかよ!」
「マジだよ。特別クラスのシンシアさんにお願いして友達になってもらった!」
今、俺は教室で皆の注目の的となっている。あの凄い人達揃いの特別クラス、その中の1人と友達になれたんだ。それに、あのシンシアさんは雰囲気が友達に似ている。だからこう思ったんだ。"この人ならあいつのように俺を必要としてくれる"って。
シンシアさんなら、きっと俺に本當の居場所を與えてくれるだろう。
──もう、あの時のような苦しみを味合わない為にも。
◆◇◆◇◆
それは俺が小學2年生の時からだった。
「皆サッカー行こうぜ!」
「僕も混ぜてよ」
皆が遊びに行く時、俺も皆と一緒に遊びたいと思って聲をかけたんだ。でも、皆は冷たかった。
「誰お前」
「知らね」
「行こうぜ」
俺は誰からも必要とされる事なく、いつも獨りぼっちだった。授業でも、分かった問題に手を挙げても先生に當てられることはなかった。
俺の何がいけなかったのかなんて分からない。そうして俺は小學2年生で、社會の理不盡さを知った。
3年生になると、1年生と遊んだり話したりする事が多くなった。その時は俺にもこういう生き方があるんだって喜んでいたけど、上級生達や同じクラスの人達はそんな俺を嫌っていた。
「痛い゛っ……や゛め゛……え゛っ……」
「おらどうした!! 何か言ってみろ!!」
「や゛え゛っ……げほっ!」
俺は1年生、2年生の前で同じクラスや6年生から暴力を振るわれた。そうしてそんなけない姿を見た1年生達は俺を馬鹿にして、めに加擔した。
そこで俺は、この世界に俺の居場所なんてどこにもないんだと知った。
お父さんは俺が生まれてすぐに離婚していない。お母さんは毎日知らない男の人を家につれてきては、夜になるとお酒を飲んで暴力の毎日。本當に理不盡だった。
でも、俺が中學生になった時。あいつは他の子とは違った。
俺が1人で登校していると、いつの間にか橫で楽しげに俺に話しかけてきてくれて。休み時間は一緒にくだらない事して笑って。
俺を馬鹿にしてくる奴がいたら、あいつは構わずそいつらをボコボコにしていた。
そして俺は、一生この人に付いていくと誓った。
◆◇◆◇◆
「へぇっくしゅん!!」
「シンシアちゃん大丈夫?」
「ゔぁ〜……なんだぁ? 誰か噂でもしてるのか?」
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