に転生した俺の保護者が神な件。》34話 魔王イヴと尿

「シンシアちゃ〜ん! おはよう!」

◆◇◆◇◆

「……っ!」

今……サラの夢を見ていた気がする。

サラは元気にしているだろうか。出來ればこっちに來ないで、アイリ達と平和に過ごしてくれていれば嬉しいのだが。きっと俺の為ならなんでもするサラなら助けに來るんだろうな。

「部屋の掃除っと……っ!?」

を起こし、下半な事に気づいてすぐにメイド服を著る。昨日の俺は何をしていたんだろうか……。

今のところ與えられた仕事は自分の部屋の掃除のみ。部屋にある小を自分好みに配置した後、クラリスに貰った魔王軍の目的についての本でも読もう。

あの本を読んで、どういう風に協力したら良いのか考えて自分から行できるようになればクラリスさんや魔王イヴに褒められるかもしれない。

「……ふぅ、広い部屋ってのも大変だな」

部屋の中を歩き回っているだけで疲れてしまった。

與えられた仕事は終わらせたし、本でも読んで時間を潰すとしよう。きっと何かあればクラリスさんかメイドのグリゼルダさんが呼びに來る。

◆◇◆◇◆

本を半分まで読み進めた頃に、部屋の扉がノックされた。

「グリゼルダだ」

「は、は〜い」

どうやらグリゼルダさんが來たみたいで、すぐに読んでいた本を橫のテーブルに置いて部屋の扉を開ける。

「グリゼルダさんおはようございます」

「おはよう。昨日の夜は眠れたか?」

「はい。しっかりと疲れが取れました」

すると、グリゼルダさんがポケットから一つの紙を取り出した。

「魔王様から呼ばれているぞ」

「え゛っ……お、俺何かしましたかね……?」

ただのメイドが魔王に呼ばれるってどういう事だ。もしかしたら、昨日の態度が悪くて殺されたり……まさか本當に処理係に!?

「さあ、どうだろうな。ただこの書き方は上機嫌な魔王様だ」

グリゼルダさんが神の裏面を見せると、そこには下をペロッと出した変な顔のの子の落書きがいくつかあった。

「落書き……」

「魔王様はああ見えて心はい。きっとシンシアのようなメイドが現れたのを嬉しく思っているんだろう」

確かに昨日魔王を見た時、見た目からして年齢は14くらいだった気がする。角や翼に気を取られていたが意外と綺麗な顔をしていた。

「分かりました。すぐに行ってきます」

「待て、1人じゃ迷うだろ。その為に私が迎えに來たんだ」

まるで子供扱い。いや、俺は子供なのだからそういう扱いも仕方ないか。

「す、すみません」

「さあ手を繋いで」

「っ? はい」

別に手を繋がなくても良いだろうと思ったが、やはり繋がなければならないみたいだ。

そうして魔王様の元へ向かっている時、ふとグリゼルダさんの顔を見上げると、鼻の下をばしてニヤニヤとしていた。

「グリゼルダさんどうしたんですか?」

「なっ、なんだ?」

聲をかけるとすぐにいつも通りの表に戻ってしまった。今の顔は一……何だったのだろうか。

◆◇◆◇◆

「魔王様、シンシアを連れてまいりました」

「うむ! グリゼルダは帰ってよろしい!」

「はっ、失禮します」

グリゼルダさんが後ろの扉から出ていって、俺だけが魔王様の目の前に立つことになった。凄く張する。

「ねぇねぇ、こっち來てよ」

魔王様は自分が座っている椅子の肘掛の部分をポンポンと叩いてそう言った。

「えっ……と……」

「やっぱり張するよね。ちょっと待って」

魔王様は突然震いさせた。すると、いままで生えていた角や翼、尾が引っ込んで無くなった。

「ほら、これで君と同じ人間の姿だよ。おいで」

「わ、分かりました」

命令に従った方が良さそうだ。

無禮にならないよう気をつけながら、魔王様の橫にやってきた。

近づくと改めて分かる。魔王様はくて可い顔をしている。俺よりは歳上だが。

「ふふ〜ん♪」

「っ……」

突然俺の両手を握って嬉しそうに笑う魔王様。何をするつもりなのだろうか。

「君転生者だね」

「は、はい」

「あれ〜っ? これ言ったらほとんどの人驚くんだけどな〜……」

「わ、わぁ〜、凄い……です…………ね。すみません」

なんとか驚いたフリをしようとしたが、完全に逆効果になってしまいすぐに謝る。

「もしかして君にとって転生者って珍しくない?」

「えっと、はい。以前転生者達が沢山いる場所で過ごしてました」

正直に答えた。

「まあそんな事はどうでもいいんだよ」

「はい」

「君強いよね。魔力とかすっごいもん」

「そ、そうですか」

確か學園にいた時は魔力SSとかだった気がする。かなり凄い方らしい。

「多分この城で僕の次に強いよ」

「そっ、そんな事はないです! きっとクラリスさんや、グリゼルダさんの方が強いですよ」

「僕の目は間違ってない! 君は強いんだ」

「……はい……」

くぅ……逆らえない。

「そこで! 僕は君を僕の右腕にしようと思う!」

「右腕……で、でも、俺戦闘経験とかあんまり無くて……」

「え、そうなの?」

「はい……」

どうやら魔王様は戦闘経験までは考えていなかったらしい。魔力だけを見て強さを判斷していたみたいだ。

「でも君、鍛えれば魔達にも負けないくらい強くなるよ〜?」

「魔達……ですか」

分からないのだが、魔"達" ということはクラリスさんの他にも魔がいるのだろう。

「ちょっと貸して」

「えっ? あ゛ぅっ……」

その時だった。突然魔王様のが黒い霧になって、俺の口や鼻。耳や目の隙間からへと侵してきた。

思わずむせて涙目になる。

「げほっげほっ……あれっ……」

黒い霧がみえなくなった。完全に俺のに侵したのだろう。しかし、そこから何も変わらない。何が起きるんだ。

「あーあー。っ!?」

急に自分の意思とは違う聲が、口から発せられて困する。俺は喋ってなんていないぞ?

「う〜ん……不完全な乗っ取りになっちゃった。っ!? な、何が起きてるんですか? うん? 僕がを乗っ取ったんだけど、ちょっと完全に乗っ取ることはできなかったってだけ。安心して。安心してと言われましても……俺のが勝手に……」

周りから見れば俺はただの不審者だろう。しかし、俺本人は自分の意思とは違う言葉を発せられて、その言葉と會話していることになる。まるで二重人格の上位互換みたいなじだ。

「やっぱり君魔力が強いから不完全になっちゃったのかもね。とりあえず僕が君のって、君の強さを証明するから何もしないで見てて」

何をするつもりなのだろうか。

「っ!? うわぁぁぁぁぁっっっ!!??」

ほんの一瞬の事だった。気づいたら俺は城の外、上空に浮かんでいる。そして俺のはどこか遠くへと高速移している。まるで舞空

あまりの高さと恐怖に意識が飛びそうになったが、急に自分の左手が顔を叩いてきて意識は保たれたままになった。

「あっ、いたいた」

そういって森の中へ進んでいく俺の。そうして見えたのは、寢ている黒い狼のような生きを倒そうと剣を構えている男。ハンターだろうか。

そのハンターの目の前に著陸すると、右手をハンターに向けた。何をするつもりなんだ?

「なっ! 君! どこから來た! ここは危ないぞ!!」

「あぁ〜……ボルトウルフが起きちゃったじゃん。平和をしてるのは君の方だよ」

すると、手の平から真っ黒な炎が吹き出て目の前のハンターを包んだ。

び聲も何も殘さず、ハンターがいた場所には骨すら殘っていなかった。

「ひぃぃぃいい! 逃げろ!!」

「あっ、まあいいや」

どこかに隠れていたもう1人のハンターが、猛ダッシュで逃げていってしまった。

「あ、あの……何したんですか……?」

「森の平和を守ったんだよ。今ので君の強さ証明できたかな? おぉ〜よしよし」

俺のは先程まで眠っていた黒い狼の頭やお腹をでている。

まさかさっき、俺のはあのハンターを殺したのだろうか。

「……魔王様! もしさっき逃げたハンターが街に到著たら、俺がハンターを殺したって話が広まってっ!」

「ん〜? 大丈夫大丈夫。逃げたハンターはボルトウルフの群れに食べられてるから」

「えっ…………」

するとついさっきハンターが逃げていった方向から、口の周りを赤く染めた狼の群れがこちらへ歩いてきていた。

「ひっ……」

「あっこら、れちゃう! 落ち著いて!!」

怖くでれそうになる俺と、必死にに力をれてらそうとしない魔王様。そんな挙不審な俺のを見て、周りの狼たちは不審がっている。

「そろそろ帰った方が良いかな」

気づけばシンシアのはあの城に戻ってきており、から魔王様も出てきて玉座に座っていた。

そして俺は安心張が緩み、らしてしまった。

「ぁ……ぁぁ……」

「本當に戦闘経験がないんだね……」

これには魔王様の呆れ顔である。

「仕方ない。僕が今日から君を立派な右腕となるように育ててあげるよ」

魔王に育てられる事がどういう事なのか、それはまだ誰も知らない。

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