に転生した俺の保護者が神な件。》51話 魔法陣制作に進展

魔法陣の制作から一週間が立った。

何度も魔力が通らない魔法陣を修正し、発し、文章を変えては発し。それでもシンシアは諦めることなく魔法陣の制作に取り掛かった。

クラリスも、自分よりも小さな子供がこんなに頑張っているのに自分だけ諦めるのはダメだとプライドが引き止め、自分の知恵をシンシアに捧げた。

そして今日、魔法陣の制作で一歩進展する事が出來た。

◆◇◆◇◆

「よし……魔力送るぞ」

「気をつけてゆっくりとお願いします」

何度も発を繰り返した和室は、クラリスが魔法で元に戻してくれている。の傷だって問題ない。

シンシアはクラリスがいるからこそ、ここまで頑張ることができた。

「これで……頼む!」

魔力を注ぐと、紙に描かれた魔法陣がった。

「どう──」

その瞬間、魔法陣はいつものように発を生み出した。また失敗か。そう思いながらシンシアは発した部屋の中に座り込む。

「はぁ……」

「殘念で……し……あれ?」

「どうしたクラリスさん。続き頑張ろう……なんか疲れて肩が重いけどまだまだ頑張れる」

「シ、シンシアちゃん! ! が大きくなっています!!」

そう言われてシンシアは咄嗟に自分のを見た。すると確かにが9歳のとは思えないくらいの大きさになっていた。

「うわぁっ!? む、だけっ!? んっあれ?」

「あらっ……んでいってますね」

大きくなったは、再び元のサイズへと戻っていった。

「もしかすると、今の魔法陣でだけが一定時間大人になったみたいですね」

「おぉ〜! じゃあちょっと正解に近づいてきたんだな! 俺が大人になったらあれくらいのになるのか……」

この世界に來る時、化と不老というカードを引いてしまったせいで一生をこので過ごさないといけなくなったのだが、ついにシンシアはの一部を長させることに功した。

「きっと最近沢山食べているからでしょうね。もっと大きくなるかもしれません」

「よっしゃ……やる気出てきた! 一旦功した魔法陣は保存しておいて、新しい魔法陣を描いて改良していこう」

「そうね。頑張りましょう」

こうしてシンシアとクラリスは魔法陣制作で一歩前進したのだが、ここからを大人にするにはどうするべきか。それを見つけるのも大変である。

それに先程のもほんの一瞬だけし大人になる事が出來なかった。持続させて発する為にも改良を進めていかなければならない。

シンシアとクラリスは再び集中して魔法陣制作に取り掛かった。

◆◇◆◇◆

「また発したね〜」

「そうですね。シンシアちゃん達大丈夫なのかな……もうずっとあの部屋から出てきてませんよ」

食事もシンシアの使い魔、白狼のベネディクトが運んでいっている。アイリ達はシンシアとクラリスが眠っているのかすら分からない。

「シンシアちゃんとクラリスさんなら大丈夫だろ! そう寂しそうな顔すんなって!」

「……は?」

「ごめん」

アデルが教室を盛り上げようと大聲を上げると、アイリに辛辣な対応をされた。

「ふふっ……謝らなくていいよ。シンシアちゃんがこんなに頑張ってるの初めてだから、何か嬉しい」

アイリは時折上から聞こえてくるシンシアやクラリスの聲に耳を澄ましながら笑った。

「はぁ……俺もイヴちゃんとサッカーしてこようかな」

「してくるといいよ。イヴちゃんの使い魔のウルドも參加してるし、アデルがればバランス良くなるんじゃない?」

「よっしゃ! 一般生徒と仲良くしてみせる!」

アデルは使い魔のカクにがり、窓からグラウンドへと降り立っていった。

「ルナにゃ〜ん、ルナにゃんはどうして人間に変できにゃいの〜?」

──ペシッ

「あいたっ……」

使い魔のルナに顔を近づけて甘えると、貓パンチを頬に食らった。

「もう可いっ!」

「んに゛ぁ〜〜!」

アイリはシンシアに會えない寂しさを使い魔のルナにぶつけていた。

◆◇◆◇◆

「ん〜もしかしたらこの円の形を変えれば時間ばせるんじゃないかな」

「その前にここ、のパーツ毎に分けて書いてみてから試してみましょう」

シンシア達は再びいくつかの魔法陣を作り、それらをテストする事にした。

「よし、じゃあ行くぞ」

「気をつけて」

1枚ずつ魔力を注いでいき、反応を確かめる。

──ドンッ!

「……ふぅ、発にも慣れてきたな。次行こう」

今度の魔法陣はどこも長しなかった。その魔法陣をテーブルの下に置き、どこかが長した魔法陣はテーブルの上に置く。そうすることで功した魔法陣を見比べて手當り次第に改良すれば功に近づくという事。

もうここをこうしたら良い、なんて考えずにこのパターンとこのパターンを組み合わせて、という無理矢理な方法で制作しているのだ。

「二枚目も失敗っと」

その間にクラリスは他のパターンの魔法陣を描いている。しずつ効率的に進めることができているだろう。

「おっ、これは足が長した。……気持ち悪いな」

短腳長。面白いわね」

「これは結構長い間持続するな。いや、の魔力を消費して持続してるのか。危ねぇ危ねぇ」

凄い勢いで魔力が減っていっているのに気付き、すぐに魔法を打ち消して食事を取る。

「これ功ね。多分円の形もこれで良いと思うけど、魔力消費量を調節した方が良いかも」

「分かったわ」

しずつ功に近づいてきてはいるのだが、まだまだ先は長そうだ。

疲れたし窓を開けたいのだが、2日ほど前に窓を開けてってきた風で魔法陣がバラバラになってしまい、全ての魔法陣をまた試さないといけなくなった。という事件があって以來窓を開けることはなくなった。

あの時のクラリスさんの焦り方は可かったなぁ……ワタワタして紙を拾って、窓をバンッて閉めて息切れしてた。

多分その日に発に耐が付いたのだろう。

「クラリスさん調大丈夫?」

「シンシアちゃんこそ大丈夫なの? 私は流石に疲れが溜まってきて何描いているのか分からなくなってきたわ」

「俺もちょっと疲れた……ちょっと寢るか」

「そうね。これを描き終えたら私も寢るから、お先にどうぞ」

シンシアは魔法陣の失敗作達を枕にして橫になった。し眠れば頭も整理されて新しいアイデアが生まれるかもしれない。

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