王都へ到著後、馬車は真っ直ぐ城へ向かう。

當然、王家の家紋りの馬車である。

口では止められる事もなくそのまま城が許される。

俺達はまず、応接室の様な場所へ通された。そこで王様の準備が終わるのを待つらしい。

しばらくして執事の様な人が俺達を呼びに來てくれた。

立ち上がりこれから謁見の場へと赴く時には、もう皆一通り覚悟を決めていた。

重たそうな絢爛豪華なドアを開き赤絨毯が敷かれた上を歩くその先に1人の初老の男と同じく初老のが鎮座している。

彼こそがこの國の王、セレナ王國第13代國王、ヨハン・セレナ・ハーネス王その人だろう。そして、隣にいるのがエミリア王妃なのだろう。

セレナ王國は規模こそさほど大きくはないが、名君と謳われる國王の優れた治世により様々な産業で他國と渡り合っているらしい。だから100年以上もの間、こうやって平和に繁栄をしてきたのだ。

しかし近年は魔族の臺頭により各地で戦が起きている。

ガリアもその一つで、多くの國民が犠牲になったという。

「よく來たな冒険者達よ。此度の申し出大変嬉しく思うぞ。」

國王陛下から直々に謝を告げられ、俺達4人は皆深々と頭を下げる。

「良い。面を上げる事許そう。」

そう言われ頭を上げる。

「此度のクエストに際し必要ながあれば何なりと申せ。如何様なでも用意致そう。何かあるか？」

なんか必要なを何でもくれるらしいので、思い切って行ってみる。

「はっ、恐れながら申し上げます。我等のパーティは前衛2人、中衛1人、後衛1人の編でございます。前衛の者には剣と足を、中衛の者には盾と靴を、後衛の者には杖とローブをお願いしたく存じます。」

道中の馬車の中で俺達は擔當を決めていた。

前衛は俺とカシン、中衛はリン、後衛はアリシアということにした。

俺とカシンは敵の殲滅、リンは俺達への攻撃支援、アリシアは回復と指示が主な役割となる。

「うむ。承った。直ぐにこの國1番の裝備を準備させよう。」

「はっ、有難き幸せ！」

まさか自分の人生でこの言葉を使う日が來るなんて思いもしなかった。

「では頼んだぞ。ガリアの地を奪還した暁にはその地を治める事を許すと約束しよう！お前達に神イリスの恩恵が與えられる事我も願っておるぞ。」

ん？何か聞き捨てならない神の名前が出て來たぞ。これは後で問い質さねばなるまい。