《學校一のオタクは死神でした。》第66話 青い炎

*第66話 青い炎*

「ん~~~っっ☆*。」

味しい〜っ!」

「んまいっ!」

「ぅーまーいぞー!!!!」

「結構なお手前で…」

味しいね〜♡」

「そうだね〜☆」

「ねー(ニコッ)」

味しいですっ!!」

「はふぅっ!!」

「(ガツガツガツガツ…)」

午後1時、皆思い思いに食事を楽しんでいた。

ランチ容は、スーパーで買ってきたブロックや野菜を焼けやすい順に鉄串に指し、シンプルに塩コショウで味付けをした漫畫風BBQに、先程海中に潛り取ってきたサザエやホタテのバター醤油焼き(※法律上、私有地でない限り漁は止されています。この場合、島の所有権は親父ゼウスにあるため問題はありません。漁ダメ絶対!!)、自家製そば生地を使った特焼きそばと自家製紅生姜、ビンと釣り上げたバラフエダイとニジハタの刺、バラフエダイと野菜と特ドレッシングで作ったカルパッチョ…

これだけの量を作って、しだが、バラフエダイは小さな塊になって殘っている。

コレは、真空パックにれ冷凍保存して、全青タイツの犬の真似をして捕獲したメカジキは夕食のために下ごしらえをして保存してある。

食後に、メカジキを捕獲した際に、海中になくともが溶けだしているだろうから、後で鮫でも居ないか見に行くことになっている。

流石にこの量を作るのは苦労したが、まぁ、喜ぶ姿を見るとほっと安心する。

因みに、ラボに引きこもり中の嵐に食事を屆けた結果、味しいとのコメントをいただいた。

「あ、そういえば新〜」←親父

「ん?」

「ひぃわしゅれてたぁんあけど(もぐもぐ)」

「食べてから喋れよ」

「んぐっ、それで言い忘れてたんだけどね〜」

「うん?」

「勘違いしてるみたいなんだよね?新は。」

「は?何を?」

突然の勘違いをしているという指摘。だが、何を勘違いしているのか分からない。

「死神はね、壽命を決めるだけの神様じゃないよってことだよ。あ〜むっ!」

「……どういうことだ。」

「んぐんぐっ。確かに、死神は壽命を決める神様だけどね、それだけの役割じゃないんだよね~。パクリっ!お、これも味びみ!」

「……。」

「んぐっ。死神は簡単に言えば、“命の管理人”なんだよ。あ、武神君それ取って〜。」

死神は壽命を決めるだけの神様じゃない…?

死神は“命の管理人”…?

なるほど、つまり………………どういうことだ…?

よくわからん…。

新はいつの間にか普通に食事をしている親父を遠目で見ながら、頭をひねった…

その時は誰も予想していなかった。

親父の放った、たったそれだけの言葉が引き金になり、新のに変化を及ぼすことを…

* * *

カチャカチャと普段通り食を洗う間でも頭の中で響く。

「命の管理人…ね…」

思い返してみれば、今まで自分の役職などに疑問を覚えたこともなかった。ただ、自分は死を司る神様だと。それ以上でも以下でもなんでもないと、思い込んでいた。

それだけの役割じゃない…じゃあ、どんな役割なんだ?

いくら考えてみても、考えはまとまらない。

ただ、それと同時に、留學時のことを思い出す。

限り無き怒りと共に溢れ出す悲しみ…

そこに終わりは見えず、いつの間にか、狂気に呑まれていた…

その時発された“無自覚”による力…

が白く染まり、の気が失せる…

使えないはずの魔法に、限界を超えた能力…

そして、いつの間にか変わっていた瞳の

青く、燃えるように熱くなる…

未だにそれを思い出すたびに穂のかに熱を帯びる…

あの謎の力が親父の言っていたことに関係するのだろうか…

わからない。

ただ、何かが引っかかる…

まるで、“あの違和”のように…

「…ん?」

ふと手元を見ると、いつの間にか食は洗い終わっていた…

「……はぁ~…」

考え過ぎか…

と思ったが、それは考えすぎでは無かったのかもしれない…

右手で頭を搔こうとしたその時。

見つけてしまった…

今までになかった“異変”に気づいてしまった…

を片付け、洗面所で手を洗っていただけだった。

目の前にあった“鏡”に顔を寄せ、もう一度よく見る…

「___“青い”…。」

“微かに青く染まりかけた右の瞳”がそこに、たしかに映っていた…

* * *

「あれ?新、そんな早足でどうしたんだい?急ぎ用かい?」

「あぁ、ちょっとな…」

親父に聲をかけられた新は、適當に誤魔化しながら、その場を離れる。

「なんでだ…なんでだ…」

焦っていた…

今まで自分のの心配などしたことなかったが、今回は違った。明らかなる異変。“普通じゃない”。

思い返せばそうだ、そもそも、釣りをしてた時だって、使えるはずのない屬魔法を使った。そりゃ、前に1度、屬魔法の氷を使ってるから試しに練習してみた。すると、驚くことに、3回中1回くらいのペースで“功”してしまった。

たった一度の功でもしだが“不安”に思った…

「有り得ない…有り得ない…」

段々と歩く速度が上がる…

何が起こっている…

どうなってんだ俺のは…

息が荒くなり、苦しくなる…

「クソっ…クソっ!!」

おかしくなったのか、がヒリヒリと痛みをじる。

“痛みなんてじるはずないのに”!!

痛みを忘れたが痛みを思い出したとかそういうのじゃない…

ただ、ただ、痛い…の一部が燃えているかのように痛い…

「____ッぁ!?」

埋まっていた巖石に躓き、を取れず、顔面から砂浜に突っ込む。

衝撃はじるが痛くはない…

やはり、の痛みは痛覚とは何ら関係無い…

何がどうなっている…

そして、焦る新に止めを刺すかのように視界に映る…

“自分の手の一部のが変していた”。

“青白く…の気のないに”…

より一層息が荒くなる。

も早く、管が破裂しそうだ。

悲しくないのに涙が自然と零れる。

悲しくないなら、なんだこの涙は…

目から溢れる涙を指で拭い思う…

拭う手はどんどんと青白さが侵食する…

「___このクソッ!!」

思わず振り上げ拳をピタリと止めた…

あぁ、そうか…

“怖いんだ”

自分が自分でなくなってしまうかもしれない。そう思うと、怖くてしかたがないんだ…

力なく振り上げた拳を地に下ろした…

それだけの事でも砂が靜かに舞う…

視界がぼやけ、次第にの砂に水滴が落ちる…

いつの間にか、新のの半分近くが“青い炎”に包まれていた…

青い炎で燃えるは青白く死のようで、瞳は完全に青く染まった。

髪は8割が真っ白な白髪へと変化した…

靜かに揺らぐ青い炎は、あたかもそれが翼であるかのようにもじた…

あぁ、どうせならここでこの炎に抱かれ燃え盡きてしまいたい…

そう思いながら、靜かに瞼を閉じた…

思えば、長く長い時間を過ごした…

神というのはなかなか死ねないのが、やがて苦痛となるものなのだろうか…?

長い時間の中で、半分近くをとして生きた…

これでも長は早いほうだが、それでも、2千年近くを赤ん坊で過ごした…

確か、一度そこで死んだんだっけ…

でも、母さんが再生してくれたけど、それ以前の記憶を失った…

それから黒子さんが代わりに育ててくれて…

それから、希里に會って…約束して…兄弟になって…

それから…

あれ…?これってもしかして走馬燈ってやつなのか…?

ははは…案外、思い出せないもんなんだな…

あぁ、そういえば…1つ、悪い事をしたな…

まだ、誤ってねぇや…

怖がらせた事…勝手に逝っちまったこと…

そんで…………?なんだっけ…?

まただ…また、なにかモヤモヤする…

こんな時でも、このモヤモヤは起きるのか…

あぁ、でも…

「……綺麗になったな……“華菜”…」

はは、こんな恥ずかしいこと、本人の目の前では言えないな…

気づけば、青い炎は全を飲み込み…ゆっくり、ゆっくりと燃え続けていた…

視界のがだんだん小さくなり…やがて、消えた…

* * *

瞬間的に意識がクリアになる。

カッと目を見開き、飛び起きた。

し息が荒い。

ふと気づくと、中に吸盤がり付けられ、太いチューブが腕やら足やらに繋がっていた。

それに、ここは…“ラボ”…?

「気が付きましたかマスター。」

聲の先には嵐がいた。

「マスターが島の反対側で倒れていたのを桜姬様が発見し、マスターはここに運び込まれました。その際、マスターの意識は朦朧とされていたそうですが、特にには、傷などは見當たりませんでした。ですが、その代わり、マスターは武裝狀態で謎の青い炎に包まれており、調べた結果、高濃度の“未確認魔力質”であることが判明しました。先程申し上げた通り、に外傷は無く、心拍數、圧共に正常に機能していますが、と瞳、髪のが変し、未だ元に戻る気配はありません。つきましては、マスターに一度武裝を解除して頂きたいのですが、宜しいでしょうか。」

「………。」

報量が多すぎて理解が追いつかない。

とりあえず、言われた通り、武裝を解除する。

いつも通り、武裝はの粒子となって消える。すると、髪とが徐々に変化し元に戻った。

だが…

「……ふむ、、髪のは元に戻りましたが、“瞳のは変化なし”…。なにか、マスターに心當たりはありますか?」

「い、いや、特に何も…」

「そうですか、では引き続き検査をしますので、そこに橫になってください。」

「あ、はい…」

よく分からないまま、新は嵐から検査をけることになった。

くるりと嵐は背を向けると、カタカタとキーボードを打ちながら部屋の隅に設置された巨大スクリーンの機械をかし始めた。

すると、寢転がっていたベットのしたから、新のを囲うように、半円形のレールが3本、それぞれ、頭、、膝の上に設置され、レールの隙間から、薄い緑れる。

しばらくすると、ウィーンと機械音をたてながら、中をレーザーがスキャンする。

すると、嵐の作するコンピュータにすぐさまデータが送信される。

「ふむ…、スキャンしましたが、異常はありません。」

異常はない。だが、嵐は表示されているデータをマジマジと見続ける…

何かおかしな所でもあるのだろうか…?

でも、異常はないった言っていたし…

気になり、嵐に尋ねる。

「…あえて言うならば、“異常がないことが異常ですね”。あれだけ武裝に変化をもたらしたにも関わらず、変化したのは瞳のだけ。瞳の伝子的に変わることなどは良くあることです。長とともに徐々に変化する例もあるので。しかし、マスターの場合は違います。神であるマスターにとって、そもそも伝子とはなんら関係なく、さらに瞬間的に瞳のか変化したことは何かしらの“原因”があるはずなんです。しかし、スキャンしても、どこにも異常はない。つまり、コレは異常であると言えるでしょう。」

「…なるほど。壊れた原因が分からなければ改良の意味が無い…的なじで解釈していいのかな?」

「端的に言えばその通りです。マスターのはいたって平常、変化があるのは瞳のみ。原因が摑めません。原因があるとすれば、おそらくですが、“青い炎”が関係していると思われますが、確証がありません。決定づけるならば、サンプルとして検出された炎が未知の存在であり、分かるのは魔力でできていることだけです。この魔力がどのような能力を持つのか、どんな存在なのか、完全なる未知の領域です。」

「………。」

「まぁ、一応限界まで分析しておきます。結果が出しだい報告します。まだ分からないことが多いので、くれぐれも無理だけはしないようにお願いします。」

「……分かった。ありがとな。」

「いえ、“私はマスターのものですから”。」

「……さようですか。」

し嫌な汗を額に一滴流しながら、ラボをあとにした。

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