《學校一のオタクは死神でした。》第73話 ミスターあらっ子
*第73話 ミスターあらっ子*
放課後、新は夕食の買いに近所のスーパーに立ち寄った。
広告によると今日のお買得は卵と鶏だそうだ。この2つが買得ということは、親子丼でも作れとスーパーのお告げだろうか?まぁ、親子丼は簡単に作れるから楽でいいのだが…。
因みに新の作る親子丼は卵固めではなく片栗を混ぜたトロトロ派である。トロトロだと米によく絡んで箸が止まらない。見栄えも黃金にり輝くようである。
ふと、スーパーの放送がかかった。
『え~、只今から~豚バラのタイムセールを行います。商品は無くなり次第終了とさせていただきます~。』
その瞬間、買いをしていた主婦達の目がギラりとった気がした。
チラリとコーナーを見てみると、主婦達が押し合い圧し合いの大騒ぎである。
主婦ってタイムセール好きだよな~…
新はそんな様子を橫目で見ながら、人が居なくなった目當ての卵と鶏をカゴの中にれる。タイムセールに人が流れたため、余裕を持って手にれることが出來た。
「あ、ネギ忘れてた…」
忘れてた玉蔥たまねぎを買うため、來た道をし戻りカゴにれた瞬間。猛スピードで何かが後ろを駆け抜けた。
スーパーの中を走り回るとはマナーがなってないと思いながら買いを続けようとするが、し止まって考える。
「………今の人って。」
走り去って言った方向を見ると、やはり知っている命の反応がある。しかも、そこは先程タイムセールが行われていた豚バラの場所だ。
今頃行っても消化済みだと思うんだけどな…
そちらの方向へ歩いていってみると…
その人は真っ白に燃え盡きていた。
その姿はまるで試合に勝利した後のリングの1角のようだった…
「ええっと~……何してんですか…?“華菜先生”?」
「……豚バラが…私の豚バラが…」
「あー…うん。はい。売り切れですね。」
「私の食料がぁぁああ!!!!!!!!!!!!」
「いや、そんなに嘆くとじゃないですよね?」
「お前は私の冷蔵庫と財布のかさを知らないからそんなことが言えるんだ!!」
「は、はぁ…」
「想像してみろ!!家に帰って開けた冷蔵庫の中がマーガリンと水しかってなかった時の悲しみを!!
財布の中に札がってるかと思ったら、ために溜め込んだ割引券とレシートの山だった時の絶を!!」
「うわ~…」
もう、それしか返答しようがなかった…。
「どうしよぅううう!!!!!!今日のご飯どうしよう!!!!」
「いや、口座からお金下ろせば…」
「家のローンで心もとないんだよ!!」
「そうっすか…」
そんな半泣き狀態で言われましても…
なんというか…踏んだり蹴ったりだな…
ってか、給料どこに消えてったんだよ…
などと、新の中でツッコミじみたものが飛びう。
しばらく沈黙が続くとボソッと華奈が言う。
「……いいよな~學生は。」
「え?」
「……親に養ってもらえて。」
「え?え?」
「…私なんてクソ低い給料で日々のやりくりで一杯なのに。」
「え~~…それ言っちゃいますか…?」
仮にも教師ですよね?この人教師ですよね?大丈夫なのこの人…
新の表は、だんだん笑いが苦いのつく笑いへと変わりつつある。
どうしたもんかね~…
チラリと橫目でコーナーを見る。
お買得の鶏がまだ殘っていた。卵は流石にもう無いが、豚バラを手にれた主婦たちがホクホクとした表で店から出ていく姿も見けられる。
どうやら、豚バラを買った後鶏への目は行かなかったようだ。
一つため息をらす…
確か、卵はまだ冷蔵庫の中に1パック殘ってたよな… 
無言で鶏をかごの中にれる。ついでに華奈をしばらく放置して玉蔥たまねぎも追加でカゴにれ、追加でレタスやらジャガイモやらをカゴにれ、スタスタと戻ってくると、そこにはやはり未だ半泣き狀態の華菜が居る。
「…ほら、いつまでも泣いてないで行きますよ。」
「でも、私の食料がぁ…」
「それはいいですから行きますよ。他のお客さんにも迷です。」
新は華菜の手を引き、無理矢理立たせる。
顔を見ると、目の辺りが赤くなっていた。いや、本當に泣くほどのことか…?
そのまま手を引きながら買いを進め、レジで大金を払う。
その際、店員の叔母さんにし引き攣ったような笑で対応された。oh……そんな目で見ないで…
そのまま、スーパーから出る。
スーパーから出た後、手を引いたまま歩き続け目的地に到著する。
橫を見ると泣き止んだ華奈がパチクリと目を丸くする。
「……ここは…?」
「“しの我が家です”。」
「へ?」
珍しくそんな聲を上げながら、そのまま鍵を開け家にる。
「さ、どうぞ。」
「は、はぁ…」
訳の分からないまま、華菜は言われるがまま家へとお邪魔しますと言ってる。
買い袋を持ったままキッチンへと行き燈りをつける。
「あ、華菜先生はそこら辺でゆっくりしててください。30分程度で終わりますから。」
「あ、はい…?」
疑問形の返事をスルーして調理に取り掛かる。
買ってきた鶏と玉蔥を切る。鶏は一口サイズ、玉蔥は薄切りだ。
次に普段使うフライパンより大きめ深めのフライパンに水、砂糖、醤油、味醂、水で解いた片栗、更に隠し味に麺を量れ煮る。煮だったらそこに鶏と玉蔥を投し、鶏の中まで火が通るまで煮る。
最後に空気をれるようにして溶いた卵を円を描くようにれ、蓋をした後、30秒程度で火を消し、卵を蒸し焼きにする。
その間に、簡単なの調理にかかる。
主な材は玉蔥、コーン、キャベツ、ジャガイモ、ベーコン。先程と同様に玉蔥は薄切りにし、鍋に水をった後沸騰させ、材をれある程度火が通った後、コンソメスープの元をれしばらく煮込み、塩、コショウで味を整えた後、火を止める。
良い合に卵が固まった頃を見計らい蓋を開け、あらかじめ用意しておいた大きめのタッパーにそれの1部を詰める。
それがし冷めるまでの間、もう1つタッパーを用意し、冷蔵庫から作り置きしておいたポテトサラダとレタス、トマト、乾燥ナッツ類を取り出し、タッパーに詰め、仕上げに特ドレッシングをかけ、蓋を占める。
最後に用の蓋のしっかりしたタッパーにコンソメスープをれ、3つのタッパーを重ねて袋に包み、それを華奈に渡す。
「一応、多めに作っておいたので余ったら冷蔵庫にでも保存してください。親子丼を電子レンジで溫める時は溫め過ぎないでください。卵が固まってしまうので。コンソメスープは半日は溫かいままなので大丈夫です。お米は自分で準備すること。以上です。」
「え?…え?え?」
「いや、そんなにえ?を並べられても困ります。」
「い、いや、え?これ…」
「華菜の分の夕食です。“作り過ぎた”のでどうぞ。」
勿論、噓である。因みに、ちゃっかり華菜と読んだことに華菜は気づいていないらしい。
「え?でも…」
「いいから。家帰ったら食べてください。冷蔵庫、空っぽなんでしょ?」
「そ、そうだけど…」
「俺は作り過ぎて困ってる、華奈は冷蔵庫が空っぽで夕食に困ってる。ならお互いウィンウィンでお終い。」
「……いいのか?」
「だから、そう言ってますって。」
「……あ、ありがとう。 」
「どういたしまして。」
結果的に夕食を押し付ける形になったが、時に問題は無いだろう。
生徒が先生に飯食わすというのは々問題はありそうだが、誰かに見られていない限りは大丈夫だろう。
念の為、周囲を確認してから家にったから尚更だ。
その後、お邪魔しましたと華奈は帰って行った。
「……今の誰…?」
一番初めに登場したのはビンだった。
「うちのクラスの擔任だよ。」
「ふーん…」
何故か土偉く暗い顔をしているが、気のせいだろうか?
んーっ、と背びした後、ビンと共に部屋に戻る。
「「「「(にこ~~~~~~~~~~~…)」」」」
部屋にると今の今まで隠れていた奴らが、見事に勢ぞろいしていた。桜姬、母さん、アラクネ、セイレーン×2(いつの間に2人に戻ったんだ…?)、何故か居る會長さんが怖いほど口の避けた不吉な笑み(目は笑ってない)を浮かべて待っていた。
しかも、ビンと同様、酷く暗い顔をしていた。
「え、ええっと~…」
新が冷や汗を滲ませながらそう言うと。
「新…?」
「は、はい。」
「正座。」
「……はい…」
満面の笑みで死刑宣告せいざせんこくされ、その後、約1時間にわたる取り調べが行われた。
因みに、その後の夕食には、半強制的に會長さんが食べていくことになったのだが、夕食中、何故正座させられて説教を食らったのかはその時になっても分からなかった。
* * *
「はい、貴方。あ~ん。」
「いやいやいや、ヘラさん!?私は自分で食べられるからね!?」
食事中、ゼウスは妻であるヘラにリア充発しろの呪文「あーん」を迫られていた。
しかし、ゼウスはヘラから向けられる親子丼の乗ったスプーンを仰け反るようにして拒絶し続けている。
「私は貴方の妻です。」
「え?あ、はい?そうだね?」←しよく分からないゼウス
「つまり、貴方は私のモノです。」
「はい?」←し不安をじるゼウス
「ですから他の悪い蟲に手を出されないように、こうやって私の夫だと示さなければならないのです。」
「いやいやいやいやいやいや!?そんな必要ないよ!!」
「あります。………ああ、そうですか…。また、浮気しているんですね。だから私にあーんさせてくれないんですね。その相手に私にあーんされる姿を見せるのが嫌だから拒否するんですね。そうですか、次は誰ですか?私が消し炭にしてあげます。さぁ、誰ですか。私だけのゼウス様に手を出した泥棒貓は誰ですか。答えてください。私はもう必要ないんですか?私をしてはくれないんですか?殺します。誰かに取られるくらいなら私が殺します。」
「いやいやいや!!浮気なんてしてないからね!?気恥しいだけです!!はい!!」
ゼウスの不倫を疑ったヘラの問い詰めに激しく首を橫に振るゼウスが勢いよく正直なことを言う。
「では、あーんすること自は問題ないんですね。」
「うんそうだよ!!……はい?」←導されていることに気づき始めたゼウス
「では、あーん。」
「う、うぅ……あ、あーん。」←覚悟を決めたゼウス
「(パクッ)」←スプーンに乗った親子丼を食べたヘラ
「…へ?」←驚くゼウス
「はい、あ~~~~~~ん。」←口に含んだ親子丼を見せながらゼウスに接近するヘラ
「いやいやいやいやいやいやいやいやいや!?口移しなんて聞いてないよ!?」
「あ~~ん。」←迷わず直行するヘラ
だが次の瞬間、ヘラのきが停止する。
その原因は、異常な圧力。“殺気”である。
「今は食事中だ。そんな汚い食べ方をするなら追い出すぞ、ヘラ?」
「んぐっ…新さんにそれをする権利がありまして?」
1度口の中にったを呑み込んだヘラが新を睨みつける。
「俺はここの家の主だ。俺が作った飯をそんな巫山戯た食べ方をするなら問答無用で立ち去ってもらう。」
新も押されず殺気を強め、ヘラを押し潰す程の殺気をぶつける。
その衝撃で、平常心を保っていたヘラの顔に冷や汗が滲む。
「…………はい。」
しばらくして負けを認めたヘラが黙って食事を開始した。
「親父も。」
「は、はいっ!!」
「そういう事をしたいのなら他所でやれ。」
「はいっ!!すみませんした!!」
明らかに立場が逆転しているが、その場にいた誰もはスルーした。
何故なら、今新に余計な衝撃を與えれば、自分に余計な矛先が向けられることを心配したからである。
新以外のメンバーは思った。
食事中に新を怒らしたらヤバい。
* * *
場所が変わり、華菜の住むとある一軒家。
その家には壁に所々札やら焼けたシミみたいなのが付いていたが、これでも憧れのマイホームである。
約5ヶ月程前、手頃価格の空き家を見つけた華奈は、予算がなかった訳もあってそれに飛びついたが、いざ住んでみると事故件であることがその後に判明した。
今のところ何ら問題はないので普通に暮らしているが、休日になると朝方に金縛りにあうことが多々あったが、そのまま二度寢しスルーしてきた。
我ながら鋼の神だと思ってしまうが、それは置いておいて。
今問題にすべきは目の前のタッパーだ。
それは、先程神藤新に渡されたものであり、私の夕食だという。しかも、彼の手作りときた。
ゆっくりと手をばし蓋にれようとするが、すぐに首をブンブンと振り、腕を引っ込める。
華菜の頭の中ではこんな論爭が巻き起こっている。
あくまでも私は教師だ。
うん。なりたてホヤホヤの新米教師だ。
うむ。いずれは誰もが想像する立派な教師になるであろうこの私が、生徒に飯を奢られても良いのだろうか?
しかも、持ち帰った後すぐにご飯と一緒に電子レンジでチンしてしまっても良かったのだろうか?
うーん、と唸りながら約一寸先でオレンジのに照らされながらグルグルと回る丼に移し替えた親子丼を見る。
數秒後にチーンというお馴染みの音で溫め完了の合図が鳴る。
「まぁ、食べてから考えるか…」
実のところ華菜の空腹はピークに達し、先程から腹の鳴る音が部屋に小さく響いているのだ。
電子レンジの扉に手をかけ、開けてまず驚いた。
その驚きの原因は親子丼の放つ香りである。
なんとも言えない醤油と卵の香りが食をそそる。
「親子丼ってこんなにも良い匂いだったっけ…?」
ゴクリと唾を飲み込んでから丼を取り出し、機の上に置く。それと一緒に、殘り二つのサラダとコンソメスープのタッパーを並べる。
サラダというは簡単そうに見えるが、実は見栄えを整えるのが意外と難しい。適當にやってしまうと雑草の山のようにじてしまう。
しかし、このサラダは違う。明らかに手慣れている。盛りつけを常日頃から行っているような出來栄え、店で出されても違和を覚えない盛りつけである。
スープもだ。
普通にスーパーで売っているコンソメスープの元を使っていたようだが別のようにじる。
何故なら、華菜の知っているコンソメスープとはスープの輝きが明らかに違う。明な黃金のスープ。の中に沈む材達が寶石のように見える。
「………。」
初めにスプーン1杯、コンソメスープを口に含む。
味しい…!!
野菜の旨みがスープに溶け込んでおり、その味を極限まで引き立てている。口の中が幸せ。そうじさせる程の味しさである。
次はサラダだ。
シャキシャキとした野菜の食に、ナッツの食が加わり楽しい。味も良し。ドレッシングはポン酢に近いが明らかにコクが違う。これは…昆布?いや、昆布ではこんな旨味は生み出せない。
なんだろう…明日會ったら聞いてみるか…。
最後はメインである親子丼、トロトロの黃金の親子丼だ。
本當にどうやったらこんな輝きを生み出せるのか謎だが。それから発せられる香りが、これでもかと食をそそる。
もう我慢出來ないと、スプーンで多めに掬い取り、口に含む。
その瞬間、一瞬だが服がはじけ飛ぶような覚がした。
味しい。
トロトロの卵が舌にねっとりと纒わり付き、味をいつまでも離さず舌を唸らせ、そこにらかくあっさりとした鶏のが口の中で混ざり合い、絶妙なバランスを作り上げている。
しかも、トロトロの卵達が良く米と合い、箸が止まらない。
気がつくと、綺麗に完食してしまった。
しばらく余韻に浸り、ふと思う…
「……なんで彼奴しんどうあらたはこんなにも料理が上手い。」
神藤新はオタクである。完全なる2次元オタクである。
それなのに料理ができるのは、あまりピンと來ない。
「ふむ……そういえば、彼奴は普段家事を擔當していたんだったか…ならば納得か…」
うんうんと頷きながら納得の表を浮かべる。
「ん?まてよ……“この味”…何処かで…」
食べた気がする…と呟こうとしたその時、パサッと何かが本棚から落ちた。
その方向へ目を向けると、そこには1冊のノートが落ちていた。隨分と懐しいである。薄ピンクに花柄、華菜が高校時代に使っていたものだ。
それを手に取り、しだけ中を読む。
「…………んん?」
手に取ったノートはどうやら授業の為に使っていたものではないらしい。
何故なら、そこに可らしいくまさんやら、大きめ口語文が書かれていたからだ。
そういえば華菜は一時期、“言葉を話すことが出來なかった”ことがある。
原因は…出來れば思い出したくはない…。
しかし、高校卒業後何故か普通に話せるようになっていたのだ。何故話せるようになったのかは不明。
恐らくこのノートは、その時に使っていたものだろうが、このノートは使った記憶が何故か全くと言っていいほど無い。
そして、気になる文章が書き記されていた…。
『言葉は話せないのか?』
『うん』
『それはずっとか?』
『違う』
『できるよ…?』
『じゃあ、これからは俺には口パクで話してみなよ。』
『え?』
『でも…』
『分かった』
途中會話がおかしい部分があるが、恐らくその部分は話している相手が口で言った部分が抜けているのであろう。
しかし…“口パク”…?何故口パクなんだ…?
俺、という事は相手は男だろうが、記憶に無い。
首を傾げながらづきを読んでいく。
『すごい!!なんで分かるの!?』
『大丈夫、平気だから。』
『これからは俺には口パクで話してくれないか?練習のためにもさ。』
『うん。分かった。』
ふむ…どうやったかは分からないが、どうやら相手は口パクで言っていることが分かるらしい。
正直、読んでいて驚いている。なのに何故か記憶には無い。
そのままパラパラとめくるが、白紙が続いた。
「なるほど…彼(?)と口パクで話すようになったから、ノートを使わなくなったのか…」
つまりここから先は全て白紙…かと思われたが、最後の1ページだけ文章が書かれていた。
『好きです。私と付き合ってください。』
「ブフッ!!!!!!!!!?!?!?!?!?!?」
突然の告白に思わず吹いてしまう。
え?私はこの男に告白したのか!?
いやいやいや待て待て待て!!!そんな記憶忘れるはずがないだろう!?
し、しかも、こ、告白だと!?彼氏いない歴=年齢の私がか!?え!?返事は書かれていないのか!?どうなったんだ!?
記憶が無いという事は…ふられたのか?
…まぁ、そりゃそうだな。そもそも、聲の出ない私などを好く奴などいるわけがない。
はぁ、とため息を零す。パタンとノートを閉じる。
すると、當然の如く背表紙が目にる訳だ。
この時、華奈に大きな衝撃が走った。同時に、謎の頭痛に襲われる。
痛い。頭が割れるようだ。頭蓋骨にを開けハンドミキサーで中をぐちゃぐちゃにかき混ぜられているような覚だ。
思わずノートから手を離し蹲る。
華菜の手から離れたノート。
その背表紙には…
赤黒い“痕”が付著していたのである…。
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