《學校一のオタクは死神でした。》第74話 新幹線でGO

*第74話 新幹線でGO*

課題試験も終わり、修學旅行當日…

「…………おい、神藤新。」

「はい?」

新幹線の中、ふと華奈に聲をかけられた新はキョトンとする。

「“コレ”はなんだ?」

と言って、華菜は新の目の前にある新幹線の椅子の裏側に常備されている機を指さした。

いや、正しくは、その上に置かれているものだが…

「何って……“本”ですけど?」

そう、本である。新がしてやまないライトノベルである。しかし、し眉間に皺を寄せた華菜は表で読み取れるほどのイラつきを見せながら言った。

「……それは見ればわかる。この本の“山”はなんだと言っている。」

そう、新の目の前に君臨しているのは、文字通り本の山。どちらかと言えば本のタワーだが、それの高さは新の座高を余裕で超し、あと數センチ程の高さである。

「……?何って本のタワーですけど。」

「アホか!!修學旅行にこんな大量の本を持ち込む馬鹿がどこにいる!!」

「ここにいる。(ゴンッ)」

毆られた。

「とにかく、崩れたりしたら他人の迷になる。今読んでいる以外はしまえ。いいな?」

「え〜(ゴンッ)」

「い・い・な?」

「わかりました。」

と言って、新は予め持ってきていたバッグの中に本 ラノベをしまう。因みにバッグの中は本棚のような構造になっており、形が崩れたり、折れ曲がったりする心配はない。

ふと、視線がこちらに隣の席に座る奴らから向けられる。無論。隣に座るのは會長さ……

「それってそんなに面白いウホッ?」

んではなく。両手にバナナを握ったゴリラ顔のクラスメイトである。

本當にゴリラだよなこの顔…

「ん?面白いぞ?」

「見ているこっちからしてみれば、気持ち悪いの一言でやんす。」

ゴリラの奧に座る出っ歯でおかっぱ頭のクラスメイトが言った。

うわー、誰これ?おそ○くんに出演してた?

「人の目なんか気にしてたら好きなを好きって言えなくなるぞ。」

「うーん、ソレはなんとなくわかる気がするウホッ。俺っちも好のバナナ食っているとよく保健所に連絡されるウホッ。(もぐもぐ)」

はっはっははー。やはり俺の隣に座る奴の顔は俺だけに見えている幻ではないらしい。

彼のバナナを食べる姿はまるっきりゴリラのそれであった。

日本モ○キー○ークにでも連れていったら面白いことになりそうだな。

「まぁ、そんなじだな。」

「巨里きょさとは本當にバナナが好きでやんすね〜…絵面がゴリラの食事にしか見えないでやんす。」

「ゴリラじゃないウホッ!!俺っちの名前は巨里等きょさとひとしだウホッ!!」

「ゴリラってそういう名前だったのか…」

「覚えられてなかったウホッ!?」

「そうでやんすよ神藤。彼の名前は音読みすればゴリラと覚えればいいのでやんす。」

「お前もかウホッ!!!」

「なるほど…で、お前誰?」

「meもでやんす!?」

何故かおそ松○んに出演されていた方は、かの有名なシェーポーズをとりながら驚いていた。

マジで本人だろこいつ…

「まぁ、多分覚えられないからイヤミでいいや。」

「ソレはお○松くんのキャラクターでやんす!!meの名前は彌也亥みなりかいでやんす。」

「そんな名前だったのか…ってか、おそ○くんなんかよく知ってるな。」

「良くあだ名にされたから嫌でも覚えたでやんすよ!!」

「じゃあ、イヤミで。」

「シェー!?」

「まるっきりイヤミだウホッ…」

「そういう巨里はまるっきりゴリラでやんす!!」

「な、なんだとウホッ!!」

「どっちがどっちでもいいから、靜かにしてくれ。ラノベ読みたいから。」

「「元はと言えばお前のせいでやんす(ウホッ)!!このクソオタク!!!!」」

「はいはい。分かったから靜かにしろ。」

ため息をつきながらすぐ隣の窓を見る。

3次元はやはり2次元のように上手くは行かず、アニメのように綺麗な景など見えなかった。見えるのは鉄の柵のみ。

天気はいいのだが、どうも新幹線というものは落ち著かない。普段ならビューンと一飛びだというのに。

因みに、何故新がこのような狀況下に置かれているかというと、學校行事である修學旅行のグループ理由の時のことだ。

案の定、真っ先に姉さん會長さんがグループ作りでいを申し込んできたが、ここは學校である。風紀のれなど許されない。ここでのグループは宿泊する旅館の部屋割りにも関わるため、男混合というのは無理な話である。

姉さん會長さんが講義したが、やはり學校側はビクともしない。

仕方なく、姉さんと會長さんは他のクラスメイトとグループを作ったのだが…。

クラスで完全にアウェイな新は最後の一人まで殘ってしまい。ボッチ恒例『誰か○○君をグループにれてあげてください』という宣言までされた。まぁ、華菜の場合、「誰か神藤新をグループにれてやれるグループはいないか?人後余るのであれば全員くじ引きで決めるぞ。」と言ったじだった。その瞬間、クラス全員が目のを変えてゴリラとイヤミのいるグループの方を向いた。

なんという數の暴力…

結局、そのグループに世話になることになった。

一方その頃、會長さん姉さんは…

「はい、あがりっ!」

「また負けたぁ!?」

「意外と桜姬おうきさんってトランプ下手くそなんですね?」

「そ、そんなことないよ!?」

「ジョーカーの位置が顔に出てました。」

「え!?」

「ジョーカーの位置に手を近づけると凄いニヤニヤしてました。」

「逆にジョーカー以外の位置になると凄く殘念そうな顔をしてたよ。」

「そ、そんなぁー!!」

「ホントですから。」

…隨分と楽しそうであった。

會長さん、委員長さん、姉さんがババ抜きに沒頭していた。そして、やはり、桜姬のトランプ下手がバレたようだ。あの顔の変化だったら誰でもわかるわ…

チラリと橫を見ると、未だにイヤミとゴリラが論爭を繰り広げている。絵面が漫畫やアニメのようにしか思えなかった。將來イヤミandゴリラという名でお笑い蕓人目指せばいいのに…

歐米かならぬゴリラかイヤミか……想像してみると意外に面白そうだった。

それはさておき、東京から京都まで約450km、新幹線で約2時間と18分。因みに、飛んだら約6.1分…約123倍の時間がかかっている…。

まぁ、たまにはいいだろうと手元に殘したラノベ1冊を開き、耳孔に小さな魔方陣を固定し、もう“2つ”の魔方陣をそれぞれとある場所に設置する。

『聞こえるか、“付喪”、“加蓮”。』

『………ん?』

『ん?お、おー新じゃねぇか。』

各場所に設置された魔方陣に気づいた付喪と加蓮はそれに向かって話しかける。

この魔方陣は、魔式のいわゆる電話のようなものである。電話と違うところは、無論電気ではなく魔力を使用することと、念を送ることで會話ができることである。

サイズ調整も自由自在。超便利。

因みに、先に短く返事をした方が付喪、後からし訛った口調の方が加蓮である。

『明日、お前らんところに顔出しに行くから。よろしく。』

と単刀直に用件を伝える。

『………ん?』

『そりゃ隨分と急な話なこって…何かあったんかい?』

『……そういえば、お前ら會議にいなかったんだっけ…』

ため息混じりに新がそう言った。

『會議?あんな居心地悪い空間行けるかよ。ま、まぁ、お前の頼みなら行っても構わんが…』

『……ん。』

し加蓮が照れくさそうに言った。なんで照れているのかはよくわからん。

『もう終わったよ。5ヶ月ほど前に。』

『なんだ。終わってたのかよ。』

『ん。』

『それで、どんな容だったんだ?』

『………ん?』

『…獣神のが消えた。』

『………ん!?』

『は?』

やはり2人は驚きの反応を見せる。

『俺らが殆どは捕まえて元に戻している。獣神は何者かによってられているみたいだが…まぁ、詳しい話はそっちに著いてからする。』

『……ん。』

『…わぁったよ。』

『明日には付喪と加蓮の家に顔を出す。話はその時に…』

『ん。』

『あいよ。』

『じゃ、後ほど…』

そう言って、新は魔方陣を消滅させる。

しかし、新の予想は外れ、その晩、一の獣神が地上に降り立ったが、その事に新が“気づくこと無く”その後大きな問題へと発展するのだが、それはまた別の話である。

* * *

『まもなく、京都、京都』

そんなアナウンスで全員が荷支度を手早く終わらせ、京都駅へ降りる。そこから即座に移を開始し、貸切バスを止めた駐車場へと直行。

バスの事前に決めていた席へと座り、ようやくほっと一息つく。

「意外と忙しいものだね。」

「まぁ、そうだろ。あくまで學校行事だからな。」

バスの席は人數の関係で男が隣に座ることが許され、クラスに潛んでいた隠れカップルなんかが一緒に座っていたりする。そして、それを気にしないふりをしながら妬む非リアが數名いたりもした。

因みに、新の相席は會長さんだった。

知らないに會長さん、委員長さん、桜姬によるジャンケン大會が行われていたらしい。

前の席からひょっこりと桜姬の顔が覗く。

「じーーーーー」

「…どうした。姉さん。」

「…羨ましい妬ましい。」

「…いや、ジャンケンならしゃあないだろ…勝手も負けても恨みっこなしだろ?」

「そうだけどぉ〜!!」

「あんまり後ろ向いてると車酔いするぞ。」

「うぅ〜〜〜!!」

唸る我が従妹をドウドウと宥めながら席に座らせた。

実のところ桜姬は車酔いしやすいらしく、後ろなんか見ていたら口からオーロラが発されてしまう。

念の為、効くかどうかはイマイチよく分からないが、酔い止め用の飴を桜姬の口に放り込んでおいた。

因みに味は蜂はちみつレモン味。

包み紙には何故か目線が修正された夢の國の使者や、悪巧みしてる半端ない黃い熊のイラストが描かれていた。

※夢の國の使者の話題には絶対にれてはいけません。

「それで、明日の自由行だが本當について來るのか?」

「行く!!行くの!!」

「まぁ、いいけど…知らねぇよ?誰かに闇討ちされても。」

「されないよ。されても新が守ってくれるから。」

「………。」

「それに、私を幸せにしてくれるんでしょ?」

ニッコリと笑ってみせる會長さんが新の顔を覗く。

「……まぁ、それの“方針”も決まったから良いけど。」

「方針?」

「ああ。まぁ、そのうち分かるよ。」

「?」

方針。それは無論、會長さんを幸せにするための方針である。しかし、その方針は恐らく會長さんのむものとはかけ離れているだろう。そんなことは、新も重々承知の上だ。

自己満足。そう言われても反論出來ない。

ただ、自分に出來る最大の幸せに対する答えがそれしか思い浮かばなかったのだ。

會長さんは首を傾げるが、新は黙ってラノベを読み始めるのだった。

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