《ロシアンルーレットで異世界へ行ったら頭脳派の魔法使いになっていた件【三部作】》8-055.三人の冒険者
「こんにちは。カカミ・ヒロ様」
明るい聲がヒロを迎える。ギルドの看板付嬢のラルルだ。昨日初めて會ったばかりなのに、ヒロの名前をフルネームで覚えていた。しかも名の順で。ワープロばかり使っていると、漢字を忘れてしまうなんてことはよくあるが、紙という存在が貴重なこの世界では、余程重要な報でない限り、書き留められる機會はない。その分、人の記憶に頼らざるを得ないのだが、付嬢のラルルはその職務柄の所為せいなのか記憶力が抜群にいい。
ヒロ達の前に何人もの冒険者と応対していたのに、ラルルは疲れた様子も見せなかった。
「もっと早く來る積もりだったんだけど、寢坊しちゃってね」
ヒロの挨拶は半分本當だった。昨日、モルディアスの小屋で魔との戦った後、宿に戻ったのはちょうど日沈の頃。疲労を考え、明日は晝からにしようとヒロが提案した。尤も、寢坊をしたのはリムだったのだが。
「ラルル、何かいいクエスト見つかったかい?」
ラルルは後ろを振り返って、機の上から一枚の蝋板ワックス・タブレットを取ると、ヒロに見えるようにカウンターの前に置いた。その板の右下隅には、昨日、ヒロが掘った木片を押し當てた印章サインがついていた。
「いいのがありましたよ。配達です。ヒロ様。昨日、冒険者ギルドに仮登録を行わせて頂きましたけど、今日から七日以に、手紙の配達クエストを行っていただきます。クエストの完了を以て、正式登録とさせていただきます」
ラルルは蝋板ワックス・タブレットをヒロに見せながらにこりとする。
次いで、ラルルは、ヒロの返事も待たずに、カウンター脇の袖機の引き出しを開けると、流れるような作で、一枚の羊皮紙を取り出す。細長い木箱の中に手紙を畳んで仕舞うと、細い紐をぐるりと一周廻して縛り、結び目に蝋を垂らして封をした。
「こちらの手紙をエマの街の冒険者ギルド事務所に屆けて、取証を持ち帰ってください。それでクエスト完了になります。報酬はこちらで取証を確認させていただいた後に支払いいたします」
手紙のった木箱をけ取ったものの、事が呑み込めず困しているヒロを察して、ラルルが補足する。
エマの街はつい昨日までいたところだ。片道四半日、屆けて帰って來るだけなら日帰りも可能だ。ヒロがソラリスを見ると、彼は當たり前だという顔でウインクした。どうやら拒否権はないらしい。
「分かった。七日のにだね」
「はい」
木箱を眺めながら答えるヒロの後ろに人影が現れた。
◇◇◇
「おい。邪魔だ退どけ」
後ろからヒロの肩を摑んで脇に押しやる手があった。ヒロが振り向くと、三人の冒険者と思おぼしき男がいた。
ヒロを押しのけた男は、くすんだ銀のアーマーに大剣を背にしていた。背丈はソラリス程ではないが、ヒロよりは高かった。男のよく発達した筋がアーマーの隙間から覗いている。相當鍛えていることが窺えた。前髪で隠れていない方の眼は全てを拒絶するかのように鋭かったが、その瞳にはどことなく濁りがあった。やや高めの鷲鼻に薄い、尖った顎。一度見たら忘れない顔だ、とヒロは思った。
もう一人は痩せた男。黒いマントで全を覆っている。先の尖った大きな三角帽を深く被っていて、顔はよく見えない。右手の親指に髑髏の指をしている。全から不気味さを漂わせるその風は『暗黒の魔導士』と呼ばれてもおかしくない程だ。
最後の一人は小柄な男で、肩に弓を抱えていた。オールバックの髪を後ろで結んでいる。額が異常にデカい。小男は、団子鼻の下の脣を、舌でぺろりと舐めると、警戒心と敵愾心をブレンドした三白眼でヒロ達をねめつけた。
剣を背負った男はヒロ達の間に割ってると、後ろのマントの男をちらとみて合図した。マントの男は無言でマントの下から皮袋を取り出すと、カウンターにドンと置く。どうやら、この剣を背負ったアーマーの男がリーダーのようだ。
「ラルル、黒曜犬の牙とゴブリンのバックルだ。換金してくれ」
「は、はい。確認しますので、々お待ちください」
ラルルは、皮袋を手元に引き寄せると口を開けて中を確認する。そして、計量してきますと言って、奧に引っ込んだ。
大剣の男はくるりとの向きを換え、カウンターを背にもたれ掛かる。両肘をカウンターに預けると、ソラリスがいることに気づいた。
「よぉ、ソラリス。暫くじゃねぇか。俺達のパーティにる気になったか?」
「誰が」
「いいじゃねぇか。いつまでもフラフラしてねぇで、俺達と遊ぼうぜ」
「ざけんな。とっとと失せろ!」
ソラリスは心底厭そうに拒否したが、男はまるで意に介さない。
「なぁ、ソラリスぅ。俺は、お前を買ってるんだぜぇ。お前が來てくれりゃぁなぁ、此処ここで……」
銀アーマーの男は、一歩踏み出して、ソラリスの前に出ると人差し指をソラリスの下顎に押し當てた。
「らねぇって言ってんだろ。それとも死にてぇのか」
ソラリスが男の指を手の甲で弾いた。怒りのランプは點燈寸前だ。
「あぁ、出來んのか手前てめぇに」
ロンボクが止めようとき掛けるより早く、見かねたヒロが割ってる。
「嫌がっているじゃないか。止めろよ」
「あぁん? 何だお前ぇは」
「何だっていいだろ」
ヒロは、自分のために骨を折ってくれているソラリスに対する大剣の男の慣れ慣れしい態度にしイラッとしていた。もしかしたら嫉妬していたのかもしれない。
「俺が誰だか知ってんのか。何ならその喧しい口を二度ときけないようにしてやってもいいんだぜ」
男はヒロに腕をばした。ヒロの顔に張が走る。ヒロの傍でをくしていたリムが聲を上げそうになる一瞬前に、男の手首をロンボクが押さえた。
「ミカキーノさん、止めてください。これ以上やるのなら、僕がお相手しますよ。貴方には敵わないまでも一矢報いることくらいなら僕にだって出來るんですよ」
ロンボクは空いた手に炎粒フレイ・ウムを作って見せた。何時の間に呪文を唱えていたのか。ロンボクもそれなりの魔法の使い手ではないのかとヒロは思った。
だが、そのロンボクの言葉に、アーマー男の後ろで控えていたマントの男が反応する。ほんの僅かに顔を上げ、切れ長の黒い眼をロンボクに向けたかと思うと、ロンボクの後ろの壁に掛けられていた蝋板ワックスタブレットの一つがバチンと音を立てて割れ、床に落ちた。
「ロキ!」
ロンボクのびに周囲が騒めき、フロアは一気に張に包まれた。
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