《部活の後輩と付き合ってみた》チョコ

「よし、勝った」

僕が手札にあるペアのカードを出して手札をゼロにした。

「あっ俺もあがりだ」

そして次の番であった織田が同じように手札をゼロにしてこの瞬間森の負けが決定した。

「ってまた俺の負けか!? ちくしょうーー!!」

と手札にあるカードを勢いよく空中に投げた。

今のところ森の5連敗中である。

僕が引っ越して數日、僕と織田、森の3人は僕の家にて大富豪をしていた。

「そろそろゲーム変えませんか!? 2人とも強すぎですよね!? というか容赦無いっすね!?」

「僕はゲームに至っては手を抜かないんだ」

「俺はただ負けるのが嫌いだ。

ーー特に同期のお前には」

「1人すげぇ私恨ってるなおい!?

大富豪以外なら勝てますよ!!」

「僕はいいけど……」

「俺も構わないが……

ってなんで俺達は國木田先輩の家に集まってトランプなんかやっているんだ?」

と織田は思い出したかの様に言ってきた。

「……なんでだろうな」

「それは君の彼が発端でしょうが織田」

「そうでした……」

自分で聞いてきてよく考えたら自分の彼が発端だと思い出した途端若干バツが悪い顔をした織田。

「いきなり與謝野さんが

“今日は3人でチョコ作ります〜〜!!”

って言い出して何故か僕ら3人は僕の家に集まったんだろ」

「なんか桜がすみません……」

「まっ、俺はいいけどな。

なんせ凜子の手作りチョコを食べれるんだからな!!

初めての彼からの手作りチョコをな!!」

「そう言えば凜子さんって料理上手いの?」

僕自凜子さんが作ったを食べた事がない。

「はい、それはもう!! めっちゃ上手いっす!!

……ただ本人は國木田先輩に負けて落ち込んでましたけど」

「ハハハ……」

乾いた笑い聲しか出來ない僕。

「國木田先輩の特技

子よりも普通に料理上手い”が新たに犠牲者を出すとは。

昨年はバレンタインに部活の陣全滅でしたからね」

「あぁ〜あったなそういうこと」

「僕は普通にお返しに作ろうと思ったんだけどな……」

昨年のバレンタインに僕は部活の陣からチョコをもらったのでホワイトデーにお返しとして手作りのチョコを作って渡したのだが、そのチョコをもらった陣が全員落ち込んで帰っていった。

「先輩の普通が陣の心を打ち砕いたんですよ。

それはもう……凄いぐらいに」

「まぁ與謝野を初めとして陣の落ち込みはもう……

なんか珍しく同したくなるぐらいにっす」

「で、昨年の反が今年の“チョコくれ”に繋がるのか……」

と僕の手元には各學年の陣からのチョコの予約票があった。先日織田や七海からその代を代表してもらったのだ。

「そうっすね……でも先輩はバレンタインで彼の手作りチョコを楽しみにしなーー」

「森、僕の彼を思い出せ」

僕は森に諭す様に言った。

「……すみません、そうでしたね」

僕の彼である七海は料理の腕が皆無である。

そのため未だに彼は僕の許可ないとキッチンにる事が出來ない。

「何よりも僕は七海が與謝野さんの家で何も起こさないか心配で仕方ないんだよな……」

「だ、大丈夫ですよ、桜や凜子さんもいますし!!

多分……多分大丈夫ですって」

と言いながらも織田も心配なところがあるのか語尾になっていくにつれ徐々に聲が小さくなっていく。

「まぁ七海が作ったものは食べるさ」

「おっ、流石彼大好きで有名な國木田先輩っすね!!

カッコいいっす!!」

「どうであれあの子が一生懸命作ったものなんだから彼氏の僕はそれを喜んで食べるさ」

せっかく七海が僕の事を思って作ってくれたチョコを彼氏の僕が食べないで誰が食べるのだろうか?

……というか誰にも食べさせないつもりだ。

「おぉ……流石先輩ですね、俺も見習わないといけーー

ーーん?先輩その今左手に持っている袋はなんですか?」

「ん? これかい? そんなの決まっているじゃないか

ーー胃薬にだよ、胃薬」

「さっきはカッコいい事言っていましたけど実際は不安なんですね……」

「……當たり前でしょ。あの七海だよ?

平気で塩と砂糖を間違える子だよ?

々なものれすぎてチョコが科學兵になりかねないからね……僕の胃がどこまでもつか……」

ちなみに最近の料理における七海の間違いは小麥と砂糖を間違えて竜田揚げが酷い事になりかけた。

ある意味ここまで來ると才能があるんじゃないかと勘違いしてしまう……無論悪い才能の方だが。

「平塚と付き合えている先輩を心の底から尊敬します……」

「……出來ればそれ以外で尊敬してしいな」

なんて思いを心の底から思った僕であった。

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