今日はバレンタイン

俺は彼である桜の家の前に來ていた。

「ここには毎回來ているが……張するな……」

事前にご両親がいないということは聞いているが彼の家というのは何度來ても張するし、更に立派な家を目にすると尚更張するのである。

この家は何でも桜のお父さんが有名な企業の役員らしく、お母さん別の會社の社長令嬢でありかなり豪華な家であった。

「よし……とりあえず……行くか！！」

俺は家の門を開けて中にった。

「お邪魔します……」

と玄関にり、一応俺が來たことを伝えるために聲を出した。メッセージのやり取りではリビングに桜はいるみたいである。彼の家には何度も來ているため部屋の配置も分かっているのでそのまま迷う事なくリビングに向かった。

「あっ……吉晴……おはよう……」

「どうした桜……？」

そこにはソファーにだらしなく寢転がっている桜がいた。

彼は日常ふざけているが何故かだらしない姿をあまり見せない、なので今の狀況はそこまで頭が回らないぐらい疲れていたのだろう。

……あとスカートで寢っ転がるのはやめてしい。

々と見えちゃいけないが見えてしまう。

「いや……疲れた……」

「そりゃ見れば分かる。何があった？」

「それはね……昨日平塚と凜子ちゃんとここでチョコ作りをしていて……平塚のが予想以上に手こずって……」

「あぁ……納得」

どうやら平塚のチョコ作りを先にしたらそれが予想以上に長引いて、自分が作る分を作っていたら今に至ると言ったじだろう。良く見るとキッチンにはまだ洗っていないボウルや食が並んでいた。

「お疲れ、桜」

「ありがとう……ふぁ〜」

と何度目か分からない大きなあくびをした。

「寢るならベットで寢たら？」

「そうしたいのは山々なんだけど……」

「けど？」

「ーー眠たくてかない……」

と目を半分閉じた表で言ってきた。

……地味にこんな眠そうな表の桜は見慣れていないからかとてもにくる。

……正直に言うとめっちゃストライク。

「おい」

「ふぇ……眠い……吉晴抱っこ……」

なんて言いながら俺の方に手をばしてくる桜。

「はぁ……分かった。しっかり摑まってろよ」

「はぁ〜い……お休み……」

俺は桜のをお姫様抱っこの要領で持ち上げると、そのまま彼の寢室まで持っていった。そして彼の部屋のドアを開けると、ベットに桜を優しく転がした。

「すぅ……」

「もう寢てる……」

桜はとても寢つきがいい。

多分俺が運んでいる途中で寢ていたのだろう。

「あっ、寢顔撮っておくか」

と俺はスマホを取り出し、可い彼の寢顔を撮った。

桜は笑顔もいいが、個人的にこの安心しきった無防備な寢顔も好きだ。

ちなみに俺のスマホのメモリにはこんな寢顔の寫真が沢山保存されており、そのフォルダにはパスワードをかけている。

……流石に見られたら恥ずかしいからだ。

「さて……」

桜に布をかけて寢室を後にした俺は１階のキッチンにいた。

目の前には當たり前だが洗っていない食が沢山あって、誰かが洗わないといけない。

多分桜の事だ平塚達には“私がやるから君らは早く帰りたまえ”でも言ったのだろう。そしてしソファーに寢転がったら疲れがどっときたのだろう。

「まっ、やるか」

寢て起きたらこの量の洗いをさせるのはなんかかわいそうなので、彼が寢ている間に全部やってしまおうと思った。

「でも改めて凄い量だよな……これ」

かなりの量の食やボウルを使っていたのだろう。

自分でやると決めた手前、撤回する気は無いがこの量を見てしまうとどうしてもやる気が失せる。

「ファイトだ……俺」

と俺は自分に喝をれると手元にあった皿を洗い出すのであった。

３時間後……

「ふぅ……終わった……」

俺は最後の皿を拭き終え、棚にしまった。

予想以上にこびりついた生地の元を落とすのに手こずり、かなり時間がかかってしまった。

「やっぱり母さんって凄んだな……」

今回洗いを通して母親の偉大さをしみじみとじた。

こんな疲れる事を毎日やっていると思うと日頃もっと謝をしていかなければいけないだろう。

ガチャ

「ん？」

「ふぁぁ……」

「起きたか桜

ーーってなんで枕？」

桜は何故か枕を持ちながら起きてきた。

……しかもまだ半分目を閉じている。

「ふぇ……まだ寢たい……」

「じゃあ寢ろよ……」

「吉晴のいじわる……むにゅう……」

と何故か手元で抱きしめている枕に顔を埋める桜。

……尚、桜は立ったままである。

何故起きてきたんだという疑問が浮かぶ。

「おいおい桜、危ないって」

「大丈夫……私なら……だいじょうぶ……ふぇ」

「まだ寢ろ、ソファーでもいいから」

「むぅ……そうする……」

と言うと桜はソファに座るとそのまま橫に倒れて……

「おみゃすみ……すぅ」

そのまま寢た。

そして橫に倒れて數秒で寢息が聞こえてきた。

「……何をしにきたんだ？

てか今日、俺何しにきたんだっけ……？」

後半に続きます