《部活の後輩と付き合ってみた》バレンタイン~森と凜子 後編~

「やっぱり1等は溫泉旅行ってなるよな……そのレベルだと」

なんせ2等、3等で最新型の電化製品なのだから一番高い商品がそれぐらいじゃないとおかしいだろう。

「結構有名な溫泉旅館で貸切風呂らしいです」

「しかも貸切かよ……」

今スマホで凜子が言っていた旅館を調べたのだが1日限定10組しか泊まれず、溫泉のレベルもさることなく夕食のレベルも最高評価ばかりならんでいた。

……我が彼はどこまで運がいいんだ?

「まさか學生のうちにこんな旅館に泊まれる機會がくるなんて思ってもいませんでした」

「良かったじゃないか、一緒にいくのはお母さんか? まぁゆっくり楽しんでこいよ」

「そ、それなんですが……」

というと凜子は崩していた足を正座に戻し、こちらを真っすぐ見てきた。

「ん、ん?」

俺もその様子に倣い何故か正座になった。

「そ、その旅行なんですけど……ここで1つ提案があります」

「は、はぁ……」

「発言の許可をいただいてもよろしいでしょうか先輩?」

「別にいちいち許可を取らなくてもいいと思うが……どうぞ?」

「ありがとうございます。では先輩……

ーーその旅行に一緒に行きませんか?」

「……」

「……」

「……」

「……あ、あれ先輩?」

「い、い、い、い、い、一緒にだってーーーーー!?」

「反応ワンテンポ遅くないですか!?」

「だ、だ、だ、だ、だってなぁ!? 普通驚くぞ!?」

今俺の耳が聞き間違えていなければ“旅行に一緒に行きませんか?”だぞ?

アニメやラノベでしか聞いたことない言葉を実際に、そしてまさか俺が言われるなんて……。

「わ、私だって自分でも凄い発言していると思っていますよ!? で、でもこ、これには理由があるんですよとても仕方ない理由があるんですよ!!」

「とりあえずどんな理由があったのか聞こうか」

「事の発端は旅行券を引いた後でした」

「……またその話し方なんだな、それで?」

「私の母がこう言いました。

“あなた、彼氏さんと言ってきたら?”と……」

「ち、ちょっと自分の娘になんてこと言ってんだ!?」

普通、未年の娘とその彼氏を一緒に旅行に行かせるか?

しかもまだ俺、會ったことないのにそんな馬の骨かどうかも分からないやつを信じますか普通!?

「私の母は結構そういうところ放任主義なので……というよりも寧ろ喜んでいて」

「えっ……なんで?」

普通、娘に彼氏が出來たらどういう人か疑うと思っていたのだが……。

「--ぼっちの娘に彼氏が出來て」

「なんか素直に喜んでいいのか分からないな!?」

まぁ前に凜子聞いた話だと凜子は俺と同じようにコミュ障であり、張のあまり表がこわばり目つきが悪くなってしまい友達があまりいなかったらしい。

……何故かこういうところは俺達は似ているのである。

「で、でも!! 先輩にもメリットはあると思います!!」

「……例えば?」

あまり良い予がしないがとりあえず聞いておこう。

「か、可い彼と旅行……とか?」

と可らしく首を傾げた。

……目線を斜め右に向けながら。

「……なぁ凜子、多分平塚から悪い影響けているだろ」

この発言を一番しそうなのは平塚だろう。

そして平塚は凜子になんか余計なことを吹聴したのだろう。

……後で國木田先輩に告げ口して飯を抜いてもらおうか。

これ以上、俺の彼に悪い影響を及ぼす前に止めてもらわないとーー

「でも……先輩と旅行に行きたいのは本當だもん……」

「……」

あっ、やっぱ告げ口するのやめておこう。

今の凜子の様子、すげぇにグッと來た。

……命拾いしたな平塚。

「ダメですか……?」

「行くか、旅行」

「いいんですか……? 無理してませんか?」

「あぁ大丈夫、全然無理じゃない」

まぁ凜子からわれて元から斷るつもりなんてないが。

ただ彼にここまで言われたら斷るなんて逆に俺自が許さない。

……べ、別にさっきの言葉がに來たからではないからな?

「やったっ」

と小さくガッツポーズをする凜子。

その様子も見ていて可いと思う。

「で、いつぐらいの予定なんだ?」

「大3月の始めの週の平日です」

「大學も休みにっているし大丈夫だな」

まぁ丁度その頃に実家に帰ろうと思っていたが1日ぐらい遅くなっても問題はないだろう。

あるとしたら俺の生活費ぐらいだろう。

……日々、節約するか。

「じ、じゃあ約束ですよ……?」

凜子は恐る恐る小指をこちらに向けてきた。

これはいわゆる“指切りげんまん”というやつか。

「オッケ、約束だな」

俺も自分の小指を出してお互いの指を絡ませた。

次回から國木田と七海の話に移っていきます。

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