「で、今日はどうしたの？」

「それはですね～センパイは今日が何の日か分かって言ってますか？」

「そりゃ今日は聖バレンティヌスが殉教した日でしょ？」

「……まだその流れ引きずりますか？」

「噓噓、バレンタインデーだよね。

ーーあっ、ごめんまだチョコ作ってない」

部員達からチョコを頼まれていたが會うのはどうせ明日だから今日作ろうと思っていたので

材料こそ買っておいたものもチョコの梱包すら開けていなかった。

「えぇ～そんな～！！ センパイのチョコ楽しみだっーー

ーーって今日は違うーー！！」

「今日はノリツッコミが多いね七海」

いつもは僕がツッコミをいれる立場なので彼がツッコミを、更にノリツッコミをここまでれる日はとても珍しいし、そんな彼を見れて心が和む。

……あぁ可い。

「そりゃ言いたくなりますよ！！」

「そうなの？」

「そうですよ！！」

「それでどうして七海はそんなに興しているの？」

「バレンタインデーって日本ではどんなイベントか

分かって言っていますか！？」

「チョコをあげる日？」

「そうです！！ そうなのです！！」

「それで？」

と僕が言うと七海は笑顔でこう言った。

「ーー私もチョコを作りました！！」

「へぇ……はぁ……」

「あ、あれセンパイ？」

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ！？ 七海がチョコを作ったの！？」

「反応遅っ！？」

「いやいやだって七海がだよ！？ 家事や料理なんててんでダメな七海が！？」

「……事実ですけど本人目の前で言いますかそれ？」

「ダメダメナナミンが！？」

「よく覚えていましたねそのあだ名！？ 私だって忘れかけていたのに！！」

※詳しくは「お世話をします！！」の回をご參考に

「だって七海が言っていたあだ名でわりかし覚えやすかったからね」

「嬉しくない！！ なんか悲しくなってきます！！

ーーじゃなくて私が頑張って作りました！！ チョコを！！」

と言うと七海はスカートのポケットから可らしくラッピングされた小包を出してきた。

「おぉ……それっぽい」

「いやですねセンパイ……それっぽいじゃなくてね？

正真正銘の私手作りのチョコだからね？」

「というか七海、よくチョコ作れたね」

七海の日ごろの家事能力を知っている僕からすると七海が1人でチョコを作れたのか怪しい。

……だってもし七海が1人で料理なんてしたら今頃、キッチンは目を當てられない狀況になっているはずだ。

「センパイ……まだ頭が起きていないんですか？

私が昨日何で家にいなかったのか知ってますよね？」

「あぁそう言えば昨日、與謝野さんの家に言っていたんだっけ」

昨日の事なのに完全に忘れていたが、昨日七海は凜子さんと一緒に與謝野さんの家に行っていた。

「そうなんですよ！！ そこで凜子や與謝野先輩に々と教えてもらいながらなんとか今日私自作のチョコを持ってくる事が出來ました！！」

「おぉ……？」

「朝までかかりましたけど！！」

「だよね……昨日君から“泊まる”って連絡來たし」

「ちなみにですけどセンパイ」

「なんだい？」

「私達、與謝野先輩の家でお風呂借りたんですけど」

「はいはい」

“與謝野さんの家のお風呂凄かった”とでも言うのだろうか？

まぁ確かにあそこの家は豪邸だし凄いだろうけーー

「凜子の凄いですよ」

「……」

……この子は自分の彼氏に何を言っているんだろうか。

ふと僕はまだ寢間著であることを思い出したので七海には一度部屋から出てもらい僕は寢間著から著替えリビングに移した。

「ところでセンパイ、なんで私がセーラー服を著ているか知ってますか？」

「そんなの君がさっき“気分”って言っていたじゃないか」

「実は違うんですよね……これが」

「へぇ……じゃあ本當の理由は？」

と僕が言うと七海は立ち上がり、腰に手を當てて

「そんなの決まっているじゃないですか！！

ーーセーラー服を著た後輩からチョコをもらったら嬉しいからですよ！！」

「……はっ？」

毎度恒例、この子は何を言っているんだろうか。

七海と出會って、もうしで１年になるが相変わらず行が読めない。

まぁ行は読めないというのは一緒にいて飽きないからいいとしは思うが。

「セーラー服にマフラーをつけている後輩の可い子からもらうチョコは嬉しいと私の調べでは９割が言っていました」

「何調べだよそれ……というか七海は暑がりだろ？

部屋でマフラー付けていて暑くないの？」

なんせこの子は夏場はほとんどショートパンツにTシャツ１枚という恰好でいて、抱き著かれると彼の２つの大きな膨らみや溫なんかが直に伝わってくるから困る。

尚七海は寒いのも苦手である。冬は冬で布団やこたつから出ない。

「暑いですけど可さのために頑張ります！！」

「そうなのかな……」

「ちなみにセンパイの高校は子の制服は何でした？」

「僕の學校はブレザーだったね」

僕の學校は男ともにブレザーが制服であった。

「じゃあ私がセンパイにチョコをセーラ服であげる“初めて”の人だったんですね！！

良いですねなんか“初めて”って」

「そこを強調するな」

……なんか“初めて”という単語で変なことを考える僕は頭が末期なのだろうか。

「で、センパイどうですか私のセーラー服は？」

「そりゃ可いよ、だって七海だもんね」

「えへへ～嬉しいなぁ～」

とほにゃと笑う七海を見て、僕も幸せになるのであった。