《脇役転生の筈だった》27
婚約決定から3週間たった日の事だった。
未だ私のもとには連絡が來ない。
それは學校での事だった。
私も天也も學校では婚約の話を一切しないと決めていた。
だが、奏橙が……。
「來週のパーティーってやっぱり婚約発表なんでしょ。
それを知らない令嬢達が皆気合いれているみたいだけど……」
と。
そんな話を聞いていなかった私は否定しようとした。
だが、その前に天也が肯定した。
「あぁ。
今から楽しみだ…と、これ以上言ったら不味いな」
「あ、にしてるのか」
「まぁな…」
どんどん進んでいく話に私はついていけなくなってくる。
まず、そのパーティーの話私は聞いてない!!
「…その話、聞いてませんわよ。
詳しく聞かせてくださりますよね?」
「……連絡はしたぞ?
2週間前くらいに」
「……お兄様かお父様ですわね。
お母様の方にも連絡を?」
「あぁ。
咲夜の母親の方に連絡したからな」
……これで分かった。
多分、父と兄のどちらかじゃない。
両方だ。
そう分かった途端、私は頭を抱えるのであった。
「咲夜、大丈夫か?」
「……大丈夫ですわ。
ただ、あのお母様でさえお父様を止められないのかと頭が痛いだけですから。
それと、日時と場所を教えてくださるかしら?」
「……あぁ。
日程は來週の土曜、時間は夜7時から。
場所は俺の家の所有するホテルだ。
場所に関しては後で地図を送る」
私は天也にお禮とお詫びをすると家に帰り兄を問いただしたのだった。
すると、いとも簡単に話してくれた。
「父さんと協力して咲夜の耳にいれないようにしていただけなんだ!」
と。
それに対して私が怒ったのは言うまでもない。
父に関しては母経由で怒ってもらった。
それからというものパーティーに向けての靴やアクセサリーなどと々準備に手間取った。
ドレスに関しては兄が作らせていたのでそれで良しとした。
そして當日。
私は6時過ぎにホテルへ行き、軽く段取りを確認してから50分頃に會場りした。
そしてそこには既に殆どの人が集まっていて私を余計に張させる。
お母様とお父様は前日に戻ってきているため今回のパーティーにも參加をしている。
……まぁ、準主役の両親だしね。
「咲夜、張してる?」
「奏橙……。
それは張するに決まっていますわ…」
奏橙が飲みを持ってやって來る。
紫月は友人と話しているらしい。
……つまりは私を令嬢避けに使ったと。
理由は分からなくもないため許すが。
「ははっ、やっぱり張するよね。
でも、咲夜は咲夜らしく堂々としていればいいよ。
あとは天也に押し付ける。
それがいつもの咲夜でしょ?」
「……そうですわね。
ありがとうございますわ。
もうすぐ始まりますし……。
面倒な事は天也に押し付けることにしますわ」
私はそう言うと奏橙に渡された飲みを飲みきりグラスを返すと軽く深呼吸をした。
「失敗したら奏橙を巻き込んでさしあげますわ」
「それは…辭めてしいな…」
私は普段の調子を取り戻し軽口を叩くと奏橙は苦笑を浮かべた。
ちなみに私は本気だ。
『皆、よく集まってくれた。
今日は皆に報告がある。
息子の天也の婚約が決定した。
…こちらへ』
既に天也はステージの上にいる。
そのため行くのは私だけだ。
うわぁ……やっぱり張する。
すると、天也は段取りには無かったが降りてきて私をエスコートする。
「……咲夜、大丈夫だ。
俺がいる。
そんな張する必要はない」
「……えぇ。
…だいぶ落ち著きましたわ。
ありがとうございますの」
本當、天也の聲を聞くと安心してくるのだから不思議だ。
「初等部の頃、會長の挨拶の時よりも人數はない筈だ」
「……あれは…その場の勢いというものですわ。
今と狀況が違いすぎますもの」
だが、そんな話をしているだけで心に充足が満ちていく。
それはやはり私が天也のことを好きだという事なのだろう。
『紹介しよう。
天也の婚約者、海野咲夜さんだ。
挨拶を』
私は天也の父からの紹介に合わせて禮をしたあと、そのまま義父さんから促され挨拶をすることになった。
……張で何を言ったのか覚えていないというのは重癥ではないだろうか。
『これで私からの報告は終わろう。
皆、楽しんでいってしい』
その言葉を合図とし會場には曲が流れる。
最初だからかしゆったりとした曲だ。
私と天也は2人揃って下へ降りていくとすぐに人に囲まれてしまった。
何より大変なのは……。
「咲夜、咲夜咲夜咲夜咲夜咲夜咲夜咲夜咲夜咲夜……。
僕の可い妹が……。
こんな、こんな奴にとられるだなんて…!!」
それを聞き私は思わず顔を引き攣らせた。
兄は怒った母に連れていかれた。
「咲夜!
私の可い可い娘!
それなのに…!!
こんな奴にとられるだなんて!」
父も同族だ。
そしてやはり怒った母によって連れていかれた。
こうして角では母が父と兄の2人を正座させ怒っているという狀況が作り上げられた。
「……咲夜」
「……申し訳ありませんわ…。
後でちゃんと言い聞かせますわ」
……なんとも神妙な雰囲気となったのだった。
それを破ったのは天也の父。
つまりは私の義父さんだ。
「やっぱり娘離れはしてなかったかぁ」
「……雅人…私の娘を…!!」
「紅谷、そろそろ娘離れ…」
「する気がないからいいんだ!!
咲夜は渡さ…」
「あ・な・た?
ふふっ…まだ分かっていないようね?
いいわぁ。
悠人も來なさい。
咲夜ちゃん、ごめんなさいね。
し、お説教が必要な様だから失禮するわ。
雅人さん、し部屋をお借りしても?」
母は隨分お怒りの様だった。
……父も兄もこれで反省すればいいのだが。
きっと無駄だろう。
あの病気は治らない気がする。
「あぁ。
案させるよ」
「ありがとうございます。
天也さん、咲夜ちゃんの事お願いしますわ」
「っ…は、はい」
母はスタッフに連れられてそのまま父と兄を引きずりながら退場して行った。
……本當、恥ずかしい。
あの2人はどうにかならないのだろうか?
「海野グループのご令嬢とはお初におめにかります。
私、東野コンポレーションの……」
「咲夜様、でしたかな?
私は…」
というところで私は軽く會釈するだけにし、聞き流すことにした。
聞き流すといってもちゃんと會社名と名前、顔は覚えている。
その他の下らない世間話を聞き流しているだけだ。
そこで1曲目が終了しクールタイムとなる。
そこで天也はき出した。
「咲夜、1曲どうだ?」
「喜んで」
私は微笑むと天也の手を取り、私達を囲んでいる人達に軽く謝罪をれてからダンスのホールへと向かった。
曲が流れダンスが始まるとその流れに応じて奏橙と紫月の2人が近付いてきた。
「天也、咲夜、婚約おめでとう。
ダンス中だけど…これが終わったらきっと話せないからね」
「咲夜、天也さん、婚約おめでとうございます」
2人のその優しさが心に染み渡る様だった。
「ありがとうございます、紫月、奏橙。
今度は2人の番ですわね」
「あぁ、そうだな。
2人の婚約パーティーはちゃんと呼べよ?」
すると、あの奏橙が顔を赤くして慌て出す。
それを見て私達3人は笑ったのだった。
「楽しかったな、咲夜」
「そうですわね。
…天也、飲を貰いに行きませんか?
生憎、他にも挨拶をしたい方がいるようですし…」
私の言いたい事が伝わったのだろう。
天也は快く了承し、飲を取りに行く。
私達はまだ未年なので烏龍茶にしておいた。
「咲夜、向こうのスウィーツのコーナーにマカロンがあるの知っているか?」
そうニヤニヤしながら言ったのは天也だった。
私もつい反応してしまい天也に笑われる。
私のマカロン好きは変わっていないのだ。
……マカロン、味しいんだもん。
結局私は天也の思い通り、マカロンを取りにスウィーツコーナーまで行き何種類かを取り分けて貰ったのだった。
私が選んだのはベリー、柚子、レモン、ローズ、バニラをそれぞれ2個ずつで10個だ。
し取りすぎかとも思ったが考えない事にした。
「味しい…。
…これ、ロマージュのマカロンですの?」
「……良く分かるな…。
さすが咲夜……」
「當たり前ですわ。
この辺で3種のベリーを混ぜているのはロマージュだけですもの」
ロマージュのマカロンは私のお気にりなのだ。
まぁ、値段も結構するためあまり行くことはないが。
だが時々、兄に買ってもらう事があった。
そのためロマージュのマカロンは私にとってわかりやすいのだ。
「……マカロン好きもここまでくると病気だな」
「あら。
病気だなんて酷いと思いますわ。
お兄様やお父様程酷くありませんもの」
「いや、あれと比べたら駄目だろう」
人の兄や父をあれ呼ばわりなんて……。
まぁ、いいけどさ。
それと私もわかってはいるものの兄と父の病気を認めたくないという気持ちはあるんだよ?
それを…それを……!!
「咲夜先輩!」
「勇璃君、來ていらしたんですのね」
「は、はい…!
咲夜先輩、その…ご婚約、おめでとうございます。
…咲夜先輩が嫌々婚約されたとかではなく良かったです。
もし嫌々ならファンクラブの會員全員で悠人先輩をバックアップしつつ解消まで持ち込む必要がありましたから!」
勇璃君は元気に何事もないかのように言うが結構大変な事を言っているという自覚があるのだろうか?
というか、嫌々婚約してたら兄をバックアップしつつって…本當にやりそうだから怖い!!
「天野先輩、咲夜先輩を泣かせたりしたらファンクラブの會員全員で解消まで持っていくつもりですから!
會員の中にはまだ納得していない人もいるので……。
…僕もですが……。
咲夜先輩がまない限りは僕も皆を止めておきます」
今、小さく『僕も』って言ったよね?
え?
それって勇璃君がまず納得してないって事だよね!?
それだけ私を思ってくれる人がいるって事か。
うん、きっとそうだ。
それから何人か相手にし、ラストダンスを踴ったところで婚約パーティーは終となった。
婚約者が浮気したので、私も浮気しますね♪
皆様ご機嫌よう、私はマグリット王國侯爵家序列第3位ドラクル家が長女、ミスト=レイン=ドラクルと申します。 ようこそお越しくださいました。早速ですが聞いてくださいますか? 私には婚約者がいるのですが、その方はマグリット王國侯爵家序列7位のコンロイ家の長男のダニエル=コンロイ様とおっしゃいます。 その方が何と、學園に入學していらっしゃった下級生と浮気をしているという話しを聞きましたの。 ええ、本當に大変な事でございますわ。 ですから私、報復を兼ねて好きなように生きることに決めましたのよ。 手始めに、私も浮気をしてみようと思います。と言ってもプラトニックですし、私の片思いなのですけれどもね。 ああ、あとこれは面白い話しなんですけれども。 私ってばどうやらダニエル様の浮気相手をいじめているらしいんです。そんな暇なんてありませんのに面白い話しですよね。 所詮は 悪w役w令w嬢w というものでございますわ。 これも報復として実際にいじめてみたらさぞかしおもしろいことになりそうですわ。 ああ本當に、ただ家の義務で婚約していた時期から比べましたら、これからの人生面白おかしくなりそうで結構なことですわ。
8 170どうやら魔王は俺と結婚したいらしい
俺達が普通に何気無く生活していた時、突然俺達の世界に謎の建造物が現れた! その名は魔王城! そこには人ではない魔物が住んでいて、その魔物達が人間達を襲い混沌とした日常が訪れる……なんて事にはならずに俺達は何気無く普通の生活を送る。 なにもしてこないなら良いか、俺を含めた皆が安心していた時、俺の身にあんな事が起きるなんて想いもしなかった……。 この物語は俺が魔王に拐われ魔王城や色んな所でドタバタする、そんな話である。 ※ なろう、の作者、麥茶ライスさんがイラストを描いてくれました! 2話にあります、ありがとうございます。 ※表紙は、小説家になろう、の作者、麥茶ライスさんのイラストを使わせて頂いております。 ※この小説は、小説家になろうにも投稿しています。
8 59女であり男でもある私は復讐をしていきます
容姿端麗、文武両道な伯爵令嬢シトラル・サランバールは國の次期権力者達の嫉妬を買い、15歳の時無実の罪で殺されてしまう。 その後、神と名乗る少年に出會い神に選ばれ、加護を貰っている同い年の子に転生(?)する。 転生した子は男の姿にも女の姿にもなれる體質に強力な魅了魔法と光魔法を持って生まれていた。 その力を使い、無実の罪でシトラルを殺した人たちに復讐をしていくことを決意する 今度こそ最愛の人と幸せな人生を!! 初めて書いた作品なのでまだまだ下手なところは沢山あると思いますが、アドバイスやフォローをしていただけるとありがたいです!
8 134後輩は積極的
同じバイト先の女子高生の後輩は、すごく積極的。 しかし、主人公はそんな彼女の思いに気が付かない。 いつまで経っても、自分の思いに気が付かない主人公に彼女はとうとう最後の手段に!? 「先輩はわがまま」のスピンオフ作品です! 前作も見ていなくても楽しめますので、よろしくお願いいたします。 不定期更新!
8 129【連載版】無能令嬢と呼ばれ婚約破棄された侯爵令嬢。前世は『伝説の大魔女』でした。覚醒後、冷遇してきた魔法學園にざまぁして、國を救う。
短編版の連載開始です。序盤の方から短編にない新キャラ等も登場予定です。 魔法王國で唯一魔法が使えない『無能令嬢』リンジー・ハリンソン。ある日、公衆の面前で婚約者アンドルー王子から婚約破棄を言い渡される。學院ではいじめられ、侯爵家である家族には冷遇され、使用人からもいびられる毎日。居場所のない日々だったが、ある日謎の旅人に出會い、『伝説の大魔女』だった前世の記憶がよみがえる。そして、伝説の虛(ゼロ)級魔法使いとして覚醒。とりあえず、學院でいじめてきた生徒たちを圧倒。掌返しをするアンドルーも拒否。家族や使用人にもざまぁします。さて、次はなにをしよう……と悩んでいたら、國王陛下から呼び出し?國を救って欲しい?辺境の魔物討伐?とりあえず、褒美を頂けるなら無雙しちゃいましょう。 チート級魔法での無雙あり。ざまぁあり。
8 65聖女のわたくしと婚約破棄して妹と結婚する? かまいませんが、國の命運が盡きませんか?
リリアベルは、生まれつき身體に百合の紋章を宿した聖女だった。 けれども、人の感情がオーラとして見える特殊能力があるのを、婚約者のアーサー公子からは疎ましく思われている。 「お前とは婚約破棄して、妹のララローズと結婚する!」 華やかな仮面舞踏會の夜、とうとう高らかに宣言される。 その上彼は、聖女の証まで噓だと疑ってきて……? 「今ここでドレスを脫ぎ、印を見せてみろ」 乙女の肌を大衆の目にさらすわけにはいかない。 抵抗するもむなしく、背後から捕えられ、絶體絶命のピンチに――。 「やめろ!」 そこへ、仮面をつけた見知らぬ男性が現れたのだった。 ※2022/11/17異世界戀愛日間ランキング11位・総合日間13位・総合日間完結済4位 応援ありがとうございます。 ※第一部だけでも婚約破棄がテーマの短編としてお楽しみいただけます。 ※第二部は後日談的な位置づけとなります。 ※2022/12/02カクヨム様にダイジェスト版の掲載をしました。
8 145