《脇役転生の筈だった》28

それから暫くたち、夏休みにると私達6人は豪華客船の旅に出ていた。

「う、うわぁ……」

「咲夜、部屋は何処にすればいい?」

「…さすが、海野グループ。

豪華客船に関しては一番だね…」

「わ、私海野グループの豪華客船は初めてです……」

「紫月ちゃんはまだいいですよ!

私なんて…豪華客船乗ったことないですから!!」

「ふふっ…お父様に頼んだかいがありましたわ。

まずは客室に案いたしますわ」

皆が客船に驚く中、私は客室へと案した。

客室は勿論、最上階。

合計六部屋のため丁度1人1室分ある。

特に変わりはないためカードキーを選んでもらいそれぞれの部屋にる。

「あ…私、音と隣室ですわね」

「そうみたいですね!

咲夜が隣で良かったです!」

「俺も咲夜の隣室らしいな」

「僕は天也の隣か…」

「俺は…姉さんの隣か?」

「私は奏橙の隣みたいです」

それぞれの部屋を確認するとそれなりに関わりの強い者の隣になったらしい。

それにしても……天也と音が隣なのか。

夜は音の部屋で話そうかな?

「咲夜、今更かもしれないが……口調戻していいんじゃないか?」

「え?」「は?」

紫月と魁斗はそれぞれ疑問を浮かべているようだがこのメンバーなら問題ないだろうと思い、私は素に戻った。

「そう?

なら、遠慮なく。

あれだね、やっぱり令嬢としての口調って疲れる」

「……さ、咲夜……?

だ、大丈夫ですの?」

「……なんか、令嬢しないな…」

紫月には心配され、魁斗には呆れのこもった目で見られた。

………納得いかない…。

「2人共、慣れて。

咲夜は初等部の頃からこんなじだから」

「もとはと言えば天也に言われたからだって…。

言われなかったらちゃんと口調は注意してた。

それに、人が見てるとこでは戻すからいーの」

「そこら辺の切り替えだけは早いよね…」

「そうでもないと思うけど…。

ま、いっか。

そういえば、水著って持ってる?

持ってたらプールいかない?

溫泉の方でもいいけど…」

苦笑している奏橙に対し、私はボソッと呟くとそんな提案をした。

この客船にはプールと溫泉もある。

プールに関してはウォータースライダーや流れるプールなどといったものまであるのだ。

溫泉に関しても水著著用のゾーンはジャグジーもあるし、ワインやお茶といった香りの溫泉まである。

「あぁ…そうだな。

だが、どっちにする?」

「最初はプールの方でいいんじゃない?」

「んじゃ、プールの方にしよっ……」

「あ、あの……す、すいません…。

私と魁斗は持ってきてない…です……」

……ふむ、確かに言って無かったしね。

仕方ないか。

…2階のショッピングゾーンにあったはず。

行ってみるか。

「天也、ショッピングゾーンで著替えてプールで集合という事で!

魁斗をお願いね。

私達は音を擔當するから。

あ、もし何かあったら私持ちだから適當に持ってっていいよー」

「あぁ、分かった。

後で集合な」

「え?

…え?

さ、咲夜!?

ちょ………」

私は魁斗を天也と奏橙に任せて音と紫月を連れショッピングゾーンに向かう。

ショッピングゾーンの水著コーナーに行くと私と紫月は音に似合いそうな水著を探し始めた。

「あ、これとかどう?」

そう言って私が出したのはピンクのフリルのついた可らしい水著だった。

「これもいいと思います!」

紫月が選んだのは水の落ち著いた雰囲気のの水著だ。

そんな私達を見てか音も周りを見始める。

「ピンクは咲夜の方が似合っています!

なのでこれとかどうでしょう?

紫月ちゃんはこっちの薄紫とかどうでしょうか!」

………天也は可いと言ってくれるだろうか?

…今の水著よりは可い…けど…。

私に似合うとは到底思えそうにないピンクという選択に戸いながらも考える私だった。

「咲夜には確かにピンクって似合いますの。

ですが、やはり白や黒も捨て難いと……」

……何で皆白って言うんだろうね?

兄や父を筆頭とした人達も白が合うっていうし。

あ、でも黒は初かも。

「咲夜はどれにしますか?」

「わ、私は持ってきたし…」

音が笑顔でピンクと白の水著を持って聞いてくるが私はどうにか逃げようと持ってきた事を言うが、次に紫月の言った一言で私の意見は変わる事となる。

「咲夜、天也さんに可いっていってもらえるように選びましょう!」

「………い、言ってもらえる……かな…?」

「か…可い!

咲夜が小みたいです!」

そんな音の言葉すら聞こえないくらいに私は自分の世界にり込んでいた。

…天也は本當に可いと言ってくれるだろうか?

だけど、いってくれたとしてもこの水著は恥ずかしいし……。

そう、音や紫月が持ってきたのはビキニタイプの水著なのだ。

流石にそれを著て出て行く勇気は持ち合わせていない。

それに、最近太り過ぎたし……。

「咲夜、チャンスですわよ?」

「チャ、チャンス……?」

「そうですわ。

天也さんにもっと好きになって貰うためのチャンスですわ。

いと言ってもらいたいのでしょう?

でしたら……」

そう言われ、私は意を決して音の持つフリルであしらわれた薄いピンクの水著へと手をばした。

次いでに白の水著の上に著る上著も持つ。

そして更室で著替えてから出ると音と紫月から可いと言われた。

……天也は可いといってくれるだろうか?

ついでに髪をひとつに縛っておいた。

……邪魔になるとあれだし…。

その頃には音と紫月も選び終えていたようで著替えていた。

全員揃ったところでプールに向かう。

「咲夜、どうしましたの?」

「咲夜?」

…私は恥ずかしさのあまり足をとめてしまいプールの中にれずにいた。

……冷靜になってみればこの格好、凄く恥ずかしい。

ピンクというのも私に合わない気がするし…。

それに、フリルとかビキニって……。

私は顔を赤く染めてすくぶってしまっていた。

それを見てどう思ったのか音と紫月が私の手をひき歩き出した。

音、紫月來たのか…って…咲夜は?」

「2人とも、その水著似合ってるよ」

「姉さん別人に見える…」

私は扉から出られずに隠れていた。

そんな私に対して2人が叱咤する。

「咲夜、この期に及んで往生際が悪いですわよ!」

「そうですよ、咲夜!」

「私、著替えてく…」

「させません!

紫月ちゃん!」

「えぇ、音さん!」

音と紫月は息ぴったりに私の手を摑み引っ張った。

それにより扉から出てしまった私はあまりの恥ずかしさに顔が赤くなっていく。

「咲夜、似合ってるよ。

いつもとは雰囲気が違うけどね」

「…綺麗だと思う」

とは奏橙と魁斗だ。

私が一番聞きたかった天也は固まっている。

私はそんな天也にやはり似合ってないだろうか、と思い始めたころ、音が要らない事を話し始めた。

「天也、何か言ってあげてください!

咲夜ったら可いんですよ!

最初は著るのを嫌がっていたくせに天也の名前を出すと顔を赤く染めちゃって……」

「か、かかか音!?

何言ってるの!?」

「本當の事ですから」

音の馬鹿ァァァ!!」

そんなやり取りをしていた私に天也は顔を背けて言った。

その頬はし赤くなっている気がする。

「その…なんだ……?

…に、似合ってる…。

いと、思う……」

「な、なっ……。

何を言っているんですの!

私ですもの。

當たり前でしょう」

私はそう口にしてからしまった、と顔を青くする。

こんな事を言いたかったわけではない。

なのに照れ隠しのように勝手に口から出てしまったのだ。

「咲夜って褒められたりすると心にも無いこというよね」

「うっ……。

そ、それは…!!」

「しかも、令嬢としての口調に戻るし…」

「うっ……」

「照れ隠しってバレバレだし…」

ことごとく奏橙に心を抉られる私だった。

……何もここでそんな事を言わなくてもいいと思うんだ。

そしてそのあと、皆で流れるプールやスライダーなどといった場所に移する際、天也が私の隣にきて小さく呟いた。

「咲夜、本當に可いし、綺麗だ。

その、さっきはすぐに言えなくて悪かった…。

いつもの咲夜とあまりにも雰囲気が違いすぎたし…見とれてたんだ…」

「っ……。

…別に、気にしてないし。

でも、まぁ…ありがと」

私は天也の率直な言葉に思わず顔を背けた。

お禮を言うと、すぐに音達のもとへ走っていく。

音、紫月!

スライダー行こう!」

と、照れ隠しのように2人を巻き込み走って行った。

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