《奴ら(許嫁+馴染諸々)が我が家に引っ越してきたのだが…》奴らがき出す

とある暗闇で十數名の生徒が集まっていた。その中心に立つ男が全員の出席を確認してから口を開く。

「さて、まずはこうして招集に応じてくれたことを謝する。ここ最近、あまり良くない方向に事が進んでいることを聡明な諸君なら気づいていることだろう。あまり手荒な真似はしたくはないがこうなってしまったらやむを得ない。例の作戦を実行に移そうと思う」

「あの作戦ですか……時期尚早では?」

代表の男の傍に立つ心配した様子で進言するがそれに対しては首を橫に振る。

「いや、むしろ遅すぎたくらいだ。我々の存在意義を忘れてはいけない。無論、これは強制ではただ。賛同できない者は挙手をしてくれ」

手を挙げる者は誰もいないことを確認してこの場を仕切る男は皆の決心をけ止め、ゆっくりと頷く。

「どうやら決まりのようだね。しかし、これにより我々の存在が明るみとなり奴らに抹消される可能が高い。それに、これから始める『三雲 里沙を幸せにするための暗躍計畫』は彼に嫌われるかもしれない。実行したら間違いなく、なくとも我々が里沙ちゃんと付き合える機會は一生なくなる」

「お言葉ですが代表。ここにいる面々は何もそこまでんでなどいません。我らが天使、里沙ちゃんが幸せになれるならこのを捧げる覚悟です」

頷く同志たち。

これに自分は何と愚かな質問をしてしまったのだろうと反省しながらも頼もしい仲間を誇りに思った。

「そうだったな。ならば善は急げだ。我々、三雲 里沙ファンクラブ最初にして最後の作戦を始めよう」

こうして本人の意思関係なしに大きな組織がき出そうとしていたのであった。

***

とある日の晝休み。

久し振りに親友の友和と學食でいつものように他のない話をしながらスプーンを口に運んでいた。

「なあ、理不盡とは思わないか?」

「何がだ?」

「青春ってのは平等に與えられるべきだと俺は思うんだ。ラノベなんかで良く見るハーレムは男としてそれは羨ましいと思ったりもするけど、人間張っちゃいけないんだよ。どのみち一人しか選べないからな」

「いや、だから何の話だよ」

「だ、か、ら! お前の羨まけしからん現狀についてだよ。里沙ちゃんだけに限らず、生徒會長にテニス部の後輩、それにあの不思議ちゃんまで……一何人のを誑かせば気が済むんだ?」

「誑かすって人聞きが悪いな。別に俺はそんな気ないって」

実際、これだけ同棲していてもいまだに問題は起きていない。まあ魅雨がいるところでそんなことをしようものなら粛清されそうだがーー。

「ふ〜ん。でも、お前にその気がなくても他の奴らはどう思ってるかな?」

「それは……」

「どうやら思い當たる節があるみたいだな。誰を選ぶつもりなんだ?」

「選ぶってそんな……」

まだ分からない。

そもそも自分に選ぶ権利などあるのだろうか……いや、そもそも選ぶとか失禮な気がしてならない。

「天坂 興だな」

友和の問いに戸っているとふと見知らぬ男子生徒が話しかけてきた。その後ろには數名の生徒が歴戦の兵士のような佇まいでこちらに鋭い視線を送ってくる。

「え、えっとそうですけど誰ですか?」

「我々は三雲 里沙ファンクラブだ。悪いが訳あって協力してもらう」

複數人に取り囲まれ食堂から連れ去られる中、いち早く危険を察知して姿を隠していた友和はその様子をながら見守っていた。

「こいつは大変なことになりそうだな」

し楽しそうに呟きながらその後をつけることにした。

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