《奴ら(許嫁+馴染諸々)が我が家に引っ越してきたのだが…》奴らが引っ越してきてからは……
真実とは殘酷なもので二人が口にしたのは噓ではなかった。親父が自供したから間違いない。
「一応、親父に確認した。どうやら本當みたいだな」
「疑り深いな〜お兄ちゃんは。おっと、ややこしいからこの呼び方はやめた方が良いのかな?」
「いや、今更ってじだろ。むしろお前に名前呼びされる方が気持ち悪いわ」
「隨分と落ち著いてるね。本當は勘付いてた?」
「若干な。兄妹なのに似てなかったし、ある日を境に俺に引っ付くのをやめたりしたからな」
「ぬっ、確かに言われてみればお兄ちゃんがお兄ちゃんじゃないって知ってからは恥ずかしくて過剰なスキンシップは辭めにしたんだっけ……」
「詰めが甘いな。お前のことだからどうせ俺を驚かせようとしたんだろうがそうはいかん」
「はいはい。私の負けで良いからちゃんとした返事を聞かせてよ。私、妹じゃないけどそれでもしてる?」
「當たり前だ。今更の繋がりがないからってお前と過ごした日々がなくなるわけじゃないだろ。だからお前が俺の妹だっていうのは変わらねえよ」
兄妹の絆はこの程度で崩れるものではない。の繋がっていない兄妹なんて他にもいるだろうし、特段期にする必要はないだろ。
「ふ〜ん。やっぱりお兄ちゃんはシスコンだね」
「今の流れで何故そうなる。それにしても里沙はどう思ったんだ? 俺が馴染じゃなくて兄らしいが……」
「私も興くんと同じで今までと変わらないかなって思ったの。だって興くんは興くんだし、華蓮ちゃんは華蓮ちゃんだもの」
「二人がそれで良いなら私もこれ以上何も言わないよ。それで、お兄ちゃん。これで全てのデートを終えたわけだけど答えは出た?」
「出たようで出ていないってのが正直なところだな」
「何それ? どういうこと」
「やっぱり俺にとってお前たちが大事な存在だって再確認できた。それだけで十分だ。もちろん、お前たちだけじゃなくて我が家に引っ越してきた連中もな」
いきなり現れては許嫁だと豪語した八恵。彼を皮切りに我が家にはんな人が引っ越してくるようになった。
生徒會長として學園で活躍し、最初は我が家に家宅捜索に來たのだが実は俺の姉であることが判明した。現在になってはすっかり姉らしく振る舞っている。
しぶっきらぼうな褐の後輩。俺が中學生の頃、ライバルであった男の妹でテニスの腕前はながら俺なんて相手にならないほど強くなっていた。どうやらテニスを始めたのは俺がきっかけなのだとか。
あのちゃんぽらんな親父の紹介によって最近我が家に引っ越してきた琴陵。パワースポットマニア? な不思議系の彼は孤立してしまっていたが學園で居場所を手にれることができた。最近では我が家でも何やらパワースポットの良さを広めようと闘しているらしい。
計六人も引っ越してきて賑やかになった我が家。今ではそれが當たり前になっているがそれはとてとありがたいことだ。
俺は家族の溫かさをあまり知らない。何せ母親は早くに亡くなり、父親はあのザマだ。普通の家族経験しているであろうことをしていない。
だからこそ彼たちの存在は俺に家族というのは何かを教えてくれた。これが異に対してのになるかは今はまだわからない。
なので、とりあえずはこのままで。ゆっくりといつもの日常を過ごしながら自分の気持ちを確かめよう。
「何をスッキリした顔をしてるのかと思ったらそんなことだったんだ。私はてっきり……」
「てっきり何だ?」
「なんでもな〜い。それよりも疲れたから今日は私の好を用意してくれるんだよね?」
「ああ、もちろんだ。お兄ちゃんは妹のわがままを聞くのが仕事だからな」
ライブ會場を後にして我が家へと戻る三人。著くとそこには何やら八恵が玄関の付近をウロウロ歩き回っていた。
「あっ、興様。ちょうど良いところに」
「どうしたんだ?」
「えっと、この方がどうしても興様とお會いしたいと仰っていまして……」
そこに立っていたのは小柄な男の子だった。見た目的に中學生くらいだろうか?
キャップを深々と被り、大きな鞄を背負う彼はこちらを見るや否や無邪気な笑みを浮かべた。
「貴方が興さんですね。お話は姉からかねがね」
「ど、どうも……。え〜っと、君は?」
握手を求められたのでそれに答えながら笑顔で応えるが狀況が飲み込めない。
「これは失禮しました。僕は嘉納 由の弟、湊です。ここでお世話になりにきました」
「お世話になりに?」
「はい。姉から聞いていませんか?」
「いや、何も」
とそこにタイミングを見計らったかのように親父から著信があった。悪い予がしながらもスマホを取り出す。
「悪い。言い忘れてたけど、由ちゃんが急にボランティアに參加することになったから弟さんが行くあてがないらしいからお前の家に住まわせることしたからよろしく〜。まあ、ボランティアにったの俺だし、弟は俺の方でどうにかするからって決めたのは俺だから由ちゃんのことは責めるなよな」
いつものちょうど調子でとんでもないことを宣う親父に怒りを覚えながらもため息をつくことに。
「まあ、その々と大変だろうけどようこそ天坂家へ」
これからまた一人、我が家に引っ越してきて更に面倒なことになるのだがそれはまだ別のお話。
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