《皇太子妃闘記~離縁計畫発中!~》43話 謀
振り向くとそこにはビートン王子が立っていた。
こんな時間に何故?
「ビートン様!お待ちください!」
レイナが止めるのも聞かずに、ビートン王子はずかずかと部屋にってきて、私の目の前に立ってニッコリと笑う。
「アリア様、ご機嫌麗しく。」
さっきまでご機嫌だったけれど、たった今不機嫌になったわ!早くお風呂にりたいのだけど!
「こんばんは、ビートン様。何かご用かしら?まだルイス殿下は此方へは帰ってきておりませんの。」
「ええ。知っております。」
知っているのにこの部屋に來たの?
こんな夜にもなって·····。
「アリア殿、せっかくなので庭園に行きませんか?自慢の庭園なんですよ。」
ビートン王子が私に手を差しべる。
「え!?今からですか!?」
「ええ。大丈夫ですよ。夜でも見えるようにしています。」
そういう意味ではなくて、こんな夜に旦那様が居ないのにう?
私が戸っていると、ビートン王子は強引に私の手を取り、引きずるように部屋から連れ出した。
私は焦りすぐ斷りをれるが·····
「ビートン様、申し訳ないですが夜ですしルイス殿下の許可も頂いてないので····」
「まあまあ、そんなことを言わずに!」
ビートン王子は私の言葉を無視してズルズルと私を引きずるようにして歩く。
うわあ!どうしよう!
どうしてどの王族ってマイウェイなのよ!
こういうときはネネがいたらきっぱりと斷ってくれるに~!
そう思いチラっと侍の方を見たら、プリンは、どうすれば分からないようでハラハラしながら心配そうに付いてきていた。
·····あら?レイナが居ないわ。
そう思った時に、前から聲がした。
「ビートン様、アリア様を勝手に連れ出しては困ります。」
前を向くとランディの聲だった。その後ろからは「はあはあ」と息切れしながらレイナが走ってきていた。
レイナ!居ないと思ったら、ランディを呼びに行ってたのね!
「邪魔をするな!別に構わぬだろう!庭園に散歩をしに行くだけだ!」
「アリア様の行は全てルイス殿下の許可を必要となります。さあアリア様を離しください。」
ランディは強引に私の腕を摑んでいたビートン王子の手を払い、私を隠すように前に立ちはだかった。
「ルイス殿の許可が必要だと!?」
「そうです。ルイス殿下はアリア様を溺されてますので、ちょっとのことでもアリア様に関することは許可が必要となります。何らかのおいをされるならまずはルイス殿下を通していただきます。」
ちょっと!それってどういうことよ!初耳なんですけど!
「·····今はいいだろう?ルイス殿は父上と兄上とお話し中だ。」
「そうですね。ですから今回は諦めてください。」
「何ー!?近衛の分際で私に楯突くのか!!」
ビートン王子は折れないランディに業を煮やしたらしく怒り始めた。
「私は·····」
ランディが何かを話そうとした時に遮る聲がした。
「そこで何をやっている。」
振り向くとそこにはルイス殿下が歩いてこちらに向かってきていた。
ビートン王子はルイス殿下を見た途端に熱が冷めたように大人しくなった。
「ビートン殿ではないですか。何かご用かな?」
「いや······父上と兄上との話し合いは終わりましたか?」
「ああ。終わりましたよ。」
ルイスはそこで一旦言葉を切りビートン王子をギロッと睨んだ。
「それよりもこんな夜に私が居ない時に訪問するなんて失禮じゃないか?」
ビートン王子は冷や汗を掻きながら言い訳を始めた。
「ルイス殿が居ないからアリア殿が寂しいだろうと思い庭園においをしたまでです。」
「·····そうか····だがそんな気遣いは不要です。アリアへのおいは私を通してからにしてください。」
「······分かりました。」
ビートン王子はくやしそうに踵を返し走って去って行った。
それを見屆けるとルイス殿下は私を見て、笑顔になり
「さてアリア、これはどういうことか説明してもらおう。」
目が笑ってないんですけど!
それからはちゃんとり行きをレイナやプリンも説明してくれたけれど、私がちゃんと斷らなかったからこんなことになるんだと言われて、その日は一緒に風呂にらされ、夜も散々啼なかかされた。
私は悪くないのに~!!
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
次の日の朝は起きれなかった。旅の疲れと夜の疲れで起きたのは晝前だった。
ルイス殿下は既に起きていた、本を読んだりしてゆったりと過ごしていた。
お晝ご飯を食べ終わり、ルイス殿下はまたザビアス陛下に呼ばれたようで用事があると言って側近のイーサと一緒に何処かへと出掛けた。
私は暇なのでピューマの所へ行くことにした。
ランディは昨日のことがあるからか、背後にびっちりと付いている。前には騎士が二人、警戒して歩いていた。
王宮の中なんだからそこまで警戒しなくてもいいのに。
リンカーヌ王國と一緒でかなり離れた庭園にピューマはいた。
周りには近衛や騎士の人が警備をしていた。
それはどの國でもそうだったが、ピューマが人間を襲わないように見張ってしいと要があったのと、黒ヒョウはとても貴重なのでピューマの方が狩られるのを防ぐ為というのもある。
まあ、ピューマが人間に負けるとは思わないけれど。念のためね!
ピューマは
「きゅ~ん」
と鳴いて私の元へやってきた。鼻先を押し付けてきて、でて!っていっているのでおもいっきりでて回した。ピューマは気持ち良さそうに「ゴロゴロ」のを鳴らしている。
ピューマが寢転んだら、お腹に顔を埋うずめて思う存分にもふりまくった。
······ちょっとトイレに行きたくなったわ···。
「ピューマ、ちょっとトイレに行ってくるわね。」
ランディが付いて來ようとしたが、大丈夫と言い張り一人でトイレに行った。とは言ってもランディは近くまで付いてきていたけどね!
レディのトイレだから自分が見えないように離れたところで待機をしている。
「ふう!すっきりしたわ!」
私は出すものを出したら清々しい気分になり鼻歌を歌いながら來た道を帰っていると、見覚えのある三人が此方へ向かってくるのが見えた。
「うん?あれは、ザビアス國王とガイル王子、ビートン王子じゃない!」
私はその三人を確認すると思わず近くある茂みにを隠した。
その前を通る時に三人の顔を見ると険しい顔をしていた。
ただ事じゃないわね······。
私は考えるより早くが勝手にき、三人の後をつけて行った。
ランディにも一言言わないと!と思ったが、三人はスタスタと早歩きだったので見失いそうになり斷念した。
ランディごめんなさい!
結構歩いたが途中にある部屋で三人が止まり、その部屋にっていく。最後にったビートン王子が周りを確認してからドアを閉めた。
なんかますます怪しい!
私は隣の部屋のドアノブを回すと開いたのでそっとその部屋にった。
った部屋はカーテンが閉められていて暗かったが、カーテンの隙間から太のが溢れていたので部屋の中の様子が分かった。この部屋は倉庫みたいなじでいっぱいの坪や絵畫などの裝飾品が置いてあった。
こんなところの部屋の鍵を閉めないなんて無用心ね····
などと思っている場合ではない。キョロっと部屋を見渡し、隣に通じているドアを見つけた。私はそのドアの前まで行き耳を當てた。
『······だ。』
よく聞こえないけど、何とか聞こえるわ!
私はよく耳を澄ませて三人の會話を聞いた。
『まさか、側妃の子が最初の子でも王位継承が低いとはな。』
『そうですね。まさか·····』
『ビートン、昨日はあの娘を連れ出すのに失敗したらしいな。』
『すみません。父上。ランディとか言う近衛に邪魔されました。その上、ルイス殿に來られたのでどうしようもなく····』
『うむ。何とか引き留めたのだが、ララベルの話しを出したのが悪かったのか機嫌が悪くなり、『話はそれだけなら私には何も話すことはない』と言って勝手に部屋を出て行かれたのだ。』
『それは父上が悪いのですよ。何とかララベルの子が王子なら皇太子にできないかなどと言うから。』
『まあ、そうだが·····』
昨日はそんな話をしていたのね。重要な話しがあるからって言っていたから行ったのに、そんな話ならルイス殿下も機嫌が悪くなるわ。
そんな話をするより早く休ませてしいかったはず。
『ルイス殿は考えが変わることがなさそうですね。例の件は実行するのですか?』
『うむ。』
『父上!本當にアリア殿を亡き者にするおつもりですか!?』
はいーーっ!?私を亡き者にするですって!?
『ビートン、お前がアリア殿に一目惚れしたから殺さないでくれ。殺すなら私に下さいと言うから、昨日庭園に呼び出してそのままお前がする予定だっただろう。それをお前が失敗したのだ。諦めよ』
『·······。』
何ですって!昨日はそんなことを実行しようとしてたの?危なかったわ!ナイスよ!レイナ!ランディもありがとう!
私は心から謝したがその後の會話でまた驚愕をすることになった。
『ルイス殿にはアリア殿は拐されたと報告する予定だったのに····後は盜賊に罪を被せ、盜賊の首をルイス殿に渡す予定だった。·····用意した盜賊はどっちせよ殺すしかあるまいな。』
『父上!ちょっとお待ちください!私はアリア殿がしいのです!もう一度チャンスを!』
ビートン王子が必死にザビアス國王にお願いをしている。
『ビートンよ。だめだ。お前は失敗したのだ。······それで父上、良い考えがあります。』
ガイル王子が言う。
『何だガイル。良い考えとは?』
『先日、モッコロ帝國から書が來たではありませんか。一緒に組んでリンカーヌ王國に攻め込んで滅ぼし、領土と分けましょうと。』
ぶっ!!
思わず吹いてしまった。
またもや凄いことが!モッコロ帝國とリンカーヌ王國は和解協定をするって決まってたんじゃないの?
その為にルイス殿下はモッコロ帝國の皇を娶るはずでは!?
裏切り??
『何か音がしませんでした?』
ドキッ!ヤバい。
『·······』
『·······』
『気のせいだったみたいですね。』
ホッ!
危ない危ない。
『モッコロ帝國の皇太子も凄くルイス殿下の正妃に興味を持たれてたので、そのアリア殿を引き渡したらどうですか?いい手土産になりますよ。』
噓でしょうーーっ!!
『····うむ····そうだな····リンカーヌ王國を裏切るなら、向こうの弱みを握るのも悪くないか。』
『ですが、ララベルはどうなるのですか!見捨てるのですか!』
『ビートン、仕方があるまい。ララベルも王族だ。嫁いだとは言え人質みたいなものだ。どんなことがあっても國の為に犠牲になるのは覚悟はしているであろう。』
『·······』
辛辣なザビアス國王の言葉にビートン王子は何も言えなくなったようだった。
『諦めよビートン。』
最後にガイル王がビートン王子をめるように言い、肩をポンポンと叩く音が聞こえた。
私は焦り巻くった!
ママイヤ國の裏切り、モコッロ帝國は約束を反古しようとしている!
しかも私を拐してモコッロ帝國に贈呈しようだなんて!
早くなんとかしないと!
私は早く知らせないと思い焦って部屋を出る為に振り向いた瞬間に近くにあった機の腳を蹴ってしまった。
「ガツンッ!」
「誰かいるぞ!誰だ!」
ドカドカと歩く音がする。
ヤバい!絶絶命だわ!
私はが固まりどうにもできないまま、その場で立ちすくんでいた。
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