《先輩はわがまま》8
「そんなに気を落とすことないよ、また良い出會いがあるよ!」
俺は一杯実ちゃんを勵ます。
しかし、実ちゃんの表は曇ったままだ。
失した時子高生になんて言ったら良いかなんて、この前まで彼が居なかった俺にはわからない。
しかも、皮にも俺は今、実ちゃんと違って人が居るの上……まぁ、彼が彼なので、決してリア充では無い。
「……先輩は、私の事……可いと思ってるんですか?」
「あぁ、もちろん。だから自信を持って!」
「………先輩の彼さんとどっちが可いですか?」
「え??」
困った質問が來てしまった。
ここは彼を元気づけると言う意味でも、実ちゃんが可いと言うべきだろう。
しかし、実際に考えて見ると、実ちゃんも先輩に負けてないんだよなぁ……。
本當にこんな可い素直にな良い子を振っちゃうなんて、何処のイケメンプレイボーイだろ、ぶん毆ってやりたくなるな……。
「う、う~ん……実ちゃんかな? あ、これ緒ね」
「……」
し考える振りをした後に俺は実ちゃんに言う。
実ちゃんは、俯き黙ってしまった。
あれ? 俺なんかまずい事言った?
「えっと……実ちゃん?」
「………んで…」
「え?」
「じゃあなんであの人と付き合っちゃうんですか!!」
「え? えぇ? え!?」
急に大聲を上げる実ちゃん。
その表は怒っているような、悔しさで顔を歪めているような表だった。
そして、その瞳からは大粒の涙が零れていた。
俺は意味がわからず困し、ただ涙を流す実ちゃんを見つめる。
「私がクリスマスに勇気を出してう予定だったのに! なんで……なんで!」
「えっと、実ちゃん? お、落ち著こうか……」
こんな狀況を他のバイト仲間やパートのおばちゃんなんかに見られたら大変だ。
俺は実ちゃんに寄り添い、実ちゃんを落ち著かせようとする。
「えっと、どうかした? 思い出しちゃった?」
「先輩の馬鹿! 鈍! 年上趣味!!」
「な、なんで俺が罵倒されてるんだ……」
一何が悪かったのだろうか?
実ちゃんは泣きながら、俺を罵倒してくる。
年上趣味ではないんだが……。
「どうしたの実ちゃん? 急に……」
「………まだ気がつかないんですか?」
「な、何が?」
「………」
実ちゃんはそう言うと、そっと俺の首に手を回し俺に抱きついてくる。
俺は一どう事なのか全くわからず困する。
「え? な、なに? どうしたの?! こんなとこ誰かに見られたら、俺が社會的に終わるんだけど?!」
「先輩………」
「な、何かな? それはそうと、そろそろ離れてくれ……」
「好きです」
「………今なんて?」
俺は思わず実ちゃんに聞き返した。
*
あのままバイトさきで話しをするのはまずいと思い、俺は実ちゃんを連れて、喫茶店に來ていた。
また変んば噂を流されても困るしな……。
「い、いや~、もうこの時間になると寒くて仕方ないね~、暖かいコーヒーが味しい季節だよ……」
「………」
「あ、あははは」
「………」
気まずい! 非常に気まずい!!
だって、この子は俺の事を好きだった訳だよ?!
それで、俺に人が出來たって知っちゃって、自的に失。
しかも俺は全く彼のそんな気持ちに気がつかず、彼に「可いよ」とか言ってたなんて……そりゃぁ大聲を出したくなるよ……。
「先輩……」
ここに來てから黙っていた実ちゃんが、ようやく口を開いた。
店には、俺と実ちゃんの他に、老夫婦が一組と店のマスターが一人。
俺と実ちゃんの空気を察してか、店の中の人達はみんな靜かにしている。
「な、なにかな?」
俺は引きつった笑顔で、実ちゃんに尋ねる。
「……今の彼さんの事……本當に好きなんですか?」
「えっと……」
どうなのだろう?
先輩が俺の事を好きなのは、この一週間で良くわかった。
しかし、俺はどうだろう?
確かに先輩は綺麗だし、大人っぽい。
しかし、俺はそんな先輩の本を知っている。
わがままだし、自分大好きだし、ゲーマーだし、料理も出來ない。
しかも、俺に厄介事を押しつける。
「……あれ?」
そこだけ考えると、別に俺は先輩の事を好きじゃないんじゃないか?
しかし、そう考えた後、朝の先輩の寢顔やバイト前に先輩が俺にしてきた事を思い出す。
「……多分、好きだよ」
「多分ってなんですか……」
「いや、俺も正直自信が無いっていうか……あの人、俺に厄介事ばっかり押しつけて來るんだよ、それにわがままだし、家事は出來ないし、俺をからかって遊ぶし……」
「酷い人じゃないですか……」
「うん。でも……は頑張り屋で優しくて……偶に凄く可いんだよ」
確かに先輩はわがままだし、俺に厄介な事を押しつける。
でも、俺だけが彼の本を知っている。
俺だけが、彼の努力しているとこを知っている。
大學の奴らは、先輩は努力をしなくても綺麗で完璧な人だと思っている。
でも、それは違う。
先輩も努力しているし、頑張っている。
そんな姿を俺だけが知っていて、俺だけがそんな努力する可い先輩の姿を知っている。 そう考えると、やっぱり俺の先輩への気持ちは、初めて會ったあの日から変わって居ないのかもしれない。
だから、付き合う事にしたのかもしれない。
「私の事も可いって言ったくせに……」
「い、いやそれは……」
俺の言葉を聞き、実ちゃんは頬を膨らませてそう言ってくる。
あぁ、なんで俺は実ちゃんにそんな事を軽々しく言ってしまったのだろう……。
十數分前の俺に言ってやりたい。
軽々しく可いと言うなと……。
「……ずるいですよ……ミスコンの優勝者で、しかも年上で……しかもあんなにおっぱい大きいなんて……」
いや、男からしたら実ちゃんも負けてないと思うが……。まぁそんな事は口が裂けても言えないので、俺はとりあえず黙ってコーヒーをすする。
先ほどからマスターがこちらをチラチラ見て居る気がする。
そんなに俺たちは目立っているだろうか?
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