《先輩はわがまま》11
そんな事はどうでも良い。
今はこの狀況をどうにかする方が先だ。
なんだ、この次のシーンで俺が先輩にキスしそうな流れは!
全然そんなロマンチックな流れじゃ無いからね!
だって俺……手足を拘束されて逃げられなくされたんだよ?!
うっとりした表で、俺の手をもの凄い力で押さえつけてんだよ!?
無言の圧力だよ!
キスしないと、絶対に離してくれないやつだよ!
そりゃあ、々悪いなぁ……とか思ったけど、流石にこんな凄い力で押さえつけられたら、こんな良い雰囲気も臺無しだよ!
あぁ、なんか先輩の息が荒くなり始めた……。
このままだと、絶対俺は先輩にヤラれる!!
いや、別にそういう行為に興味がない訳でも、決して先輩に魅力が無いわけでも無い。
しかし、事には順序と言うものがあり、その順序によって事はり立っている。つまり、俺が何を言いたいかと言うと……。
ゴムが無いので、今日は無理です。
「ねぇ……なんで黙ってるの?」
「い、いや……その……申し訳ないんですが……離してもらえますか? 晩飯を作っている途中なので」
「私は今から食べるからいい……」
「な、何を食べるんですか?」
「次郎君……」
「食人は犯罪ですよ?」
「大丈夫……的な意味だから……」
ヤバイ、完全に先輩は俺をヤルつもりだ……。
いや、俺だってゴムさえあれば、別に良いんですよ。
でも、もし子供が出來たらなんて考えたら恐いじゃないですか!
俺も先輩もまだ學生だし、収だって毎月安定してある訳じゃ無い。
だったら、ちゃんと避妊しないとダメだと思います!
なんでこんなに、俺が々な考えを巡らせているかと言うと、何か考えてないと、このまま流されそうだからだよ!
「せ、先輩! 先輩の気持ちもわかりました、でも今はあの……俺も疲れてますし……」
「次郎君はかなくて良いから……」
「いや、でもあの……避妊も無いですし……」
「名前は何が良いかしらね?」
「前提おかしくないですか! 産む気なんですか!?」
「良いから、早くぎなさい!」
「ぎません!」
そんな攻防を繰り返す事、約三十分。
なんとか俺は先輩を説得し、事態は沈靜化した。
「先輩……」
「何よ」
「機嫌悪いんだか、良いんだかハッキリしてもらえません?」
先輩と俺は今、並んで食事を取っているのだが。
先輩は俺にぴったりとくっついている癖に、顔はそっぽを向いている。
機嫌が悪いのはわかるが、悪いなら悪いで徹底してしい。
なんでちょっとデレてんだ、この人……。
「ん、醤油取って」
「こっち向けば良いじゃ無いですか………あぁ、面倒な人……」
「あ、今面倒って言ったでしょ! そうですよ、私はどうせ面倒ですよ~!」
「……本當ですよ……」
そんなギスギスした雰囲気の中、食事を終え、俺は風呂にり、後は寢るだけだった。
今日も昨日同様に、先輩とベッドで寢る事になったのだが、正直さっきの事があった為、俺は々と不安だった。
幸い、明日は晝に大學で授業があるだけなので、寢不足でも問題は無いのだが……。
「今のうちに寢ちまうか……」
先輩が風呂にっている間に、寢てしまおう。
そうすれば、変にちょっかい出してくる事も無いだろうし、ゆっくり眠れる。
俺はそう思い、すぐさまベッドに橫になり、目を瞑る。
疲れていたせいもあってか、直ぐに眠る事が出來た。
その日は、何故か夢まで見る事が出來るほどの深い眠りに付くことが出來た。
夢の中で、俺は雲の上に居た。
が軽く、空を飛んで雲の上を自由にき回っていた。
何処までも自由で、悩みも何も無い世界。
あるのはふかふかでらかい雲だけ。
このまま目が覚め無ければ、どれほど良いだろう……。
そうは思っても、夢からはあっさり覚めてしまう。
「ん……もう朝か……あれ?」
俺は目を覚ました。
久しぶりにちゃんと寢たせいか、目覚めはすこぶる良かった。
しかし、隣を見て俺は驚いた。
先輩も珍しく起きているのだ。
いつもは必ず、俺より遅く起きる先輩なのだが、今日は珍しく早い。
「おはようございます……早いですね」
「……お、おはよ……」
先輩は何故か顔を赤くして、を隠すような格好で俺に背を向けていた。
「どうかしました?」
「べ、別に……何でも無いわよ……」
「そうですか?」
なんだか先輩の様子がおかしい、一向に俺の方を見ようともしないし、俺が視線を合わせようとすると、目を反らす。
どうしたのだろう?
調子でも悪いのだろうか?
そんな事を考えながら、俺はベッドから起き上がり、時計を確認する。
時間は七時半、まだ寢ていられるが、目覚めも悪くないので二度寢はやめておこう。
そんな事を思いながら、俺はシャワーでも浴びようと著替えを用意し始める。
「ね、ねぇ……昨日の夜の事って……覚えてる?」
「はい? 夜は睡でしたけど?」
「そ、そう……なら良いの……あ、あのね……」
「はい?」
「わ、私……當分は次郎君に変な事しないから……安心して」
一どうしたのだろう?
いつもの先輩らしくないし、突然そんな事を言って……。
まぁ、そうしてくれた方が、俺も助かるのだが。
「は、はぁ……」
俺はそんな事を思いながら、朝のシャワーを浴び始める。
*
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付き合って一週間が過ぎ、私は彼氏との楽しい毎日を過ごしていた。
そんな昨晩の事だ、私がお風呂から上がって、下著姿で浴室から出て行くと、あろうことか私の彼氏は睡していた。
「もう……寢るの早いよ……」
彼のいつもの慌てた表が見れず、私は頬を膨らませる。
でも、これで彼になんでもし放題。
今日散々不安にさせたんだから、これくらいは許されるわよね?
「うふふ~、相変わらず可い寢顔ね~」
そんな事を一人で言いながら、私は彼が眠るベッドにっていく。
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