《先輩はわがまま》22
*
先輩のインフルエンザが治ってから數日後の事。
「うつった……」
「もう、だから言ったのに……」
先輩は俺にスポーツドリンクを差し出しながら、文句を言う。
「次郎君、インフルエンザを舐めすぎ」
「予防注してたのに……」
「馬鹿ねぇ……そんなの気休めよ……でも、約束だから…」
「……そうですね、お世話になります……」
「良いから寢てなさい……」
先輩は優しくそう言って、俺の額に氷袋を乗せる。
そして、先輩は俺の手を取り優しく握って、そのまま雑誌を読み始める。
先輩は約束通り、俺の看病をしてくれた。
いつもはわがままばかりの先輩が、俺の為に洗濯をし、俺のために買いに行ってくれた。 それだけで涙が出そうなほど嬉しいのだが……。
「きゃっ! なんで泡が溢れてくるのよ!!」
「………」
洗濯をしようとして、先輩は作と洗剤の量を間違え、洗濯機から泡が噴き出し。
「おかゆって……こんなに黒かった……かしら?」
「………」
おかゆを作れば、どうやったらそんなになるの? と問いたくなるようなのが出來上がりと、正直に言ってしまうと、気持ちだけで十分ですとびたくなってしまう。
しかし、先輩が自分から頑張ろうとしているのだし、何よりここでそう言ってしまうのは、先輩に余計な仕事を増やさないでくれと言っているようなものだ。
なので、俺は何も言わず、眠ったふりをする。
あぁ……治ったらまとめて全部片付けるか……。
「きゃ! 発した!!」
何が!?
*
俺のインフルエンザも完治し、大學も冬休みを迎え、いよいよ明日はクリスマス。
……と言った今日の晝下がり、俺は先輩へのプレゼントをけ取りに、店に行き、今は帰り道だった。
「まさか、クリスマスに彼と過ごす日が來るなんてなぁ……」
俺は街の様子を見ながら、上機嫌で家に帰って行く。
問題はこのプレゼントを何所に隠しておくかだ。
前に隠していたエロ本は先輩にあっさり発見されてしまった。
しかも、それが子高生だった事が先輩を怒らせ、処分されてしまった。
「う~ん……見つかる訳にもいかないし……どうすっかな?」
帰る途中、俺は隠し場所の候補を考えながら、帰宅していた。
そんな帰り道の途中、俺は思いがけない人と遭遇した。
「あれ? あの人って……」
視線の先に居たのは、俺の行きつけの喫茶店のマスターだった。
何やらキョロキョロと挙不審な様子だった。
聲を掛けようかと考えたが、そこでの仲でも無いと考え、俺は気づかない振りをして通り過ぎようとする。
「あ、君は確か………」
聲を掛けられてしまった……。
まぁ、何かあったのかもしれないし、いつも味しいコーヒーをれてくれるお禮に、話しだけでも聞いてみよう。
「あ、えっと……喫茶店の…」
「こうしてちゃんと話しをするのは初めてだね」
「えぇ、どうかしたんですか? キョロキョロして」
「あぁ……実は……」
あ、ヤバイ……コレ絶対厄介な奴だ……。
だって、なんか建のに、マスターを見つめる子高生が居るもん……。
確かあの子って、あの喫茶店で働いてる子……だよな?
なんであの子が、マスターの後を?
「信じられないかもしれないんだけど……私は今ストーカー被害にあっていてね……」
「えっと……もしかして子高生とかだったりします?」
「な、なんでわかるんだい!?」
だって、後ろに居るもん……。
目をぎらぎらさせて、電柱のからこっちを見てるもん……。
「そ、それで、キョロキョロしながら歩いていたと?」
「そ、そうなんだよ……彼、雇ってもう二年になるんだけど、つい二ヶ月くらい前に急に僕に求婚してきて……」
「告白じゃ無くて求婚ですか? それはまた……」
「しかも、婚姻屆けまで……」
「ホラーですね……」
そのストーカー、今もこっちを見ながら、息をはぁはぁさせてるんだが……。
正直この件に関しては、俺はあまり関わり合いになりたくない。
「最近だと、著替え中に更室の中にって來たり……」
「変態ですね……」
「盜撮されたり……」
「マスターも大変何ですね…」
俺も最近、子高生には困らされる事が多いからな……。
どうしてもマスターには同しちまうな……。
「そんな時だったよ、君が珍しく子高生と店に來たのは」
「あぁ……あの時ですか…」
あの時とは、俺が実ちゃんからの告白を斷った日だ。
妙にマスターがこちらをチラチラ見ていると思ったら、そういうことだったのか……。
「君があの子高生を説得しているのを見て、僕も彼に諦めるよう説得をしたんだけど……」
「ダメだった……と?」
「うん……それどこらか家まで上がり込まれてしまった……」
「相當ですね……」
その危ないストーカー子高生は、今もマスターを見て息を荒げているわけなのだが、マスターはそれに気がついていない。
今日はお店は定休日だったはず。
休みの日までマスターをつけ回しているのであれば、流石に笑い事ではすまない。
「今から帰るんだけど……今日は幸いにも彼に會ってないから、無事に一日を終えられそうだよ」
マスター、それは勘違いです!
見られてます、メチャクチャ見られてます!
しかもあの子は絶対にヤバイ子です!
すぐにバイトも解雇して下さい!!
「あ、あの……解雇とかって考えないんですか?」
「うーん……結構バイトの子もなくてね……あの子もかなり仕事出來るから、抜けられるとこまるんだよ……そう言う事もあって、最近悩んでて……」
「そ、そうなんですか……えっと、ちなみにご結婚とかは?」
「あぁ、店が忙しくて、そう言う暇がなくてね……もう30だって言うのにねぇ……あはは」
「そ、そうでうか……子高生に手を出すわけにもいきませんもんね……」
結婚とか言うワードを出したからだろうか、マスターの背後に居る子高生の目が濁っている気がする。
ヤバいなぁー……このままじゃ、そのうちマスター刺されるんじゃ……。
お人形令嬢の私はヤンデレ義兄から逃げられない
お人形のように綺麗だと言われるアリスはある日義兄ができる。 義兄のレイモンドは幼い頃よりのトラウマで次第に少し歪んだ愛情をアリスに向けるようになる。 義兄の溺愛に少し悩むアリス…。 二人の行き著く先は…!?
8 115俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜
世界中で知られる有名ゲーム機を 開発、製造、販売する會社 『新城堂/SHINJYODO』 三代目社長 新城 暁(30) しんじょう あかつき × 新城堂子會社 ゲームソフト開発 『シンジョーテック』 企畫開発部 成宮 芹(28) なりみや せり 暁にとっては運命の出會い 芹にとっては最悪の出會い 追いかけ追いかけられる二人の攻防戦
8 141血が繋がってないからあなたに戀してもいいよね
頑張ってみましたが変だと思います そんなでも見てくれたら嬉しいです
8 67TSしたら美少女だった件~百合ルートしか道はない~
ある日、理不盡に現れた神様によってTSさせられてしまった田中 由。 しかし彼の身の回りではそれを境に何故かトラブルが………いや待て、これはどう見ても神様のs………(田中談) さて、田中くんは普通の學園生活を送れるのか!?
8 165キミと紡ぐ【BL編】
これは、キミと紡ぐ、物語……。--- 短編~中編のBL集です。
8 94過労死した王妃、2度目の人生は『破天荒』に歩む!
ポワナータ國の王妃エリスは執務中に倒れそのまま亡くなってしまう。その直後に神に出會い夫である國王が裏切っていた事を知る。エリスは神から人生をやり直してみないか?と言われ承諾、現世に舞い戻る。『王妃も貴族もまっぴらごめん!今度は思うがままに生きてやる!』公爵令嬢の仮面を脫ぎ捨てたエリスはいつしか『破天荒令嬢』と呼ばれ歴史に名を殘していく事になる。
8 95