《先輩はわがまま》32

一緒に風呂にるのは、まだまだ慣れなさそうだ。

て言うか、こっちのがもたない。

俺と先輩は、互いに恥ずかしがりながら、風呂から上がる。

「な、なんか……思ってたのと違う……」

「何を想像してたんですか、全く」

風呂から上がった俺と先輩は、著替えを済ませて二人でベッドに座っていた。

先輩はいつものルームウェア、俺はスウェットでベッドの上に居た。

「ねぇ、明日バイトは?」

「夜からです。今日休んじゃったので、明日は出ないと」

「そっか……なら、夜は遅くても大丈夫なんだ」

「はい……じゃあ、そういう訳で」

「ん……」

俺は先輩にそう言うと、先輩をベッドに押し倒す。

先輩は頬を赤くせめながら、されるがままにベッドに橫になる。

「今日の次郎君は、なんか積極的……」

「そうですかね?」

「そうだよ……スケベ」

「嫌いですか?」

「逆、いつもそれくらいが良い」

「そうですか……あ、そう言えば先に渡したいが……」

「なに?」

俺はそう言って、先輩から離れ、コートの中にあるプレゼントを取ってくる。

先に渡しておいた方が良いかと思い、俺は先輩にプレゼントを渡す。

「これ、クリスマスプレゼントです」

「え…私に?」

「そうですよ、気にるか分かりませんが……」

「開けても良い?」

「どうぞ」

先輩は俺が渡したプレゼントの箱を丁寧に開け始める。

俺が送ったのは、ハートの形のネックレスだ。

買いに行ったとき、店員さんにお勧めされたで、悩んだ末に購しただ。

先輩は包みを開け、そのネックレスを見ると、嬉しそうに頬を緩ませる。

「次郎君にしては良いセンスね。店員さんからのおすすめかしら?」

「う……じ、自分では何が良いのかわからなくて……」

「ウフフ、ありがとう。本當に嬉しいわ」

先輩は優しく微笑みながら、俺にそう言う。

「ねぇ、付けててよ」

「え、今ですか?」

「そう、今。早く」

先輩は箱からネックレスを取り出し、俺に渡して來る。

俺はそれをけ取り、先輩の首に付けようとしたのだが……。

「あの、後ろ向いてもいらえませんか?」

「ダメ、正面向いたまま付けられるでしょ?」

「いや、でも……」

「何? 恥ずかしいの? お風呂まで一緒にったのに」

「いや、そういう訳では……それじゃあ失禮して……」

俺は先輩の首に手を回し、先輩にネックレスを付ける。

抱きつくような形になるので、俺はし抵抗があった。

俺はネックレスを付け終わり、先輩の首から手をどけようとする。

しかし、そんな俺を先輩は逆に抱きしめてくる。

「え? あ、あの……先輩??」

俺は急に先輩に抱きしめられ、驚く。

抱きつかれること自は、日常的にされている事なので今更どうって事は無いのだが、なんだかいつもの先輩らしくない。

「ありがと……本當に今日は嬉しかった……」

「いや……その……俺は先輩が喜んでくれればそれで……」

「いっつもごめんね……わがままで」

「何を言ってんですか、もう慣れましたよ」

俺と先輩はそう言って抱き合い、を重ねる。

窓の外には雪が降っているのが見え、まさにホワイトクリスマスと言ったじだった。

「似合う?」

先輩と俺は、再び向かい合う。

顔を赤くしながら、恥ずかしそうに言う先輩の元には、プレゼントのネックレスがっていた。

「似合いますよ。流石は先輩」

「じゃあ、コレは私から」

「え……先輩も用意してたんですか?」

「私だって、彼氏にクリスマスプレゼントくらい、用意します」

先輩はそう言うと、ベッドの下からプレゼントの箱を出してきた。

そんなところに置いていたなんて、俺は全く気がつかなかったのだが……というか、そんな箱あったか?

「はい、気にるかわからないけど……」

「ありがとうございます」

俺は気恥ずかしそうにプレゼントを渡してくる先輩に笑みを浮かべながら、先輩からのプレゼントをけ取る。

「開けていいですか?」

「い、良いわよ…」

俺は箱の包みを開け、中を確認する。

中には時計がっていた。

あまり時計には詳しくないが、何となく高そうなじがした。

「た、高そう……ですね」

「値段は気にしないの!」

「そ、そうですけど……良いんですか? こんな高そうな……」

「じゃあ、私もコレ貰ったんだから、おあいこでしょ」

「そ、そうですけど……」

時計と言っても、安いから高いまで様々だ。

俺は正直、時計に関しては全くの素人だが、この時計はなんだか、そこら辺の時計とは、違う気がした。

「もう! そんなに気にするなら、今日のご飯代私も半分出すわよ!」

「どんな脅しですか……まぁ、でも先輩から始めて貰ったものですもんね……先輩がそう言うなら、俺は大事に使わせて貰います」

「最初からそう言えば良いのよ……もう」

先輩は頬を膨らませながら、そっぽを向く。

俺はそんな先輩に抱きつき、耳元でささやく。

「先輩……そろそろ良いですか?」

「……もう……電気は消してよね……」

俺は先輩から言われる通り、部屋の電気を消す。

クリスマスの日の翌日。

俺は朝、ベッドの上で自分の人生を思い返していた。

っ気なんて無いまま、中學と高校を卒業し、大學に學した頃もとの関わりはなかった。

そんな俺の隣には、現在大學一ので眠っている。

本當に人生というのは、何があるかわからない。

「絶対に好きになんてなるわけ無いと思ってたんだがな……」

俺はそうつぶやきながら、先輩の髪をでる。

「ん……おはよ……」

「すいません、起こしちゃいましたね」

「んん……もう一回寢よ……」

先輩はそう言いながら、俺の腕に抱きついて來た。

「そうですね、二度寢も悪く無いですね……」

「……それとも第二ラウンド?」

「それは結構です」

「ん……じゃあ、おはようのちゅーとおやすみのチュー」

「しません」

「けち」

俺は先輩にそう言い、俺は再び眠りについた。

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