《先輩はわがまま》33
*
クリスマスイブの翌日、今日は12月25日。
俺は夕方からバイトの為、バイト先までの道のりを歩いていた。
昨日は、先輩がよろこんでくれて、本當に良かったと思いながら、俺はバイト先に向かっていた。
腕には昨日貰った時計を付けている。
「さて、後は年末と正月もあること出し、頑張って稼ぎますか」
俺はそんな獨り言を言いながら、バイト先に向かった。
クリスマスイブが終わっても、クリスマスというイベントが終わった訳では無い、
昨日出來なかったクリスマスを今日やると言う人も多い。
その為、俺のバイト先であるファーストフード店は……。
「はい、えっとチキンが12本ですね……え! ポテトも12個ですか?! け取りのお時間は………五分後!?」
やっぱり大盛況なのである。
クリスマス本番の昨日はもっと酷かったであろうが、今日も忙しい、皆常に指をかし、無駄なきを一切していない。
「お待たせ致しました!」
俺も昨日休んでしまったと言う、申し訳なさから、今日は一生懸命に働く。
夜の時間、店も電話での注文もいつも以上に多く、スタッフをいつもの倍にして対応しても中々追いつかない狀況だった。
なんで、みんなこの店にこんなに來るのだろう?
そんな事を考えては見るが、直ぐに考えている暇など無くなった。
「はい、かしこまりました!」
疲れていても、笑顔を保ちつつ、俺は仕事に勤しむ。
*
「お、おわったぁ~……」
「お疲れ、お前はまだマシだよ。俺なんて昨日と今日シフトにったんだぜ?」
同い年の小山が俺に聲を掛けてくる。
時刻は22時、俺たち二人が上がる時間だ。
「で、昨日はどうだったよ?」
「まぁ、普通だよ。映畫見て、飯食って……みたいな」
「そう言うことじゃ無くてさ~、やっぱり夜は……」
「……まぁ……人並みには……」
「はぁ~! 羨ましいなおい! 俺も可い彼しいわ!」
小山は俺に向かってそう言ってくる。
まぁ、確かに彼のいない奴からしたら、そう思われるのも不思議では無い。
確かに、実際彼がいる事でプラスになる事も多くある。
「探せば良いだろ?」
「フリーターに出會いなんてあるわけ無いだろ?」
「合コンとかは?」
「俺がそんなのに呼んで貰えるリア充だと、本気思ってる?」
そんな馬鹿な話しを休憩室でした後、俺は早々に店を出て家に帰ろうとしていた。
その道中、俺はとある知り合いと偶然出會してしまった。
いや、恐らく待ち伏せされたと言うべきだろう。
「ま、実ちゃん……こんなところでどうしたの?」
「先輩……」
帰り道の途中で出會ったのは、俺より一時間ほど早くにシフトを上がった実ちゃんだった。
実ちゃんは、俺を発見するとゆっくり近づいてきて、俺の數十センチ前で立ち止まり、俺の目を見て話し出した。
「昨日はお楽しみでしたか?」
「ま、まぁ……それなりに……」
俺は実ちゃんから視線を外しながら、そう答える。
すると、実ちゃんは急に俯いてしまった。
「………う……」
「え! ま、実ちゃん!? どうしたの? 泣いてるの??」
突然泣き出してしまった実ちゃん、俺はどうしたら良いのかわからずアタフタしていた。 なんで泣き出したのだろう?
まぁ、確かに俺はこの子を振っている訳で、心當たりがないわけでは無い。
しかし、なんでこのタイミングで泣き出したのかがわからなかった。
どうにかしようにも、俺はどうしたら良いかわからなかった。
次第に雪も強くなり始め、このままでは風邪を引いてしまう。
なので、俺はとりあえず……。
「……で、とりあえず家につれて來たと」
「……はい」
「私が居るのに?」
「……はい」
俺は涙を流す実ちゃんを家につれて來てしまった。
もちろん、家には先輩も居る。
當然先輩は良い顔をしない訳で、今は頬を膨らませて、正座する俺の前に仁王立ちしている。
だって仕方ないじゃん……外の雪凄いし……。
実ちゃんは今、冷えたを溫めてもらおうと、お風呂にってもらっている。
「なんで、あの子連れて來るのよ! もしかして3……」
「絶対その先は言わないで下さい! そして、そんな願は俺にはありませんから!」
先輩が危ない言葉を口走りそうだったので、俺は慌てて先輩の言葉を遮る。
いや、三人でとか無理だよ……先輩だけでも結構力使うのに……。
そんな話しをしていると、実ちゃんがお風呂から上がって來た。
著替えは、とりあえず俺のスウェットを貸したのだが、大きかったようでブカブカだ。
「すいません……ご迷おかけして……」
「あ、いや大丈夫だよ、気にしな……」
「全く迷よ! 折角次郎君と今夜もって思ってたのに!」
「先輩……勘弁して下さい……」
危機をじてか、先輩は俺の腕にガシッとしがみつく。
恐らく実ちゃんが、俺に変な事をしないようにという対策だろう。
「でも、先輩。今日の雪じゃ……」
「う……た、確かに帰るのは無理よね……」
外は猛吹雪となっていた。
俺の家の周辺にも、警報が鳴り、外出を極力控えるように注意を促された。
「実ちゃん、今日は泊まっていきなよ」
「え……良いんですか?」
「良いも悪いも、これじゃあ外を歩くのは危険だし……それに、家には先輩が居るから、々と心配も要らないし」
「ま、まぁ……流石にこの雪の中を帰れなんて鬼畜な事は言わないけど……」
先輩も俺の意見に同意してくれたらしい。
実ちゃんは何度もお禮を言って、一泊する事になった。
しかし、大変なのがこれからだった。
「先輩………」
「どうしたの?」
「し寒気がするんです……隣に行ってもいいですか?」
「こたつにでもってなさいよ」
「おばさんには何も言ってません」
「おばっ! おばさん!?」
三人で部屋に居ると、突然実ちゃんがそう言い出した。
外に居て冷えたのだろう、俺は実ちゃんのお願いを聞きれる事にした。
「良いよ、確かにこの部屋し寒いしね」
「あ! なら私は逆側に……」
右に先輩、左に実ちゃんが抱きつく形となり、俺は逆に暑くなってしまった。
「次郎君に変な事しないでよ、お子ちゃま」
「そっちこそ、高校生の前であからさまにイチャつかないで貰えます?」
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