《先輩はわがまま》38

名前を呼ぶだけで、なんでこんなに恥ずかしいのだろう。

小學生の時なんかは、何も思わなかったはずなのに、この年になると、異の名前を呼ぶと言うだけで、恥心が出てくる。

「もう一回」

「え! 勘弁して下さいよ……」

「もう一回!」

本當にこの人は……。

俺は相変わらずな先輩に負け、もう一度名前を呼ぶ。

子……さん」

「まぁ……良いわ……合格」

「合格ってなんすか……」

そんな先輩と俺の事をマスターと片瀬さんは興味津々と言った様子で、ジッと見ていた。

「あの、店でイチャつくのはちょっと……」

「君が変な事言ったせいだよね!?」

原因を作った本人に、そんな事を言われたくは無い。

本當……お客さんなくて良かった。

「あの……ついでにもう一つ聞いても良いですか?」

「何? もうあんまり変な事を聞かないでね」

「週に何回のペースで行為を?」

「変な事聞かないでって言ったよね!!」

本當に最近の子高生はわからない……。

大晦日前日、俺は今年最後のアルバイトをしていた。

そうは言っても、今日のバイトは午前中でおしまい、午後は荷をまとめて先輩の実家に行く事になっている。

「いらっしゃいませ~」

いつもの営業スマイルを浮かべながら、俺は店してきたお客さんにそう言う。

皆、年末とあって忙しいらしく、持ち帰りやドライブスルーのお客さんがいつもよりも多い。

「岬君、そろそろ上がって良いよ。お晝のピークになると、抜けられないし」

「すいません、ありがとうございます」

俺は店長に言われ、レジから廚房の奧のスタッフルームに引っ込んで行く。

今年もコレでバイトは最後か……。

そんな事を考えながら、休憩室に戻ると、そこにはお晝から俺とれ替わりでバイトにる、実ちゃんが居た。

「あ……」

「えっと……その……お疲れ」

「はい、お疲れ様です」

ニコッと笑って、返事を返してくれる実ちゃん。

この前の一件以降、実ちゃんを顔を合わせるのは、久しぶりだった。

あの日の夜の事もあり、なんだか気まずい空気が流れている気がする。

「先輩」

「へぇ!? な、なにかね?」

「ウフフ、そんなに張しなくても良いのに」

笑われてしまった。

だって、あんな事された相手と普通に話せる訳無いじゃん……。

「この前は、急にあんな事してすいません。でも、諦めがつきました」

「そ、そっか……ごめんね」

「謝らないで下さいよ、それに……先輩があの人を大切に思ってる事を知りましたから… …」

笑顔でそう言う実ちゃんを見て、俺は心が痛かった。

しかし、これがと言うものなのかもしれない。

誰かを選べば、誰かの思いを拒否する事になる。

と言うのは難しい………。

俺はそんな事を考えながら、バイトに向かう実ちゃんを見送った。

実ちゃんにも、良い相手が見つかると良いな……」

俺はそんな事を考えながら、店を後にした。

俺は家までの道のりを急いで帰る。

昨日しは準備をしたのだが、まだまだバックにれていないが多い。

俺は早く帰って準備をしなければと思い、いつもより早いペースで歩く。

「ただいまー」

「おかえり」

俺は玄関で子さんに出迎えられ、中にる。

あのマスターの一件があり、俺は先輩から子さんに呼びかたを変えた。

最初はむずがゆいじもあったのだが、最近は慣れてきてそうでも無い。

子さん、準備出來ました?」

「私は実家に帰るのよ? そこまでの準備は必要ないわ」

「それもそうですね」

俺の右腕にくっつきながら、先輩は呆れたように俺に言う。

先輩の実家か……どんなところだろうか?

俺は準備をしながら、そんな事を考えていた。

先輩が育った町、育った家。

俺は凄く興味があった。

楽しみにしながら、準備をしていると、俺のスマホが音を立てて震え始めた。

「ん、電話か……誰だろ?」

俺はスマホに手をばし、畫面を見る。

電話の相手は、先輩のお母さんだった。

この前の電話で、番號を聞かれ俺は番號を教えていたのだが、そのことをすっかり忘れていた。

若干驚きながら、俺は電話に出る。

「もしもし?」

「お久しぶりね…次郎さん』

「お、お久しぶりです。どうかしましたか?」

『いえね、もうそちらを出発したかと思いまして』

「あの……電車は十六時発なんでが……」

今の時間は晝の一時、いくら何でも今から家を出るのは早すぎる。

子さんが電車の時間を伝えて居るはずなのだが……。

『あら、そうでしか……うちの馬鹿娘も準備は済ませていますか?』

「あ、はい。俺の隣に居ますけど、代わりますか?」

そう言った瞬間、子さんはの前で手を差させ首を橫に振る。

どうやら、話しの流れから、俺の提案を察したらしい。

『いえ、馬鹿娘が拒否すると思いますので、大丈夫です。それよりも気を付けていらして下さいね。お待ちしていますから』

「あ、はい。ありがとうございます。俺も楽しみにしてます」

そう言って電話は終了した。

なんだかんだ言っても、心配なようだ。

良いお母さんだなと思いながら、何故か膨れっ面の子さんの方を見る。

「あの……どうかしました?」

「別に……お母さんと仲よさそうね」

「自分の母親に嫉妬しないで下さいよ……」

先輩が嬉しい事に、俺の事が大好きなのはありがたいのだが、最近どうもヤキモチを妬きやすくなっている気がする。

そのたびに先輩は、俺にこう言ってくるのだ。

「じゃあ、ちゅーして」

「朝もしたじゃ無いですか」

「おかえりのちゅーしてないもん」

こんなバカップルみたいな會話が、最近は毎日だ。

まぁ、誰も見ていないところなら、別に俺も良いのだが……流石に最近は々やり過ぎな気がする。

まぁ、そうは思ってもやるんだけどね……。

「じゃあ、目を閉じて貰って良いですか」

「ん……」

俺は先輩が目を閉じたのを確認すると、先輩を抱きしめてを重ねる。

しかし……。

「………!? ちょっと! 舌れましたよね!?」

「ん……だめ?」

「ダメです!」

「ケチ……」

こんなじで、先輩の家で何もなければ良いが……。

      クローズメッセージ
      あなたも好きかも
      以下のインストール済みアプリから「楽しむ小説」にアクセスできます
      サインアップのための5800コイン、毎日580コイン。
      最もホットな小説を時間内に更新してください! プッシュして読むために購読してください! 大規模な図書館からの正確な推薦!
      2 次にタップします【ホーム画面に追加】
      1クリックしてください