《草食系男子が食系子に食べられるまで TRUE END》文化祭と新たな火種 10
「葉山先生」
「なんですか? 早くホテル街に行けばいいじゃないですか」
「まだ言ってる……」
頬を膨らませながら、葉山は石崎に対して背を向ける。 なんでここまで怒っているのか、石崎は不思議に思いながら、ため息をついて、大友先生に言われた通りの言葉を葉山に言う。
「えっと、今度食事でもごちそうしますから、機嫌を……」
「本當ですか!?」
「…は、はい」
石崎が言葉を言い終える前に、葉山は嬉しそうに目をキラキラさせながら、石崎に尋ねる。 石崎は、こんな簡単に機嫌が直るとは思ってもおらず、若干驚きながら、返事をする。
「そ、それは……その……二人っきりですか?」
「え? あぁ、そうですね。確かに葉山さんと二人で食事というのは、々まずいですね……大友先生も一緒に……」
「すいません、僕は彼に他のとは食事になるべく行かないようにと、言われていまして」
またしても石崎が話終える前に、返答されてしまった。 自分が話すのが遅いのだろうか? などと考えながら、石崎は再び葉山の方を見る。
「どうしましょうか? 流石に私みたいなおっさんと二人で食事は……」
「全然かまいません! 二人で行きましょう!」
「えっと……葉山先生が良いなら……」
若い先生は、會話のスピードも早いのか? そう思う石崎であった。 しかし、葉山の機嫌は直るどころか、なお良くなり、鼻歌まで歌い始めている。 石崎はとりあえず良かったと思い、ホットをなでおろす。
「んじゃぁ、気を取り直して、ちゃっちゃと仕事終わらせますか」
「そうですね、本番は明日ですからね。そう言えば、ベストカップルコンテストは今年も盛り上がりそうですね」
「去年は大変でしたよ。モテない男子生徒のでコンテストは中止、今年はそうならないと良いんですが……」
去年のベストカップルコンテストの審査員をしていた石崎は、その日の事を良く覚えていた。 顔にマスクをし、頭にタオルを巻いた男子生徒が、育館のステージにし、コンテストをぶち壊し、ステージに大きく「リア充は発しろ!」っと書かれた垂れ幕を張って、コンテストを臺無しにしたのだ。
「今年は大丈夫ですよ。それに、今年は教員や外部の生徒なんかもパートナーで呼べるらしいですよ?」
「そうなんですか? ん? 今、教員って言いました? それは問題なんじゃ……」
なぜか教員の部分を強調して言う大友。 石崎は、教師と生徒がそんな関係だったら、PTAが黙っていないだろう。などと考えていると、上機嫌で話を聞いていた葉山が、更に嬉しそうに言って來た。
「違いますよ、石崎先生、教師である私たちの人や夫や妻を連れてきて、參加できるってことです」
「あぁ、そういう事ですか……彼も嫁も居ない、私には関係ないですね。コンテスト以前に、これに行っていい人を探さないと」
石崎はそう言って、婚活パーティーのチラシに目を落とす。 すると、葉山がなぜか急にモジモジし始める。
「あ、あの…石崎先生……」
「ん? なんですか?」
「そのコンテスト……わ、私と……出てみませんか?」
「え?」
顔を真っ赤にしながら、葉山は石崎に言う。 石崎は、葉山が何を言っているのか、意味が分からなかった。 しかし、石崎の中で勝手に結論にたどりついた。
「あぁ、ネタ的なじでですか?」
「「え??」」
石崎の結論に葉山だけでなく、大友までもが疑問を抱き聞き返す。 石崎が出した結論はこうだ。 去年もそうだったが、このコンテストには必ずネタカップルが居る。 無論、コンテストを盛り上げるためだけの存在で、そのカップルは男同士だったり、同士だったりと様々だ。 石崎は去年、審査員をした関係で、コンテストの事を生徒から相談され、狀況を知っていたが、今年はそのネタ要因が居ないらしく、生徒が困っていたのだ。 そこで、葉山はそれを知り、コンテストのネタ要因として、我々二人で出場しようという考えなのだと、石崎は結論づけた。
「確かに、葉山先生の相手役を私がやれば、けはいいでしょう。何せ三十路のおっさん教師と、學校一の人音楽教師の異の組み合わせですからね」
「び、人音楽教師……」
「あ、あの……石崎先生」
「はい? あ、大友先生も彼さんと出たらどうですか? 盛り上がりますよ」
「いえ、僕は遠慮します。ではなく、石崎先生、葉山さんの言葉の意味を理解してますか?」
「えぇ、生徒のために、二人で人ごうって話じゃないんですか?」
真剣に尋ねる大友に、石崎はさらりとそう応える。 大友は手のひらで自分の頭を押さえながら、やれやれといった表で葉山の方を見て言う。
「葉山先生も大変ですね」
「び、人……」
「……そうでもなさそうですね」
葉山は顔を真っ赤にしながら、頬に手を當てて何やらブツブツつぶやき、ニヤニヤしている。 石崎は、どうかしたのだろか? そう思いながら、作業に戻る。
「じゃあ、コンテスト応募しておきますよ。コレであいつらもネタ要因探しに悩まなくて済みそうだ」
「えへへ~、もうそれでいいです~」
「……人って言葉が相當嬉しかったんですね」
なんやかんや言っても、教師は教師で、文化祭を楽しみしていた。 石崎は生徒からサンプルで貰っていた、コンテストの応募用紙に自分の名前と葉山の名前を書く。
「じゃあ、ちょっと私は自分の教室を見がてら、コレをコンテストの擔當の生徒に持っていきます。大友先生、名簿の力は終わったので、印刷だけお願いします」
「わかりました」
石崎はそう言い殘して、職員室を後にする。 殘った葉山はというと……。
「大友先生! これってチャンスですよね! 食事の約束とコンテストの出場までこじ付けましたよ!」
「そ、そうですね……石崎先生は全く気が付いてない様子でしたが……」
「私、文化祭でなんとしても石崎先生との距離をめたいんです! 大友先生! 協力してください!!」
「良いですけど、石崎先生は相當手ごわい気がするのは僕だけでしょうか?」
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