《草食系男子が食系子に食べられるまで》第12章 後編6 草食系とお嬢様
『普通って……何かあったとか、無いの?』
「強いて言うなら……」
雄介はなんと言ったものかと考えていた。男に対して失禮で、ほとんど口げんかしなかったので、嫌なだったと言ってしまうのが一番簡単なのだろうが、一度だけ、しかもドア越しに話しただけの相手なので、簡単にそうと言ってしまうのも何か違う気がしていた。 あのお嬢さんと、これからお互いの質を治していかなけれなばならないと思うと、雄介はさっきの事を思いだして、無意識に聲に出してしまった。
「正直、優子の方がまだマシだと思ったよ……」
『え?! え! ゆ…雄介……それって……』
スマホから、どうようする優子の聲が聞こえてくる。雄介は、優子が何かを誤解していると思い、急いで補足説明をする。
「優子、俺が言ったのは、日常生活で接する上ではって話だからな! 斷じてとして二人を比べた時の評価とかではないからな!」
『ゆ……雄介が……私の事好きって……』
「誰がそんな事言った!! どんだけ話を飛躍させてんだよ! 戻ってこいコラ!」
結局雄介は、加山の誤解を解き、早々と電話を終わらせた。これ以上話を長くしたら、また何か誤解されかねないと思ったからだ。
「はぁ~、どうしたもんかな~」
ベットの上で今後の織姫との接しかたに悩む雄介。そこで、ふと雄介はある事を思い出した。
「そういえば、あの子もあのゲームやってたんだっけな……」
雄介は織姫が言っていたゲーム「バトルファイターオンライン」の事を思い出した。雄介は自分のパソコンが置いてある機に移し、パソコンの電源をつけて作し始めた。
「もう結構な期間やってなかったけど……お、あった」
雄介はし前まで、このゲームをプレイして遊んでいた事があった。慎に進められて、慎と一緒に遊んでいたのだが、優子の告白などがあり、最近は全くやっていなかった。 パソコンを作し、ゲームのログイン畫面に進む雄介。
「結構々変わってるなぁ~」
雄介はゲームをプレイし始め、昔とのシステムの違いや新要素に驚きながらゲームを楽しんでいた。
「織姫は今、このゲームにインしてるのかな?」
そんな事を考える雄介、そして雄介はゲームをしながらこうも考えていた。
「あの屋敷にずっといて、友達とかもいないのかな……」
雄介は一人で部屋にこもり、ゲームをするをイメージする。同年代の子なら、可い服を著て友達と外に遊びに行ったり、おいしいものを食べたりしている。彼は一人で寂しくないのだろうか? そんな事を考えてしまい、雄介は昔の事を思い出す。
「俺には、慎が居たんだっけ……」
雄介がまだい頃、昔のトラウマから以外の人間との流も怖がっていたあのい日。毎日が孤獨で、毎日が退屈だったあの頃に手を差しべてくれた友人を思い出す。
「あいつにも助けられてんだよな……」
いつもは何かと雄介に絡み、困った雄介を見て笑っている慎だが、雄介は慎にしてもらった事を忘れてはいない。
「織姫にもそんな奴が必要なのかな…」
同じような質から、普通生活を送るのがし困難な雄介と織姫。似た者同士でも、雄介には良い友人が一人でもいた事が大きな違いだった。 雄介は織姫にもそんな存在が必要なのかもしれないと、考え始めるようになっていた。
「はぁ~、面倒だな…」
そんな事を言いながらも雄介は口元を緩ませ、若干の笑みを浮かべながら、久しぶりにオンラインゲームを楽しむ。
「まぁ、紗子さんの頼みだしな、し頑張ってみるか」
雄介は織姫と向き合う事を決意し、ゲームを遊んでいた。時刻は深夜1時を回り、次の日雄介は珍しく寢坊した。
「やばい、寢坊した」
結局あの後、し夢中になってしまい、雄介は夜中の3時近くまでゲームをしていた。次の日が休日だったので、學校は無かったが朝ごはんを作るため、雄介は一階のリビングに降りて行く。 現在時刻は朝10時。
「すいません、寢坊しました!」
「あぁ、雄介やっと起きた? 珍しいわね~」
「おはようございます紗子さん。昨日はちょっと夜遅くに寢て……」
リビングにはエプロン姿の紗子が食を洗っていた。紗子のエプロン姿を久しぶりに見た雄介は新鮮さをじていた。
「すいません、今著替えて代わります」
「良いのよ、本來これは母親の私の役目。だから雄介は子供らしくどこかで遊んでらっしゃい」
紗子にそう言われ、雄介は街に出掛けた。せっかくの休みなのだから、紗子を休ませる為にいつも通り家事をしようとしていた雄介だったのだが、紗子がたまには家事もしておかないと母親として示しがつかない。などと言って、雄介の仕事を取ってしまった。
「どうするかなぁ……」
急に街に來てやることが見つからず、ブラブラする雄介。
「あら、貴方は…」
「え?」
雄介がブラブラしていると、目の前のコンビニから見知らぬが出てきて、聲をかけてきた。黒の長いロングヘアーの綺麗な人だ。雄介は誰だったかを考えるが、全く覚えていない。相手がという事で、雄介はそのからし距離を置いた。
「あの、失禮ですが、どちら様でしょうか?」
「あぁ、わかりませんか? じゃあ、こうして…」
はロングヘアーの髪を一つにまとめて後ろでポニーテールにする。そこで雄介はようやく思い出した。
「あぁ! 倉前さん、でしたよね?」
「はい、昨日ぶりですね」
聲をかけてきたの正は、昨日のお屋敷に居たメイドさんの倉前さんだった。服裝が私服だったのと、髪形が変わっていたので雄介は気づかなかった。
「今日は私はお休みで、買いに來ているんです。雄介様は?」
「あぁ、そうだったんですか。自分はただ街をブラブラと。あと、様はやめてもらえませんか? 誰かに聞かれるとややこしいので」
「あ、すいません。つい癖で…」
口元を抑えて、笑みを浮かべながら謝罪してくる倉前さん。昨日知り合ったばかりのだが、大人っぽい雰囲気と整った綺麗な顔だちをしていて、嫌いな雄介でさえも綺麗な人だと思っていた。
「あの、雄介さんは今お暇なんですよね?」
「えぇ、そうですね。やる事も無いですし……」
「だったら今から屋敷に來ませんか?」
「え?! 昨日の今日でまた織姫さんに會うんですか?」
「違います。今日は私のお話相手になってしいんです」
倉前さんの話によると、倉前さんは現在、あの屋敷の中に住み込みで働いているらしく、屋敷の中の自室で話がしたいとの申し出だった。 しかも、雄介のの事を気遣い、室に二人ではなく、し大きめの部屋を借りてお話をしようという提案までしてくれた。雄介はどうせ暇だからと、その提案をけれバスを使用して倉前さんと屋敷に向かった。
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