《草食系男子が食系子に食べられるまで》第19章 クラスメイトと雄介 2
石崎がいつも以上に焦った雰囲気で堀に迫る中、慎はそーっと教室を後にしようとする。 しかし、そんな慎を石崎が引き留める。
「お前だな? 山本」
「いや……俺は先生の好度を上げようと……」
「そんな事しなくていい。ややこしい事になりそうだから、他言するなと言おうと思ったが……遅かったか……」
石崎は肩を落としてため息を付く。
「まぁまぁ、別に悪い事したんじゃないんだし……」
「お前が言うな……」
石崎をめる慎だったが、逆効果だったらしく、石崎はもう一度大きなため息を付く。
「堀、わかってると思うが……あれ? あいつ何処に……」
「あぁ、あそこっす」
堀はいつの間にか石崎の側を離れ、雄介の元に集まっている皆のところに混ざって何か話をしていた。
「お~い、お前ら、先生が切れたらしいぞー」
「え! マジで!」
「あの先生が!」
「いつも眠そうな先生が!?」
「いつまでたっても獨な先生が!?」
石崎が堀に他言しないように釘を刺しておこうとした頃にはもう遅かったらしく、話はクラス中に広がりつつあった。
「堀は今日居殘り決定だな……」
「あぁ~、あいつ大変だな……」
「何言ってんだ? お前もだ」
「やっぱり?」
石崎はため息を一つ吐くと、皆を靜かにさせ著席させ、ホームルームを始める。
「まぁ、お前らも知ってると思うが、今村は々あって大変だ。困る事もあるだろう、何かと力になってやってくれ」
石崎の言葉に、クラスの全員が同意し、聲を上げて答える。 雄介は椅子に座り、景を見ていた。 懐かしいような教室の風景に、窓の外の何気ない景。
「俺は、ここで勉強してたのか……」
「そうだよ」
前の席から聲がかかり、雄介は前を見る。 そこにはこちらに振り向く優子が居た。 雄介はそこで初めて、自分の席が優子の席の後ろである事を知った。
「自分は、この席で半年間學校に通っていたの?」
「うん、先生がめんどくさがりで席替えは最初の一回だけだったから。私はずっとこのままが良いけど」
「そうなんだ……」
(なんだろう……この気持ち、懐かしいのに……心が痛い……)
雄介はそんな事を考えながら、ふとを押さえる。
「おーい、加山前を向け~」
「先生、私今日一日後ろ向いて授業をけてもいいでしょうか?」
「よーし、加山も今日は居殘りだ。それと席替えをします」
「先生酷い! 私と雄介の仲を引き裂こうって言うんですか!」
「授業の妨げになるなら、先生は鬼になります。テストに出すから覚えておきなさい、じゃあ委員長、すまないがしきってくれるか?」
「先生の悪魔!」
「あぁ……もうそれでいいです」
石崎はだるそうに優子にそう言うと、教室の角に椅子を持っていき、そこに座って居眠りを始める。
「席替え終わったら起こしてくれ…」
そんな石崎へのクラスの反応は、いつもよりも暖かい。
「なんて適當な人だ……」
「教師だよな?」
「まぁ、朝々あったらしいし、今日は寢かせてやろう…」
朝の出來事が既に広まり、クラスの石崎に対する好度は上がりまくっていた。 そんな石崎を放っておいて、席替えが始まった。 最後の最後まで優子は反対したが、最終的に雄介が希し、席替えが決定した。
「ゆ、雄介……なんで…」
「いや、流石にずっとこっちを向かれるのはちょっと……」
「そ、そんなぁ~!!」
優子は雄介の言葉をけ、機に顔を埋めながらワンワン泣いている。 今回は優子がめちゃくちゃを言っていた事と、そろそろ席替えをしたかったクラスの生徒の思いもあり、優子はスルーされた。
「なんか……皆冷たい……」
しょんぼりする優子を他所に、席替えが始まった。
「んで、どう決めるよ?」
「無難にくじ引きか?」
「うーん、それだけじゃ面白くねーよ。もっとこう、楽しみがしいよな……」
なんで席替えで楽しみを求めるのだろう? なんてことを雄介は考えながら、教室の楽し気な雰囲気を見ていた。
(今日はよく痛むな……)
雄介はやっぱりが痛かった。
「どう決めるよ? 何ならみんなでバトルロワイヤルでもして決めるか?」
「それは良いわね、合法で堀をタコ毆りに出來るわ」
「おい、江波! それはそう言う意味だ!」
「言葉通りよ、あんたをボコりたい」
「なんでお前は俺に対していっつも……」
決める方法が決まらず、堀と江波が喧嘩を始める。 それを眺めるクラスメイトは「またか…」と言った表で、二人を眺めていた。
「もう! 喧嘩しないでよ! 決まらないでしょ!」
「ほら、委員長が怒ってるから、お前らやめろ」
「離せ山本! ここでガツンと言っておかないと!!」
「いや、お前は江波に口げんかでは勝てない……やめとけ」
慎は江波から堀を遠ざけ、大人しく席に座るように言う。 結局どうやって決めるか決まらず、席替えは一向に決まらない。
「前回のテストの悪い順は?」
「「「卻下だ!」」」
委員長の案に、特定の生徒が全力で否定する。 雄介は、こういう時自分はいつも何をしていたのだろうかと考える。 しかし、全くわかるはずもなく、雄介はクラスの様子を靜かに眺める。
「はぁ~、もうくじ引きで良いだろ? 決まんねーよ」
「そ、それも……そうね……」
「てか、なんで席替えに面白さを求めてたんだ……」
(今頃気が付いたのか……)
雄介は、結局くじ引きで決める事にしたクラスメイトたちを見ながらそう思う。
「良しじゃあ、くじ作るか!」
「誰かいらない紙持ってきて~」
黒板に適當に席の配置と、番號を記し、紙を小さく切って折り、くじを作っていく。 優子は相変わらず席替えそのものに反対しており、そんな優子を沙月がなだめていた。 俺はクラスの雰囲気をボーっと見ながら、自分がどんな環境で勉強をしていたのか観察していた。
「どうだ? 俺らのクラス」
「騒がしいね……」
ボーっとしていると慎が、雄介の席にやってきて、雄介に聲を掛けた。
「まぁな、でも職員室よりはマシだろ?」
「……うん」
クラスに到著するまでの間、どこに行っても雄介は皆から視線をけ、何かコソコソと言われていた。 しかし、このクラスではそんな様子は一切ない、雄介にコソコソ何か言う人も変に視線を向ける人もいない、不自然なくらい、自然だった。
「俺は、このクラス結構好きなんだ……バカな奴らだけど、基本は良い奴らだからよ」
「確かに……騒がしそうなクラスだね」
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