《甘え上手な彼2》第12話
*
「全員揃ったなー」
「「はーい」」
高志達は朝早くに駅前に大きな荷を持って集合していた。
目的は全員で海に海水浴に向かう為。
全員の出欠を確認した高志は、荷を持って駅の中にろうとする。
「よし! じゃあ、早速……」
「まてコラ、なんで秋村が居るんだ!」
「あれ? 言わなかったか?」
「言ってねーよ!! 俺が聞いてたのは、お前らバカップルと門とその友達の可い子が來るって事だけだ!」
「何も間違ってないじゃない、私の友達の可い子。芹那ちゃん可いじゃない」
「えへへ~照れます~」
「ただのド変態じゃねーか!! 俺はこいつが來るって知ってたら、絶対に來なかったのに!」
「仲間外れは良くないだろ?」
「俺の負擔を考えろ! 俺は普段はボケキャラなんだよ! 秋村がいるとツッコミキャラになるんだよ! ボケもツッコミもこなせるか!!」
「あ、問題はそこなのね……」
駅前で一悶著あった後、優一は仕方なくみんなについて行き、電車に乗る。
予想通り、芹那は優一の側にぴったり張り付いて離れなかった。
「おい、暑っ苦しいから離れろ!」
「え~電車の中はこんなに涼しいじゃないですか~」
電車に乗り、高志達は海に向かう。
「さ、紗彌……はぁはぁ……ど、どんな水著買ったの?」
「おい、秋村……その鞄から覗いているロープは何だ?」
「荒縄です!」
高志は先行きが不安になってきた。
「このメンバーで本當に大丈夫だったかな?」
個的なメンバーに囲まれ、高志と紗彌は海に向かう。
二時間ほど電車に揺られ、高志達は海の近くの駅で下りた。
天気は快晴、まさに絶好の海水浴日和となっており、海水浴場は多くの人で賑わっていた。
「なぁ高志よ……」
「なんだ優一?」
「行きの電車だけでこんなに疲れるとは思わなかった……」
「芹那ちゃんとはしゃぎ過ぎだぞ、まったく」
「はしゃいでねーよ! お前のせいだっつの!」
砂浜に敷いたレジャーシートの上で、優一は眉間にシワを寄せながら高志にぶ。
海の家でレンタルしたパラソルの日にり、二人は陣の著替えが終わるのを待つ。
「まぁだが、來た甲斐はあったな……見ろ、最高じゃないか」
優一は海で遊ぶ、水著姿の若いを見てニヤニヤしながら高志に言う。
「紗彌が一番だな」
「あぁ、はいはい。よかったねぇ……お! あの子おっぱいデカ!」
「え、マジ?」
「お前も男だな……」
二人で海で戯れる水著ギャルを眺めていると、後ろから著替えを済ませた陣が冷たい視線を男子二人に送りながら、やってきた。
「優一さん!」
「イデデデデデ!! 何すんだよ!」
「何するじゃないですよ! 今日の私は水著なんですよ! なんで視しないんですか!」
「え? あぁ…良いんじゃ無い?」
「こっちを見て言って下さいよ! ……でもなんか興してる私もいます、はぁ……はぁ……」
「あぁ……面倒臭ぇ……」
優一は芹那の扱いを覚えた様子だった。
そんな優一の脇で、高志は紗彌にジーッと見られていた。
「さ、紗彌さん?」
「高志……」
「……はい?」
「おっぱい好き?」
「ぶっ! い、いきなり何を!?」
「だって……巨の子ばっかり見てた気がする……」
「ち、違うって! さ、紗彌が一番好きだよ……」
「う……ば、ばか……」
完全に二人の世界にってしまった、高志と紗彌。
そんな二人を他の三人は呆れた様子で見守る。
「で、一つ聞きたいんだけど……」
「な、なに?」
未だに顔を赤らめる紗彌に、高志は後ろで鼻をだして立っている、由華を指さす。
「門はどうしたんだ?」
由華はぼーっとしながら、何かをぶつぶつ呟いていた。
「あぁ、私の隣で著替えてたんだけど、途中からこんなじで……」
「さ……紗彌の……し、白い……はぁ…はぁ…」
そう呟く由華を見て、高志は本気で紗彌の貞が心配になった。
「紗彌……」
「ん?」
「々気をつけろよ……」
「どうしたの? 急にそんな事」
「意外と近くに危険は潛んでいるものだ……」
「?」
高志の言葉に紗彌は首を傾げる。
紗彌はこの前買いに行った水著を著ていた。
一度見ているとはいっても、普段とは違った格好に高志はドキドキする。
「に、似合ってる……な……」
「う、うん……一緒に買いに行ったし……似合ってるって……言ってくれたから、買ったんだし……」
「ま、まぁ……そうだけど……やっぱろ可いなって……」
「あ、ありがと……」
「「「バカップル……」」」
高志と紗彌の様子を見て、三人は揃って呟く。
端から見たらどう見てもバカップル。
この二人に破局の危機などあるのだろうかと、その場に居た高志と紗彌以外の三人は疑問に思う。
「おい、そこのバカップル、イチャツクなら他所でやれ、腹立つ」
「優一さんは私とイチャイチャしましょうよ~」
「門、この変態をお前に預ける」
「え?! あ、アンタはどこ行くのよ!」
「そんなの決まってるだろ………ナンパだ!」
「………まぁ、通報だけされないようにね……」
「どう言う意味だコラ!」
「優一さん酷いです! 私という者が有りながら!!」
「俺とお前の間には何も無い!」
「大丈夫よ芹那ちゃん。どうせ相手にされないから、あっちで焼きそばでも食べて馬鹿が諦めるのを待ちましょう」
「それもそうですね」
そう言って、海の家の方に歩いて行く由華と芹那を見て優一は肩を震わせてぶ。
「見てろコラ! 絶対に功させてやるからなぁぁぁぁ!!」
そう言って優一は砂浜をダッシュで駆けて行った。
殘された高志と紗彌はと言うと……。
「さ、紗彌……その……パーカー著ておけよ……」
「え? なんで?」
「えっと……あの……その……他の男に……見せたく無いっていうか……ごめん! 俺のただのわがままだから! 忘れて!」
そんな高志の言葉に、元々赤かった紗彌の顔は更に赤くなる。
「し、仕方ないなぁ~……そ、そんな事言ってたら、どこにも水著著ていけないじゃん」
紗彌はそう言いながら、嬉しそうに持ってきたパーカーを來て高志の隣に座る。
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