《甘え上手な彼2》第38話

「仕事の先輩後輩です。今日は仕事で……」

「そういう口実でのデートよ」

「だから違いますって……」

恥ずかしげもなくハッキリと言う奈に、大石は肩がっくりと落とす。

そんな様子を見た奈の友人は苦笑いを浮かべる。

「あ、それよりもちょっとお願いがあるんだけど」

「え? 何?」

「浴人コンテストっていうのが今からステージであるんだけど、奈そこに出てくれない? 丁度浴だし」

「え、別に良いけど……どうかしたの?」

「いやぁ、私の地元がこの辺なんだけど、人があんまり集まらなくて、出てくれって頼まれちゃってさぁ~、一人だと心細いから誰か一緒にって思ったんだけど……」

「あぁ……なるほどね」

奈の友達と一緒に居た人達はみんな私服で、浴を著ている人が居なかった。

「じゃあ、良いわよ。いきましょうか大石先生」

「どうせ斷っても無理矢理連れていくんでしょ……」

「先生もわかって來ましたね!」

「わかりたくなかった……」

大石と奈はイベントステージに向かって歩き始めた。

ステージに上がる奈と別行になった大石は、奈から観覧席でステージを見ているように言われ、飲みを買って観覧席に向かう。

すると……。

「ん……お前ら……」

「「あ……先生」」

並んで座る、高志と優一に遭遇してしまった。

「んで、お前らはなんだ、デートか?」

「まぁ、俺は」

「俺は違います! 斷じて違います!!」

「そんな必死に言わんでも……まぁ、問題を起こさなければ、俺も何も言わないさ……」

観覧席でばったり出會った三人は、同じ席に座ってコンテストが始まるのを待っていた。

コンテストが始まるまで、あと數分、高志達は雑談をしながらコンテストの開始を待った。

「そういう先生はやっぱり見回りっすか?」

「ん……まぁな……」

「先生も大変っすね」

「ま、まぁな……」

奈と一緒と言うことは伏せ、大石は顔を引きつらせながら、高志と優一に話す。

別に隠す必要も無いのだが、生徒の間で噂にされるのも面倒なので、深くは話さない。

「そ、そういう那須は誰と來たんだ?」

「……一人の方が……まだ安全だったかもしれません……」

「一誰と來たんだ……」

優一の意味深な言葉に、教え子の友好関係を疑う大石。

「八重は……宮岡とだろ?」

「はい、先生も知ってたんですね」

「そりゃあ、あれだけ噂になればな……お前は幸せそうで良いよな……」

「ま、まぁ……それほどでも……」

照れつつも笑みを浮かべる高志を大石は羨ましそうに眺める。

きっと、互いに互いのことを思って、上手く付き合っているのだろう。

そう思いながら、大石はお茶を飲む。

「だと、宮岡はコンテストに出るのか?」

「はい、だから今は別行で」

「那須の連れもか?」

「はい……俺の安全のために!」

「だから、お前はどんな奴と來たんだよ……」

優一の怯えようを見ながら大石は尋ねる。

そんな時、ようやくコンテストが始まった。

コンテストが始まる前、控え室をかねたテントの中では、コンテスト出場予定の達が集まっていた。

紗彌はなんとしても優勝賞品をゲットするために闘志を燃やしていた。

そんな紗彌のもとに一人のが近づく。

「あれ、紗彌さんじゃないですか!」

「芹那ちゃん?! 芹那ちゃんも出るの?」

「はい! 優勝してなんとしても優一さんと溫泉に……ウフフフ……」

「な、なるほど……」

芹那の言葉に苦笑いをする。

そこにまたしても一人のが近づいてくる。

「あら? 宮岡さんと秋村さんじゃない」

「あ、保永先生! まさか先生も?」

「そうよ、友達に頼まれちゃってね」

「絶対に勝てないじゃないですか! 卑怯ですぅ~!」

「確かに……芹那ちゃんの言うとおりかも……」

「そんなことないわよ、私なんてもうおばさんだから」

そう言う奈の話しを聞きながら、紗彌と芹那は視線を奈のに移す。

((大きいなぁ……))

このだけで負けた気がしてしまう二人。

奈はその容姿とスタイルで、男子生徒に人気があった。

子から見ても可いし、スタイルも良い。

そんなに二人は勝てるなど思えなかった。

「強敵が現れたわね……」

「まさか先生が出場するなんて……」

達の熱いバトルが今始まろうとしていた。

「はーい、皆さんこんにちわ~。浴人コンテストの司會を勤める湯山と申します! 一時間ほどではございますが、どうぞよろしくお願いしまーす!」

ついに浴人コンテストのステージが幕を開けた。

司會者が審査員を紹介し、採點の基準やルール、優勝賞品を紹介していく。

「始まったな……」

「あぁ、まぁ地元の祭りレベルだと、たかがしれてるけどな」

「あぁ、紗彌が優勝だろ」

自信満々に言う高志に、優一は空返事で「はいはい」と答え、買ってきたたこ焼きを口の中にれる。

「那須、八重ってこんなじだったか?」

をすると人は変わるんですよ……良い意味でも、悪い意味でも……」

「あぁ、なるほどな……」

そうこう言っている間に、コンテストは始まり、最初のが出てきた。

司會者は聲を上げて、名前とプロフィールを読み上げる。

確かになかなかに可い子だった。

他の高校の一年生らしく、今日は友達と來ているらしい。

「夏休みはどこかにいきましたか?」

「はい! 友達と海に行ったり、山に行ったり、ビックサイトにも行きました!」

「え? ビックサイトって東京の? 一何をしに?」

「そんなの決まってるじゃ無いですか! 誰でも知ってるあのイベントですよ!」

「え? えっと……そ、それはどんなイベントですか?」

「エッチなコスプレが見れたり、十八の薄い本が買える素敵な場所です」

「それは、國が許してるイベントなの?!」

なかなかにキャラの濃い子が初っぱなから出てきたなと思いながら、高志は紗彌の登場をまっていた。

隣の優一は、周りをキョロキョロしながら何かを警戒し、大石はため息を吐きながらコンテストを見ている。

「もっと楽しそうに見たら良いのに……」

「「そうもいかねーんだよ……」」

高志の言葉に、二人は聲を揃えて答える。

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